BAYONETTA

物語を紡ぐ魅惑的な奴ら

持ち前のずる賢さで裏社会を渡り歩く情報屋のエンツォ。ベヨネッタを執拗につけ回すフリージャーナリストのルカ。ベヨネッタを｢マミー｣と呼ぶ少女、セレッサ。"魔界のガンスミス"と噂される"The Gates of Hell"を経営するロダン……。物語を彩るキャラクターは、どいつもこいつも一度見たら忘れられない強烈な個性を放っています。イベントシーンでは、斬新でスタイリッシュなカメラワークによって白熱の映像が展開。さらに、『ビューティフルジョー』の幕間のデモのように人物は静止したままでありながら、背景やエフェクトは動画で流れるという、フィルムムービーのようシーンも用意されています。つまり、単純にただムービーが流れるというものではなく、メリハリや緩急があるということ。観る者をグイグイと物語に引き込んでいくので、心地よく没入できることでしょう。また、現時点では詳細は述べられないんですが、ムービーにも遊び心が満載！　任意にスキップできるし、あることをすると……ん〜、ごめんなさい。詳細はまだ言えません。おそらく、こんな施策を行っているゲームは初めてだと思うので、皆さんいろいろとお試しあれ。と、キャラクターに話を戻しますが、前述した４人のほか、圧倒的な存在感を誇るキャラクターがいます。それがベヨネッタと同等の魔力を使役する女性、ジャンヌです。ショートカットの銀髪。身にまとった赤い衣装。スレンダーな体型……。すべてがベヨネッタと対照的なジャンヌ。それだけにプレイヤーの好みはハッキリとわかれるでしょう。そう、ベヨネッタ派なのか、ジャンヌ派なのか!!　……すいません、暴走しました。僕の好みはあとで述べるとして、もうひとりお伝えしたいキャラクターがいます。それは、PVの最後に登場する巨大複合企業体イザヴェルグループの最高幹部のバルドル。設定だけを見ると｢ただの会社員でしょ｣と思ってしまうかもしれませんが、容姿、服装、声、たたずまいなどなど、すべてがタダ者ではありません。物語と密接に関係するキャラクターなので詳細は述べられませんが、僕は彼を見るたびにデビット･ボウイを思い浮かべるということだけお伝えしておきます。

狩られる者は神々しく禍々しい

まるでウィリアム･ブレイクのイラストがそのまま動き出したかのような密度の高さ。荘厳さと美しさを兼ね備えた天使たちは、ただ座しているだけでもプレイヤーを圧倒します。敵が天使という設定の妙もありますが、どの天使も造形がハンパじゃありません！　また、目を見張るのが天使の活き活きとしたアクション。アクション、攻撃方法ともに豊富で、何度戦っても"ライブ感"が味わえるんですよね。しかも、ダメージを与えると装甲がはがれるように天使の見た目が変わっていくので、プレイを重ねても同じ絵面となることは皆無。つねに新鮮な感覚で戦闘が楽しめるというわけです。中でも特筆すべきは四元徳と呼ばれる天使。ベヨネッタの数百倍はあろうかという超巨大な天使なんですが、まあ細部まで動くこと動くこと。羽の先、爪の先、触手の先まで、当たりまえのように緻密に動くその姿は、バトルを忘れて思わず見とれてしまうほどです。

ちなみに、個人的にもっともインパクトを受けたのは、ゴーレムという敵。球体からさまざまな形状に変形して攻撃を仕掛けてくるんですが、変形スピードの速さがマジでヤバイです！　恥ずかしながら、初見の際には呆然としましたもん。敵キャラクターのアクションに対して｢美しい｣と心奪われたことも初めてですし、｢この敵とずっと戦っていたい！｣と感じたことも初めてです。既存のゲームでは実現できなかった表現が目の前にあり、既存のゲームでは味わえなかったバトルが超スピードでくり広げられる、ということなんですが、僕が説明していること、ちゃんと伝わりましたでしょうか？　う〜ん、文章でうまく伝えられないのがもどかしい!! 触ってもらえばすぐに理解してもらえるんですけどね……。しょうがないので、無理矢理まとめますが、神々しい天使を蹂躙する爽快感は病みつきになること間違いなしですので、あの手この手で天使を痛めつけてあげてください！

