接見の事前予約制を巡る議論について

第1 はじめに

 大山先生( @oyamalaw )を中心に最近話題となっている愛知県の接見予約の件について,どうも議論がシャドーボクシング気味に見受けられるので、木っ端弁護士である当職の雑感を述べようと思います。

 今回問題となった具体的な「当該事例」については,当職が直接体験したわけではないのでよくわかりません。そこで,まずは,当職が実体験に基づき理解している愛知県での予約制の運用一般(その善し悪しはともかく。)について述べたあと,色々と考えてみたいと思います。

第2 愛知県における運用について

1 愛知県では,一般的に予約しなければ接見できないのか?

答えは,Noです。

愛知県において精力的に刑事弁護活動をされている金岡弁護士のブログ( http://www.kanaoka-law.com/archives/424 )にも記載があるとおり,予約がないことを理由に警察が接見を拒否できるわけではないし,予約せずに接見に行った場合,接見室が空いてさえいれば会うことが可能なのが通常です。

2 接見に定められた時間の「枠」があるのか?

答えは,Noです。

 たしかに,接見予約時,自己申告で「何時間の予定だ。」と申告するのが慣行です。これは,予約制の下では,A弁護士の接見が何時から何時なのかわからなければ,その後に接見したいB弁護士の予約を入れることが不可能であるためであり,善し悪しはともかく,予約制の制度のシステム上必須です。

 では,自己申告した枠は厳守なのか?自己申告をした枠を超えると必ず追い出されるのか?といえば,そんなことはありません。

 あくまで予約制のために必要な自己申告ですから,その後に予約が入りさえしなければ,終了予定申告時間に縛られることはありません。当職自身,30分と申告して接見を開始した後,接見室の外から留置管理の係員に「次の先生がもう来てます。」と呼ばれない限り,1,2時間接見してたりすることもザラです。また,仮に申告時間直後に次の予約が入っていたとしても,その弁護士が実際に来るまでは追い出されないのが通常です。

 なお,申告時間を超過してしまい,実際に次の弁護士が来ている場合には,接見室のドアのノックで,はよ明け渡せ,と催促されるのが通常です。いきなりドアが開けられて追い出されるということはないです。

3 ある弁護士が予約で確保した時間帯には,その弁護士が現に接見していなくても絶対に他の弁護士が接見できないのか?

答えはNoです。

 当職の体験上,たとえば,18時ころに接見をしたいと考えて接見予約の電話をした際に,「18時00分から30分間の予約と,18時30分から60分間の予約が入ってますね。」,と言われた場合,「もしかしたら18時からの先生の接見が早めに終わるかもしれないから,18時30分からの先生が来るまでの隙間でいいから接見したい。」と言うことがあります。この場合「じゃあ,次の先生が来たらすぐに明け渡して下さいね。」と言われることはありますが,接見を拒否されたことはありません。

4 夕方に会おうと思ったら何日も前に予約しておかないといけないのか?

答えは,Noです。

 たしかに夕方は接見には人気の時間帯ですが,何日も前に予約しないと会えないなんてことは体験したことがありません。昼間のうちに電話して夕方の接見が全部埋まっていたなんて体験はあまりありませんし,当職なんかは基本的に夕方になってから「今から行くんで15分後で。」なんてこともしょっちゅうです。

 なお,予約制の下でなくとも,夕方に会おうと思って会いに行ったら多数の弁護士が並んでて結局会えたのは夜遅くだった,ということありますよね。

5 予約不可能な時間帯があるのか?

