シャケ弁当はニジマス弁当? 食材表示案に困惑の声
消費者庁が意見交換会
シャケ茶漬けはニジマス茶漬けに?――。食材の虚偽表示問題を受け、消費者庁が昨年12月に公表したメニュー表示のガイドライン案について、外食業者や消費者団体などとの意見交換会が27日、東京都内で開かれた。業者側からは一部の食材について「すでに名称が定着しており、消費者が混乱する」などと異論が相次いだ。
消費者庁はガイドライン案で不適切な表示を具体的に例示。切り身を焼いた「シャケ弁当」やすしネタの「サーモン」などに使われることもあるサーモントラウトについては、標準和名が「ニジマス」であり、「サケ」や「サーモン」と表示するのは景品表示法上、問題があるとした。
意見交換会では、公益財団法人「食の安全・安心財団」(東京・港)の中村啓一事務局長が「ニジマスを海水養殖する技術の進歩でサーモントラウトが安定的に供給されるようになり『サーモン』の名称で定着している」と指摘。サーモンと表示しても「消費者に著しく優良と誤認させているとは思えない」と述べた。
外食大手の子会社で食品製造などを手掛けるコロワイドMD(横浜市)の井上真社長は「例えばお茶漬けやおにぎりにサーモントラウトを使った場合、メニューにどう書けばよいのか」と困惑の声を上げた。
ガイドライン案はロブスターを伊勢エビと表示するのも景表法上問題があるとした。これに対し、水産物輸入商社の代表者は「輸入ロブスターにはイセエビ類とザリガニ類の2種類がある。イセエビ類のロブスターを『イセエビ』と表示するのは認めるべきだ」と訴えた。
ガイドライン案で、牛の成形肉を用いた料理は「ビーフ(成形肉使用)」と表示するとされた。外食店のコンサルタント会社の担当者は「豚肉や鶏肉についてもガイドラインで説明すべきだ」と要求。同社によると「とんかつ」でも成形肉を使っている場合があるという。
一方、消費者側として出席した主婦連合会(東京・千代田)の佐野真理子事務局長は「消費者が何を食べているのか分からないのは問題。きちんとした名称を表示してもらいたい」と強調。「違反業者に課徴金を科す制度が必要」と規制強化を訴えた。
消費者庁の片桐一幸表示対策課長は「本日いただいた意見や一般からの意見募集(パブリックコメント)を踏まえて、できるだけ早く正式なガイドラインを出したい」としている。