札幌はぐずついた天気が続いています。
本来、北海道には梅雨はないはずなのに、本州以南といっしょに梅雨入りしてしまったような日々です。
札幌の女性陶芸家、武田響さんの個展「しずく」は、水のしずくと生命を表現したインスタレーションがメーン。
えぞつゆの、いまの季節にぴったり合った展示といえるかもしれません。
冒頭の画像でわかるように、床の上には水面の波紋のようなかたちが並び、天井からはしずくのかたちをしたオブジェがつりさがっています。
武田さんの陶は、いわゆる白磁ではありません。
ご自宅の薪ストーブから出た灰を釉薬に用いています。
焼きあがった作品はすこし灰色がかっており、土の種類や、窯の中の場所によって、微妙に緑がかっていたり、斑文が浮き出ていたり、さまざまな景色が出ているのです。
床置きの作品は、テラスにもあります。
武田さんの個展は、前回も、この季節で、おなじ会場でした。
真夏になりきらないこの季節の木々の緑色が好きなのだそうです。
こちらは、会場の入り口に近いほうの床の上にならんでいたオブジェ群。
やはり、しずくのような形状をしていますが、大きさはさまざま。小さいのは、三角錐というより、丸っこいかたちをしています。
いずれも、頭頂部には穴があいているので、一輪挿しなどとして使うことも可能です。
ろくろではなく、成形は石膏型を使って行っています。
「バリ」の部分も削らずに残してあるのがユニークです。
また、窓際には、小鳥のかたちをしたオブジェなどもおいてありました。
この会場で、唯一題がついている作品で、「becoming」と名づけられています。
今回の個展のテーマである「生成」を表現している-といったらよいでしょうか。
芽がふたを突き破って伸びる様子のようにも見えます。
金属部分は、藤沢レオさんの協力を得ました。
作者の思いがしみじみと、強く感じられる個展でした。
2009年6月9日(火)-15日(月)10:00-18:00(最終日-17:00)
GALLERY 門馬ANNEX(中央区旭ヶ丘2)
・地下鉄東西線「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「循環10、循環11 ロープウェイ線」で「旭丘高校」降車、3分
・おなじく「円山公園」から、ジェイアール北海道バス「円11 西25丁目線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
・JR札幌駅・大通西4丁目から、ジェイアール北海道バス「51 啓明線」「53 啓明線」で、終点「啓明ターミナル」降車、7分
(ほかにも、南北線の中島公園駅、幌平橋駅から啓明ターミナルや旭丘高校へ行く「山鼻循環線」があります)