2013.09.02
# 雑誌

特別ルポ「連続放火殺人」の集落で見たものは…山口・八つ墓村あれから起きたこと

週刊現代 プロフィール

●犯人はいま何を語っているのか?

 逮捕された直後の周南署副署長の話によると、保見は事情聴取に対して暴れるような様子もなく、大人しく捜査官の話を聞いていたという。ただ、自分が殺害した被害者たちとの関係などに言及できる状態ではなかったようだ。

 逮捕から日が経つにつれ、「被害者や遺族に対して申し訳ない気持ちがある」と弁護人に話すなど、少しずつ事件についての思いを語り出している状況だ。しかし、遺族に対する謝罪の弁を述べた直後に「過去にいろんなことがあった」という言葉も漏らしたという。5名もの人間を殺しながら、被害者たちに対する恨み辛みはなくならないようだ。

 また、保見は事件当日に大量の睡眠薬を摂取し、当時の記憶が曖昧だと語っているという。犯行当時の責任能力に関わるこの問題は、今後大きくクローズアップされる可能性がある。

愛犬とは永遠の別れ

●弁護人はどんな人がついているのか?

 事件の担当弁護人は、山田貴之弁護士と沖本浩弁護士の2名。両氏とも山口県弁護士会所属で、国選弁護人として選任された。山田弁護士は、山口地検と山口県警に対して、取り調べの全過程を録音、録画する全面可視化を申し入れ、また保見との接見を毎日行うなど、意欲的な弁護活動を行っている。

 今後、保見の代弁者である両氏の役割は極めて重要となってくる。

●犯人の親族はどうしている?

 郷集落からおよそ10km離れた場所に住んでいた姉は、保見が逮捕された直後に事件の混乱を避け、身を隠した。現在でも姉の家には人が戻ってきた様子はなく、もぬけの殻のまま。事件が落ち着くまでは、家に戻ることはおそらくないだろう。

●愛犬はどうなった?

 保見は自宅でゴールデンレトリバーを飼っていた。オリーブという名前で雄の8歳(推定)。事件後家に置き去りにされていたが、事件発生から4日後、動物愛護団体によって保護された。ところが翌日、保見が身柄を拘束された1分後に急死してしまう。

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