日本と中国の違い
ボクは、三国志が大好きです。
知ってますか?
あの中国大陸で繰り広げられた壮大な歴史を描いた物語です。
実際は、史実としての三国志と、脚色された三国志演義があり、物語として人気があるのは後者です。
よって、作り話の部分もあります。
いろんな作家が三国志を書いていますが、三国志演義が元になっていて、人によってストーリーや登場人物の性格も若干違うんですが、どれも面白いんですよ。
ボクが初めて三国志を読んだのは中学生の時でした。
吉川英治の三国志です。
吉川英治は1962年(昭和37年)に亡くなっている人なので、文体はかなり古いです。
古いですが中学生のボクでも読破できたので、読みにくくは無いですね。
それ以上に、物語がとにかく面白いんです。
吉川英治が天才作家であるせいでもあるんですが、とにかく三国志の面白さに引き込まれました。
現在の中国と言う国を知っている人たちにしてみれば、中国の物語である三国志を日本人が好むなんて!と不快に思う人もいるかもしれません。
でも、違うんですよ。
日本は世界でも特殊な国で、ひとつの国家が2000年以上も続いている希有な存在なんです。
今も日本であり、昔も日本なんです。
でも、中国大陸では、国家はコロコロと変わってきたんですよ。
いまの中国は、中華人民共和国と言う国です。
でも、それまでにも中華民国や清国や漢や随や唐や、とにかく国がどんどん変わったんです。
単に同じ中国大陸であると言うのが共通点であり、いまの中国と昔の中国は全然違う国なんです。
そのひとつが漢と言う国で、いまから2000年ほど前ですね。
その国が三国志の舞台です。
現代の中国は、パクリ文化やら他国の権利侵害やら、迷惑な印象ですが、昔の漢にはそんな印象はありませんね。
三国志の主役級の登場人物を見ていると、実に魅力的な人物が多いんです。
ストーリー
では、三国志(演義)とは、どんな話なのか。
ボクがここにざっくりと書いてみます。
漢と言う国は数百年続いた由緒正しい国なんですが、末期になって朝廷の内部の腐敗が進み、国が荒れました。
賄賂が横行し、カネで権力を買う政治。
そんな政治を見て、黄巾党と言う反乱分子が発生したんです。
それを退治するために各所の武将が召集されたり立ち上がったり。
その中に、三国志の主役級である、曹操や劉備や袁紹がいました。
三国志演義では、劉備が主役で、どちらかと言えば曹操が悪役なんですよね。
劉備には義兄弟の約束を交わした関羽と張飛が付いています。
このふたりがめっぽう強い。
劉備自身は戦は強くは無いんですが、このふたりのおかげで戦を勝ち進みます。
戦と政治の天才である曹操とライバル関係になっていきます。
劉備には人を惹き付ける人間的魅力があり、一方の曹操には天才性があり、それぞれ多くの人材が集まってきます。
もうひとり、孫権と言う人物が登場します。劉備や曹操と比べると少し影が薄い気もしますが、やがて、
- 魏……曹操
- 呉……孫権
- 蜀……劉備
と言う3つの国ができるんですね。
つまり3人のライバルの物語です。
実は、中国大陸をこの3つに分割する壮大な仕掛けを生み出したのが、歴史に残る天才軍師である、諸葛孔明です。
孔明は劉備に就きます。
孔明はあまりにも天才なので、孔明が生きている間は、曹操も孫権も手玉に取られます。
魏にも呉にも優秀な人材がたくさんいて、むしろ蜀の国が一番弱いんですが、それでも蜀が滅ぼされずにいたのは、孔明と言う天才のおかげ。
蜀には義に厚い人材が多いんです。
ボクが三国志で一番好きなのは関羽。
関羽もまた義に厚く、最後まで劉備を裏切りません。
敵である曹操は関羽の人間性を買っており、何としても自分の部下にしたいと思っていました。
一時的に関羽が曹操につかまったときも、曹操は関羽を丁重に迎え、思いを伝えたんですが、それでも関羽はすべての金品を曹操に返し、劉備の元に返りました。
関羽は実は現在の中国でも神様扱いの人物で、しかも日本の横浜の中華街にも関帝廟があります。いま横浜に住んでいるボクは、たまに関帝廟を見に行きます。
漢の国を興したのは、かの有名な劉邦。
項羽と劉邦の戦いは司馬遼太郎の作品でおなじみですよね。
劉備は、その名前から、劉邦の血縁だと言われています。
なので、劉備は漢の腐敗を嘆き、何としても漢を復興させるのがライフワーク。
それに従ったのが関羽であり張飛であり孔明であり趙雲です。
三国志の本を読んだことは無くても、ゲームの三国志で遊んだ経験のある人は多いでしょう。
その中でも絶大な人気を誇る趙雲ですよ。
義に厚く、しかも超絶に武力が高い人です。
三国志の全登場人物の中で一番の武力は呂布で、それに次ぐのが趙雲ですね。
結局、劉備が生きている間は三国の統一は成し遂げられませんでした。
しかし、孔明は劉備の遺志を継ぎます。
残念ながら劉備の子の劉禅はそんなに優秀では無かったんですね。
それでも孔明は劉禅に忠義を尽くし、乏しい資源の蜀の国のために魏を何度も攻めます。
もうホントに孔明はけなげ。
強大な魏に苦労しながら立ち向かう天才孔明。
やがて孔明も病気になり、命が尽きます。
その後も、劉備や孔明の遺志を継ぐ者たちががんばるんですが、魏の天才軍師である司馬懿と一族によって、ついに蜀は滅ぼされるんですね。
しかし劉禅は殺されず、それなりの待遇で迎えられました。
劉禅は言っちゃうんですよ。
「別に蜀が無くなっても、いまの暮らしも満足だわ。」
実に暗愚。劉備の苦労、孔明の苦労も水の泡。
三国志はそんな切ない結末を迎えるんですね。
こんなふうに1ページに書いてしまうと身もフタも無いですが、三国志の面白さはこんなくらいではネタバレになりません。
読めばわかります。
今回は曹操が主人公の人気漫画「蒼天航路」を載せておきます。
Kindle版もあるので、スマホで読んでみてください。
大人のあなたは全36巻を大人買い大人買いしちゃいましょう。ボクもしましたよ。
ちなみに吉川英治は死後50年を経過して著作権が切れたので、非常に安く手に入ります。