答えは,Noです。

 たしかに消灯時間後は嫌がられますが,いいから会わせろといって拒否されるかといわれたら拒否されません(ただし,刑事収容施設法上は,留置施設での接見は,日曜日その他政令で定める日以外の留置施設の執務時間内とされていることには留意すべきでしょうね。)。

当職の経験上,午前零時すぎからの接見を予約したこともありますが,拒否はされたことはありません。むしろ被疑者から,「寝たいから明日にしてくれ。」と拒否されたことがありますw
 したがって,前記4と関わりますが,仮に「夕方に会えな」くても,夜に会うことは当然に可能です。

第3 当職の雑感

以上を前提に,当職の雑感を書いてみようと思います。

1 まず,地域によって接見の運用が違っていて,それが他府県にはそのルールが周知されていないというのは,当然に解決すべき問題であろうと思います。

 しかし,A地域とB地域のルールが異なっていることが周知されていない,という問題と,B地域のルールには問題がある,というのは論理上全く別の問題です。愛知県(また予約制を採用している県)が予約制をとっていることが周知されていないという問題があるからといって,予約制一般が問題ということにはなりません。ここを混同して議論すべきではないでしょう。

2 また,「無理なら順番並ぶというのが当たり前のルール」という考えが所与の前提となっているようですが,それは,いかなる根拠から「当たり前」なのでしょうか?

 一つの考え方ではあると思いますが,そっちが当然に当たり前のルールであり,予約制は当たり前のルールではないというのは,(予約制を採用している都道府県が少数であることを除けば)どうしてそう言い切れるのでしょうか?議論を見ている限り,自分の地域が予約制をとっていないから予約ができないのが当たり前のルールとおっしゃているように見うけられてなりません(誤解ならごめんなさい。)。

3 次に「対 捜査機関」に関する予約制の問題点についてです。

 予約制の問題として考えられるのは,「予約が入っていると言われたらその真偽を確かめる術がない。」という点があります。捜査機関が予約が入ってると嘘をついて接見拒否が可能となってしまうので,これは予約制が孕む問題といえます。

 ただし,予約制の下でなくとも,たとえば接見に行ってみたら「被疑者は今実況見分に行っていて不在である」などと嘘をつかれたら同じことなので,捜査機関による嘘で接見が妨害されることは,予約制固有の問題とも言い難い部分があります。

4 続いて「対 他の弁護士」に関する問題についてです。

 議論を見ていると,予約もキャンセルも自由である点について問題視されているようです。

 たしかに,予約もキャンセルも自由な予約制を採用する場合,予約の濫用がなされる可能性は絶対になくなりませんので問題でしょう。また,A弁護士が予約しようとした時間帯にB弁護士の予約があったためA弁護士がその時間帯での接見を諦めたところ,その後にB弁護士がキャンセルしたのであれば,A弁護士にとっては結果的にB弁護士に自身の接見を妨害されたようなものでしょう。

 このように,予約のせいでその日その時間に接見したい人が会えなくなるということは問題がないとはいえません。

 しかしながら,たとえば予約制のない場合に,実際に接見に行ってみたら10人並んでいた,どうもあと5時間はかかる,5時間後では都合上接見できないのでやむなく断念して帰る,ということはあるでしょうし,その際に実は帰っていなければ実際は2時間で順番が回って接見できたはずだった,ということもあると思います。

 このような場合と,予約があるため接見を諦めたり,その後に実は予約がキャンセルになったという場合とで,現象に大きな差異はありますか?

 そしてなにより,先ほどから太字で強調しているとおり,予約もキャンセルも自由であることによって生ずる問題は,捜査機関の問題ではなく弁護士の問題ですよね。

そうであるならば,予約制は捜査機関による接見妨害に一役買っているという文脈において語るのは不適切であると考えます。

どうも,今回の議論は,予約制における捜査機関によって引き起こされるであろう問題と,弁護士によって引き起こされるであろう問題とが文脈上明確に区別されないまま,もっと言うならば,予約制一般の問題と今回の警察の対応の問題が区別されないまま,とにかく警察からこんな対応をされた、ゆえに予約制が悪いという論理の飛躍があるように見うけられます。

5 事前に予約した時間帯に,被疑者の外出や検事調べが入った場合に,問答無用でキャンセルがされるかどうかについては,当職がこれに当たったことがないためわかりません。

ただし,予約した後に被疑者外出の予定が入ってキャンセルがなされるのと,予約制がない場合に行く前に在監確認をしたら被疑者が外出中だったとか,接見に行ってみたら被疑者が外出中だったという場合と,接見の可否の観点において違いはあるのでしょうか?

