北海道美術ネット別館

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■交錯する眼差しの方へ 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子 書展(9月28日まで)

2008年09月27日 07時53分47秒 | 展覧会の紹介-書
(日本語文は、英文要約の後にあります)

Five calligraphers,Endo Koho,Okawa Sumiko,Suda Koju,Takeshita Seiran,Yoshida Toshiko have an exhibition at Continental gallery (S1W11,chuo-ku,Sapporo-shi).
They were selected to "Exhibition Art In Sapporo2003".Five years after,they
have a group exhibition again.

 「札幌の美術」は21世紀の初頭3年間、キュレーターや美術評論家が、札幌もしくは近郊の作家を20人程度えらんで、ゆったりと展示するという形式で実施されていた。

 いまは、書の展示がなくなってしまったが、以前は、社中展や公募展などよりも、書の秀作をゆったり見られる場として、筆者もたのしみにしていたものだ。

 分野や社中の異なる5人が、ひとつの会場で出会う。そして、将来ふたたび集まって5人展をひらく-。今回の「交錯する…」展の目録に寄せた佐藤庫之助さんの文章によると、当時、すでにそういう合意ができていた、というのだ。ちなみに佐藤さんは美術評論家として、5年前に5人をえらんだ当の本人であり、道内で唯一、書をメーンの分野として筆をふるう人である。

 ふだんとは異なる実験的な作にも挑んでおり、見ごたえのある書展となっているので、どうぞ足を運んでください。


 20日にギャラリートークがおこなわれました。
 出品者が相互批評した上で、自作を語り、さらに佐藤さんがひとことつけくわえる-という形でした。そこでの発言を紹介します。

(途中ですがいったんアップします)
 
           

           

                  

           

 出品作はつぎのとおり(単位はセンチメートル。一部の正字を新字に改めてあります)。
遠藤香峰 行脚 70×180
     あの老婆 -描いて見たしやゴッホの腕で-(汐月己智男句) 137×278
     爺と婆 -呼んで呼ばれて日脚伸ぶ-(横山利光句) 70×180
     手に粗末な器を持ち、米を欲しいでもなく欲しくないでもなくぼうっと広く、そして一つところを見てこの地の上に黙って立っている(草野心平詩) 106×137

大川壽美子 道のべの清水ながるる柳かげしばしとてこそ立ちどまりつれ(西行) 180×48
     柳散清水涸石処々(蕪村) 180×48
     たらちをの行方をわれも知らぬかなおなじほのほにむせぶらめども(西行) 180×97
     ひとりきてひとりをとふやあきのくれ(蕪村) 97×90
     門を出れば我もゆく人秋の暮(蕪村) 97×90

須田廣充 ○△□ 90×180
     僕はやりたいことがいっぱいあります。あんまりありすぎてこまるくらいです。僕がいっぱいいたらいいのにな。(童詩より) 180×90
     雲従龍 90×180
     山や川けだもの人間 -自然界は気土火水、そして精神からできています-(ジェミーサムズ詩) 140×140

竹下青蘭 刻 136×68
     寧 I 180×60
     寧 II 180×60
     響 I 136×68
     響 II 132×68
     調 136×68

吉田敏子 寛 140×90
     園 140×140
     粋 140×180




以下、参考までに、毎日新聞北海道版の記事から。

 
出品者は創玄(そうげん)展一科審査員で毎日書道展会員の遠藤香峰(こうほう)さん(石狩市)と同じく一科審査員で毎日展審査会員の大川壽美(すみ)子さん(札幌市)、毎日展会員の須田廣充(こうじゅう)さん(江別市)、奎星(けいせい)会理事で毎日展審査会員の竹下青蘭(せいらん)さん(札幌市)、墨人会会員の吉田敏子さん(同)。札幌美術展で「試み」をキーワードに前衛性に焦点を当てた実験的・独創的な作品を発表した。この時、「お互いに影響され合い、またできたらいいねと話していたのが実現した」(廣充さん)もの。

 作品は香峰さんが詩文書3点と漢字1点。「あの老婆(ろうば)」(汐月己智男句、137センチ×278センチ)は、長い間生き抜いてきた高齢の女性の力強さと魅力を潤渇を利かせた太い線で横書き(あの老婆)し、上部に添え書きしている。漢字の「行脚」は行草体。

 壽美子さんは、かな4点。「たらちおの…」(西行歌、180センチ×97センチ)は大字がなで、自身の仕草に親を、自作に師を感じるこのごろで、その思いを歌にのせた。また、蕪村の2句を漢字かな交じり(濃墨)とひらがなのみ(淡墨)で書き分け、屏風(びょうぶ)にして対比させている。

 廣充さんは漢字と詩文書各2点。画仙紙にはない独特の味わいがあるという新聞紙も使っている。前回の延長線上というジェミー・サムズ詩「山や川けだもの…」(140センチ×140センチ)は情熱が書かせたという。簡潔な漢字作品「○△□」もある。

 青蘭さんは前衛書6点。「寧」と「響」は1と2があり、すべてが非文字の縦作品(180センチ×60センチなど)。見た人の心に響かせたいと透明感のある独特の線や墨の美しさに飛沫(ひまつ)、滲(にじ)み効果を使いながら表現している。

 敏子さんは一字書3点。墨象(ぼくしょう)(前衛書)ともいわれる字形を残した作品で命の躍動を表現している。「粋」(140センチ×180センチ)は純粋の粋で生きることの本質を表現した。「寛」は文字・紙・筆・自身が一体になれた作品で書の心に触れられたと言う。

 5年前とは異なり、「プレッシャーを感じることなく普段できないことをした。遊びの部分もあり楽しく書けた」(壽美子さん)と話す作品は、いずれも挑戦作で出品者の気概を感じる。20日午後2時から、会場でギャラリートークを開く。

(以上引用)

2008年9月16日(火)-28日(日)10:00-18:00
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11 コンチネンタルビル地下)

札幌の美術2003


□竹下青蘭さんのサイト http://www.sei-ran.com/

奎星会北海道巡回展 (08年5月)
竹下青蘭・武田律子 書と陶の二重奏(06年、画像なし)

北玄展(06年、画像なし。大川さんが出品)

須田廣充書展「アメリカ・インディアンの聖なる大地の教えより」 (04年)


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