北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■高橋知佳「仄見せる心 wire sculpture」 (2012年9月1日~11月30日、札幌)

2012年11月24日 23時11分43秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 案内はがき(フライヤー)には次のテキストが印刷されている。
 改行は原文通り。ルビはこちらでふった。
すべての物事には、様々なかたちで相反する現象や感情が含まれていると考えます。
人によってその感じ方は、両端にある対極であったり、紙でいう表裏であったりするのだと言えますが、
相反する現象や感情のどちらかが実像、虚像ということではなく、どちらもそのものであり、
「世界のすべては緊張感に満ちてもろく、曖昧あいまいで揺らぎのあるもの」なのではないかと考えます。
自身が感じる世界を「編む」行為は、その混沌こんとんとした世界に「かたち」を与える作業です。
同時に、自分の中にも存在する相反する心を昇華するために、葛藤や混乱を「ほどく」行為でもあります。

ほの見せる心」はびた鉄線を編んで作った作品です。
金属の冷たい皮膚に、柔らかな体温を。
だれにも見せたくないけれど、見透かして欲しい心を。
鉄のよろいかたくなに守ろうとするけれど、こぼれでる光が容赦なくその心をさらけ出してしまう、その脆さを。
物事に内包されている相反する二つの側面を、透けているけれど確かに存在する、二人の女性の光と影で表現しました。




 その下には、略歴も記されている。

1980年 北海道札幌市生まれ
2004年 北海道教育大学札幌公芸術文化課程美術コース(金属造形)卒業
2011年 第86回道展(彫刻部門)新人賞受賞
2012年 JRタワーARTBOX一般公募・優秀賞受賞

 以上に付け加えることは、ほとんどないように思う。


 ただ、個人的には、このような、表面が透けて見える女性像というのに、すごくエロティシズムを感じてしまう。
 この「仄見せる心」は、かなり繊細な感じの作品だが、もっと剛直な野外彫刻として、十勝管内芽室町の公民館前庭に設置された斉藤健昭「星の女」がある。これを見たときも、ずいぶんエロティシズムを感じた。どういう理由なのかわからない。
 半透明(色セロファンの半透明とは異なるが)であることが、かえって想像力をかきたてるのかもしれない。
 あるいは、一般的な裸婦のブロンズ像だと、よくある彫刻として脳が処理するのに対し、透けた像はあまり事例がないので、日常的な風景に裸婦が侵入してきたような生々しさがひきたつのかもしれない。

 
2012年9月1日(土)~11月30日(金)8am~10pm(最終日~8pm)
JRタワー ART BOX(札幌駅構内東コンコース)


http://takachika.jimdo.com/

2004 金工展 北海道教育大学札幌校 芸術文化課程美術コース 金属造形研究室展(画像なし)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。