 むしろ,事前に捜査機関の予定が知れるし接見時間の調整も利くという利点もあるように思われます。

 なお,当職の経験上,接見予約を入れたところその時間に取調べがなされていた,という場合には,通常は取調べを中断して接見できていますね。

6 今回のケースでは,22時以降なら会える,と言われたとのことですので,22時までは接見の予約が入っていたのだと推測できます。

 さて,この場合,予約制の下で早い者勝ちでその日の22時まで予約が埋まっていたために22時からのみ接見が可能であるという話と,予約制でない場合に,(それが当たり前のルールだとおっしゃる通りに)接見室の前で早い者勝ちで行列を作って順番待ちをして並び,結果として順番が回ってきたのが22時からであった場合とで,果たして現象として大きな違いはあるのでしょうか?

7 また,「22時まで予約が一杯なので22時までは会えません。」というのは,(それが真実の場合に)捜査機関による接見拒否や接見指定にあたるのでしょうか?

 先のとおり,捜査機関の都合によってついた嘘でない限りは,捜査機関にとっては何時からどの弁護士が接見しようがどうでもいいのですから,この回答は,単に接見の交通整理をしているだけといえます。

 これが問題だというのであれば,予約制でない場合に,行列ができている接見室の前で,弁護士が留置管理に対して「今すぐ会わせろ。」と申し入れた際に,留置管理から「いや,先生。先に来て並んでる先生方がいるんで,順番守って下さい。」と言われたら,これを捜査機関による接見拒否や接見指定と言うのでしょうか?

8 今回のケースでの警察の対応は,捜査の必要(刑訴法39条3項)によるものではなく,「他の弁護士による接見によって他に接見室が空いていない」という,戒護上の支障によるものです(刑訴法39条2項参照)。ここを区別せずに,とにかく捜査機関によって拒否されたから接見拒否だ接見指定だというのは,法律家の議論として極めて違和感を覚えます。

 ところで,留置施設での弁護人の接見については,刑事収容施設法220条4項で所定の必要性から制限を設けることができるとされており,これを具体化した同法施行規則25条1項により,面会は当該留置施設における面会室とする,と明確に制限されています。つまり,(その善し悪しは別として)留置施設における弁護人の接見は面会室に限定されているのであり,留置管理係としては,留置施設の面会室が空いていない場合にはこれを理由に接見を制限することが可能であるということです。

 この条文の善し悪しは別として,今回の議論でこの条文の存在は踏まえられていますか?

9 今回は,初回接見であったとのことです。初回接見の際に即時の接見を求めるのは弁護人としてなすべきことであるのは当然です。

 しかし,初回接見だからといって,他に予約が入っているにもかかわらずとにかく即時に接見室で面会させろと留置管理側に対して言うのは,(後記する面会接見の申入れならともかく)違和感を覚えます。予約制ではない場合に,接見室前に行列ができているにもかかわらず,留置管理に対して,「初回接見なんだから並んでいる弁護士なんか後回しにして先に自分を会わせろ。」と言うのと同じように思われます。

 もちろん,前記のとおり,予約が入ってるが現時点ではまだ予約した弁護士が来ておらず,その弁護士が来たら明け渡すことを条件として接見を申し入れるのであればいいと思いますし,これを警察が拒否することは経験上ないと思います。拒否したらそれこそ接見拒否だと思います。

10 ところで,ここで留置管理側に対してとあえて書いたのは,この場合,申し入れるべき相手は早い者勝ちの勝者たる「他の弁護士」に対してだからです。当職も,予約制のない他府県の警察署に接見しにいったところ,先に複数の先生方並んでいたので,帰りの電車の都合等の事情を説明してお願いをして,先に接見させてもらった経験はあります。

 同様に,予約制の下でも,たとえば予約時間に来た先生に,「すみません,先生の予約時間,ちょっと分けてもらえませんか?」とお願いして接見したこともあります。

 先の金岡弁護士のブログでも「他の弁護人に接見予定を融通して貰い」と書いてありますね。

 予約制であろうとなかろうと,すべきことは留置管理にごり押しすることではなく,これではないでしょうか?