大魔獣召喚

クライマックスの絶頂を味わえる大魔獣召喚。文字通り、笑っちゃうくらい巨大な魔獣を召喚して天使を葬り去っちゃいます。クライマックスの代名詞とも言える大魔獣召喚は、どのシーンも圧巻。ウィケッドウィーブと同様、召喚時に髪の毛を触媒として使うため、ベヨネッタが大きく肌を露出することもポイントです。絶妙な角度でベヨネッタが映し出されるのですが、死にゆく天使に対する最後の餞別なのでしょうか？　美しき姿を目に焼きつけて死ねるんですから、天使は幸せ者ですね。……話が逸れましたが、流れるように映し出される髪の毛が魔獣と化すシーンは、流麗かつド迫力。また、前述したように想像を絶する大魔獣の巨大さには、ド肝を抜かれることでしょう。だって、四元徳戦で召喚する大魔獣と言ったら……と、いろいろとお伝えしたいのですが、ネタバレになるので詳細は伏せさせていただきます。召喚時のベヨネッタのアクション。｢なんて言ってるんだろう？｣と気にせずにはいられない、召喚する際にベヨネッタが発するセリフ。髪の毛が大魔獣に変化するまでの自然さと巨大さ。獰猛で残忍な大魔獣の攻撃。何度プレイしても限界にチャレンジしてしまうコンボダメージ時の連打。そして天使のやられっぷり……。とにもかくにも大魔獣召喚は見どころが満載となっているので、ドップリと没入して至福のクライマックスシーンに身を委ねてみてください。

同じ月の下で

見えません。まったく底が見えません。プレイすればするほど、新たな発見と驚きを与えてくれる『ベヨネッタ』。プレイ時間が150時間(ゲーム中に表示されるのは99時間59分59秒までです)を越えている僕ですが、いまだにすべての要素を出し切っていません。もちろん、情報交換する相手がいないことや、攻略資料をあえて見ないようにしているということもありますが、それにしても『ベヨネッタ』の奥深さにはただただ平伏するのみです。『ベヨネッタ』の"魔力"をお届けするため、これまで計３回記事を書かせていただきましたが、まだまだ伝え切れていない魅力が山のようにあります。あえて稚拙な言いかたをすると、これほどユーザーフレンドリーで、これほど細部まで作り手の血が通っていて、これほど"情熱"を持って作られた作品は、例を見ません。｢数多あるエンターテインメントと呼ばれる作品の中で、ビデオゲームこそが最高なんだ｣。『ベヨネッタ』は久しぶりにそう感じさせてくれた作品です。ダウンロードコンテンツを廃し、ワンパッケージにすべてを詰め込んだ心意気。ユーザーを楽しませることを第一に考えて散りばめられた、数々の隠し要素。小物ひとつにまで意識を張り巡らせた、飽くなきこだわり。圧倒的な没入感を生み出す、怒涛のクライマックスシーン。そして、究極の"触り心地"を追求した、驚愕の操作レスポンス……。体験版をプレイした諸兄に告げます。｢そこで感じたものは本編の数百分の一の楽しさに過ぎません｣。製品版をプレイした瞬間、それが間違いではないと感じることでしょう。本作のディレクターを務める神谷英樹氏とお会いした際、｢今回(『ベヨネッタ』のオマケ要素)はプラチナゲームズの奢りです｣と笑顔で語っていたことが強く印象に残っているのですが、あの笑顔は"やりきった"からこそ浮かべられる笑顔だと確信しています。ユーザーフレンドリーにこだわりながらも、作り手の血が通った稀有な作品、『ベヨネッタ』。ひとりでも多くの方が、この至高の作品を味わってくれることを同じ月の下で切に願っています。

ファミ通LIVE『ベヨネッタ』ライブ再配信予定!!

"10月10日に配信された"ファミ通LIVE SPECIAL 〜特番！ BAYONETTA〜"。森一丁氏の軽快なＭＣのもと、『BAYONETTA』の魅力を余すところなくお届けしたのですが、好評につき再配信が決定！　再配信期間は、10月22日〜11月８日となっていますので、お見逃しのないように!!　番組内では、本作のディレクターを務めるプラチナゲームズの神谷英樹氏、プロデューサーを務める橋本祐介氏がゲストとして登場し、初公開映像などを交えながら開発秘話を披露。また、サンプルロムを用いた神谷氏、橋本氏のプレイも必見！　ダッヂオフセットを駆使したスーパープレイは、驚嘆すること間違いなしですよ!!