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■石井誠個展-無限景 (11月22日まで)

2009年11月19日 00時19分21秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 石井誠さんは道都大4年生。中島ゼミで版画などを学んでいる。
 下のリンク先でわかるように、ものすごいペースで制作・発表を続けてきており、たぶん道内の学生では一、二を争うだろう。いや、学生に限らなくても、屈指の発表ぶりだ。
 これからも、学生STEPやゼミ展、卒展が予定されている。

 「石井誠といえば、コレ」というようなトレードマークはない。
 画風が一定していないともいえる。
 しかし、若いのにヘンに画風が固まっているのにくらべたら、いろいろ試行錯誤する姿のほうが好ましく感じられる。

 今回の個展は、変化を重ねてきた石井さんの画風に、初めて一本の太い筋が通ったものになったように思う。
 小学校で誰しもが習った紙版画と、これまで大学で取り組んできたシルクスクリーンを、合体させた技法で、力強い画面にしているのだ。

 冒頭の画像は「無限景」。
 縦1.8メートル、横3.84メートル。パネル12枚をつなぎ合わせたという大作だ。

 インクは2色のみ。
 紙版画で得られた太い線が画面を縦横無尽に横切り、廃墟のような、あるいは建設中の都市を想起させる、不思議な光景を現出させている。
「さびれた街のような雰囲気を出したかったのと、銅版画が好きで、その雰囲気を表現したかった」
と石井さん。
 「展覧会場で、油絵をやっている人から『版画は小さい』と言われることがよくあって…。そんなとき、道立近代美術館で一原(有徳)さんの大作を見る機会があって、励まされました」
 来年の卒業制作展では、市民ギャラリーの大きな壁面をフルに使った超大作に挑みたい-とのこと。楽しみだなあ。

 


 こちらには、同様の技法で制作され、色が異なる作が並ぶ。
 画像左は「Sound of Silence」。サイモン&ガーファンクルの名曲から命名した。
 直線が走る中、右上に複葉機が飛んでいるのがおもしろい。抽象的な画面で、ひょいと具体的なイメージが出てくると、とても目を引く。

 奥にある、マットがなくて直接パネルに貼りつけた連作は「chronicle」。
 芳名帳の上にあるのとあわせて、じつは9点組み。




 「highhat」。
 大学の先輩がやっていたパンクバンドの演奏に触発されて制作した作。
 ハイハットとは、ドラムセットの中のシンバルの一種で、ビートを刻むものだが、たしかにこの画面には、それに似た半円形が多くみられる。
 深く落ち着いた色だけ見ていると、パンクというよりジャズのバラードかなあって思った。




 ほかにも、辞書の紙(インディアンペーパー)を一緒にすり込んだり(「カンパネルラ」「水は夜でも流れる」)、電話帳を用いたり(「水の記録」)、さまざまな試みに取り組んでいる。

 ほか、「苔いちめんに」「underground」「extra」「帰路」「夏の繭」「つなわたり」を含め、計13点を出品。


2009年11月17日(火)-22日(日)10:30-6:30(最終日-5:00)
さいとうギャラリー(中央区南1西3 ラ・ガレリア5階 地図B


□under hippos.(石井さんのサイト) http://members.jcom.home.ne.jp/3716975201/

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お越しいただきありがとうございました (石井誠)
2009-11-19 20:18:26
お越しいただき、また、大変早いエントリ掲載ありがとうございました。
今日もこの記事を見てお越しいただいた方がいらっしゃいました。

市民ギャラリーでの卒展では口に出したことに嘘の無いよう努力してゆきたいと思います。

大変ありがとうございました。
石井さん、ありがとう! (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-11-19 23:21:52
いつもご丁寧にありがとうございます。
こういうあたり、ちゃらんぽらんなわたしと違い、石井さんはほんとにオトナだなあと、つくづく感心してしまいます。

まだ個展は続きますが、がんばってください。

卒展、楽しみにしています。

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