11 さて,現行法上,警察の留置施設における面会が面会室に限定されていることは前記のとおりです。それでも,最判平成17年4月19日に照らし,警察でも面会接見が可能であってその旨弁護人から申出がなされたのであれば,警察もそれに配慮すべきだとは思います。そのような意味においては,「予約で埋まっている」というのは,弁護人からの面会接見の申出を拒否する理由にはなりえないと思います。(ただし,刑訴法39条2項の「法令」による制限がない検察庁と先の刑事収容施設法による制限がある留置施設での面会が同列に語れるかどうかは一つの問題でしょう。今回の議論でも誰かが前記最判への言及をしていたように思いますが,この点の差異を踏まえていますか?)

第4 今回のケースについて

1 今回のケースについて,仮に南警察署の留置管理係が,接見室が空いており,当該時間に予約も入っていないにもかかわらず「予約がなければ接見させない」と言ったのであればこれは大問題でしょう。先のとおり,予約がなければ接見させないという運用はしていないはずですし,現に接見室が空いている状況下において,予約した次の弁護士が来るまでの間に限定した接見申入れがなされたのであれば,それは拒否する理由にはなりえないからです。

 また,面会接見の申入れが為されたのに対し配慮をしなかったのであれば,それも問題とすべきかもしれません。

 そのような意味において,南警察署の留置管理係の対応に一切問題がなかったとは思いません。

2 しかし他方で,真に接見申入れ時に接見室が使用中であり,またその後も22時まで隙間なく接見予約が埋まっていた場合に,接見室を使用しての接見が22時までは無理で,22時以降なら大丈夫と回答したことそのものは,接見指定や接見拒否とは言えないと考えます。

 今回のケースについて言えば,22時からは会うことが可能であったようですし、たとえば,「ここで待っているから,22時までの予約の間で,早めに接見を終える弁護人が出て次の予約までに隙間ができたら,その間だけ会いたい。」と申し入れたら,当職の経験上は,たぶん拒否はされなかったと思います。

 また,予約した時間に来た先生に事情を説明して,先に少しだけ接見させてもらうことをお願いするのが正道だったように思います。予約制でない場合であっても,順番抜かしをするにはこれしかないんですから。

3 また,どうも話によれば,申告した時間がきたら留置管理係がドアをいきなり開けてきて,部屋から追い出された,ということのようです。当職の経験上いきなり開けられて追い出されることはなく,何度かノックではよせいと催促された後に無視し続けると開けられたことはありますが,いきなり開けられたのであればそれは問題だと思います。

4 なお,冒頭で述べたとおりあくまで当職は今回のケースを直接体験したわけではないので,実際の警察とのやりとりはわかりません。実際に体験したらふざけんな国賠だ、となるような対応があったのかもしれません。したがって,これはあくまで詳細な事実は不明なままでの雑感程度のものです。

第5 最後に

1 当職は,予約制一般について問題がないとは全く思いません。先に述べたとおり,捜査機関が嘘を言って接見妨害する可能性は排除できませんし,予約の濫用などは全弁護士の倫理感に委ねられる部分があるからです。

 また,接見していると,当初予定していたよりも話が長くなってしまうということは当然にあると思います(外国人事件に顕著です。)。その場合でも,自分が申告して確保した枠である以上は,それを超過してしまい次の予約の弁護士が来たならば,自分の見込み違いによる自己責任で明け渡さざるをえなくなります(そうでなければ,予約制は維持できません。)。これを不十分な接見しかできないとして問題視する考えもあると思いますし,これをなくすために保険で多めに時間帯を予約することで他の人の接見可能な時間が逼迫されるというのも問題としてはあると思います。そして、これが制度上不可避である以上予約制はやめるべきだ、という考え方も十分にありうるでしょう。

