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■第15回北海道二紀展 (8月29日で終了)

2009年09月10日 22時58分47秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 二科展が戦争中、解散状態に追い込まれた後、戦争直後に三つの団体公募展にわかれて再出発した。すなわち「二科展」「二紀展」「行動展」である。
 北海道のニ紀は、3年に1度、支部展を開いている。
 北海道新聞によると、今後は隔年開催を検討している由である。

 道内の団体公募展と異なり、階梯は四つ。
 最上位の「委員」に、伊藤光悦さんと永野光一さんがいる。
 会員はゼロで、同人は、浦隆一、長内さゆみ、高橋宗彦、廣岡紀子の4氏。
 今回の出品者は25人なので、他の公募展にくらべると、一般出品者の占める割合がずいぶん高いといえる。
 なお、永野さんのみが彫刻で、のこる24人はすべて絵画である。
 下の出品リストでわかるように、小品はほとんどなく、いずれもこの秋に東京・六本木でひらかれる展覧会の前哨戦となっている(なお、会場で配布されていたリストでは1人1点となっていたが、実際には2点出していた人もあったので、その題を付記してある)。

 道新や、いくつかのサイトで、この展覧会の感想を読んだが、いずれも触れていないことがあった。
 前回、3年前の支部展と比較して、出品の人数こそ同じだが、顔ぶれがかなり異なっているのだ。
 大嶋美樹絵(札幌)、河田隆子(北広島)、奈良昌美(千歳)、埴原悦子(札幌)、松井多恵子(札幌)、神谷ふじ子(札幌)といった面々が出品していない。
 このうち河田さんは早世、神谷さんは本州へ転居という事情はあるが、あとは、どうして出品してないんだろうと思われる、個性的なすぐれた描き手ばかりである。
 もっと以前は、中丸茂平(全道展会員)らも出品者であった。

 二紀は、もっぱら具象で幅広い画風の作家が集まっている。
 そして、リアルさを追求する長内、ポップで戯画的な子どもを描く浦など、画風を途中で変えずにひたすら自分の画風を追い求める画家が多いような気がする。

 阿部正子は、今回めずらしく人物を登場させた。
 しかも、真上から見た構図で、デッサンがとりづらかったのではないかと邪推する。
 笹森衣里はおそらく初出品。オーカーや群青が入り交じった抽象で、ニ紀にはめずらしいタイプ。
 伊藤光悦は小品だったが、現代文明の極北を見据えたような鋭利な視線が印象に残る。  
 

 出品作は次の通り。
秋山久美子(札幌) 明日の風(S100)
阿部 正子(札幌) A・Ko・Ga・Re(S100)
伊藤 光悦(北広島)遠い海(S30)
伊林 洋子(滝川) かたらい(S100)
梅原 賢伸(留萌管内羽幌町)こだまする(F100)
浦  隆一(砂川) 喧嘩(F100)
大沼 清 (十勝管内本別町)彷徨I(F100)
小笠原洋子(帯広) 浮遊する船(いずこえ)I(S100) 浮遊する船(いずこえ)II
奥秋 広美(帯広) 千年紀(F100) 時の翼
長内さゆみ(北斗) 秋の睡蓮'09(F120)
鎌田 朝緒(帯広) 子供の声が聞こえていた(S100)
鎌田 毅 (札幌) 夢の旅人(F100)
久津間律子(江別) melancholy(S100)
高鶴 悦子(滝川) 予感I(F100)
斉藤百合子(深川) 心模様2009(F100)
笹森 衣里(札幌) 蟻のひつぎ I(S100) 蟻のひつぎII
高橋 宗彦(札幌) 游水II(F130)
田中 慶子(札幌) くも(162×137センチ)
田之島篤子(十勝管内音更町)積・II(F100)
長坂 栄子(恵庭) 向日葵の詩 I(S100)
廣岡 紀子(札幌) 追想フランス(F120) 追想フランス田園風景
藤田 恵 (札幌) はるかなる…(F100)
村上 陽一(帯広) 建築家の遺産 I(S100)
山口 順子(札幌) 過ぎてゆく日を待ちながらIII(S100)

永野 光一(江別) 時の島


2009年8月24日(月)-29日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)

□二紀展 http://www5a.biglobe.ne.jp/~niki-kai/

第14回(2006年)
第13回(2003年)


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