マルハ、出荷前に農薬混入か 苦情13都府県から
マルハニチロHDの冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出された問題で、同社側への苦情20件は13都府県の消費者から寄せられたことが31日、分かった。群馬工場に立ち入り調査した群馬県は、農薬が検出された商品が出荷後、県外の離れた3カ所で保管されていたことから、出荷されるまでに混入した可能性があるとみて詳しく調べる。
アクリフーズによると「異臭がする」といった苦情があったのはピザ11件、フライ8件、コロッケ1件。購入場所は東京や神奈川、愛知、大阪、福岡など13都府県で、店舗はすべて異なる。20件のうち9件でマラチオンが検出された。
検出濃度にばらつきが大きいため、群馬県は原材料段階で汚染された可能性は低いと判断。検出商品は川崎市や埼玉県加須市など3カ所で保管された後、各地の小売店に配送されたことから、流通過程での混入も考えにくいとしている。
このため、県は群馬工場で、出荷前に汚染された可能性があるとみている。ただ、工場内ではマラチオンを使っておらず、通常の製造工程で混入する恐れはないという。群馬県警は何者かが意図的に混入した疑いがあるとみて、業務妨害容疑などで捜査している。
食品の品質管理に詳しい東京海洋大大学院の湯川剛一郎教授は「残留農薬であれば数PPM程度で、原料の問題なら広く検出されるはず。意図的に混入された可能性が高い」と指摘する。
防虫科学研究所(千葉県習志野市)の林晃史所長(農薬学)は「マラチオンは加熱で分解されるので、製造段階での混入は考えにくい」と分析。「包装の外から混入させた痕跡が見つかっていないとすれば、調理後、パックする前に混入されたのではないか」と推測している。