 しかしながら,逆に言えば予約制の問題はこの部分くらいであるようにも思われます。

 今回なされている議論は,どうも,今回の南警察署の対応という個別的具体的現象における問題をもって予約制の抽象的一般的の問題として論じている節があるように見うけられ,どうも違和感をぬぐえません。

2 当職がわざわざnoteのアカウントを作ってまでこれを書いたのは,今回のケースを論じている先生方の議論において,①愛知県の予約制に関し事実誤認がある,②対捜査機関の話と対他の弁護士との問題が文脈上明確に区別されていない,③具体的な法律がないがしろにされている,④本件の個別的具体的問題と予約制の一般的抽象的問題とが明確に区別されていない,ように思われたからです。

3 そして,予約制に問題なしとはしない以上,賛否両論はあってしかるべきだとは思いますが,その是非を論じるにあたって,理論的な検討・議論を超えて,その土地を未開の地などと言ってみたり,その土地の刑事弁護委員会又は全刑事弁護人を嘲弄する修飾をする必要があったのか,当職には極めて疑問です。しかもそれが(ご自身の体験されたこと以外にどのような調査をされたのか知りませんが)事実誤認に基づくものであるのであれば,なおさらでしょう。

 仮に、愛知県の制度に問題がある、というテーマで議論をするのであれば、愛知県の弁護士(会)を巻き込むことは必須でしょう。そうであるにもかかわらず、(あまり実態調査をしたとは思えない事実誤認にもとづいて)はなから愛知県の弁護士を嘲笑するのような物言いをして対立姿勢を明らかにしていれば、建設的な議論にはならないと思います。

 愛知県の弁護士も今回のツイッターやFacebookの議論には気づいているはずですが、ろくに参加していないのは、そういう理由だと思いますよ。

※追記

 本ノート公開後、ふとりたに先生( @takeemon19:)から以下のようなご意見があったので、当職の考えを追記しておきます。

「あと警察官が次の先生待ってるってノックして言うのってどうよ。ちなみに兵庫では30分待っても開かないときは弁護士がノックしてもいいことにはなっていますが、流石に悪いのでノックはしませんw」

 さて、これについては、警察官が接見室のドアをノックするという方法の適否はともかく(個人的にはドアのノックのみなら秘密接見に支障はないように思いますが。)、次の先生が来ていることを告げるかどうか、追い出そうとするかどうかについては、予約制の制度設計の相違に過ぎないと考えます。

 利益状況としては、現に接見中のA弁護士の接見継続の利益を優先すると考えるのか、次の予約者たるB弁護士が予定通りに接見する利益を優先すると考えるのかの相違であると言えます。

 この場合2パターンあり、A弁護士の方が先に予約をしていて、B弁護士がA弁護士の自己申告した終了時間に基づいて接見予定を立てたパターンと、B弁護士の方が先に予約をしていて、これに基づいてA弁護士が「じゃあB弁護士の予約まで接見する。」と言って予約したパターンがあります。前者のパターンの場合、先に予約をしていたA弁護士を優先すべきとも、A弁護士は自分で終了時間を決めたんだから自己責任でB弁護士を優先すべきとも考えられますね。他方、後者のパターンの場合、先にその時間に接見する事になんの障害もない状況で予約をしたB弁護士が、その後にB弁護士の予定を前提に予約を入れたA弁護士に劣後してA弁護士の接見終了までの待機を甘受しなければいけないというのは、理不尽に思えます。こうしてトータルで考えると、B弁護士の利益を優先するのが制度としては良いような気がします。

 ただし、警察官にとっては、いずれだろうとどうでもいいからどっちにするのか決めてくれという話です。結局、A弁護士を優先するにしてもB弁護士を優先するにしてもどちらも弁護士の利益を図るためであって警察官には無益な話です。そうである以上、警察官が(いかなる方法をとることが適切であるかは別として)次の弁護士が待っていると告げて現に接見中の弁護士の退室を促すことそれ自体は、警察官による接見妨害という文脈で語るべき事柄ではないと思います。

 したがって、ご指摘の点は、まずは警察官とは切り離して、制度設計論として語るべきでしょうね。