札幌時計台ギャラリーのC室で個展を開催中の今橋香奈子さんは、道展会友の若手日本画家で、現在は岩見沢在住。
道展のほか「にかわえ展」「北の日本画展」と、毎年三つの展覧会に出品しており、個展は3年ぶりです。
「身の回りにある自然や空気、そこに何かを感じたり、その中にいて自分を見つめたり、そんな時間を作品に表しています」
入り口に書かれていました。
前回の個展では、琳派の燕子花図屏風を踏まえたような、繁茂する植物を少しく装飾的にあつかった作品がありましたが、今回並んでいる作品では、植物の描き方はオーソドックスになっているという印象を受けました。
ただし、描かれているのは道内で見られる草花ばかり。色合いも、実際の花より淡く描かれているものもあり、京都の日本画とはやはりおもむきはちがいます。
身の回りのものをたいせつにしていきたいという作者の気持ちがつたわってくるようです。
冒頭画像は最新作の「風待月」。
女性のポーズは妹さんにとってもらい、顔つきは絵によって少しずつ変えているそうです。
生い茂ったナスタチウム(キンレンカ)の花などから、けだるい夏の空気が感じられます。2羽の鳥も描かれています。
背景に描かれている花はペチュニアやルピナスなど。
非常に写実的に描かれていますが、色は微妙に変えているようです。
もちろん、これらは現実の庭や山野ではなく、さまざまなところでスケッチしたり写真を撮ったりした草花を組み合わせているのです。
美術の時間の削減や少子化にともない、以前は教育大出身者が多く歩む道であった「学校の先生をしながら団体公募展に出品し、個展を定期的に開く」という人がだんだん減ってきています。そんななかで、多忙な日々を縫って、丹念な筆つかいでじっくりと制作をつづけている今橋さんの堅実な生き方には、エールをおくりたいと思うのです。
出品作は次の通り。
ソラユメ
花降る季節
サクラウタ
風うた
ゆるやかな流れに
ひそやかな刻
風薫る
風模様
風待月
バラ
話しかけるもの
つつじ
ユメウタ
雪に咲く
2009年8月3日(月)-8日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■にかわえ展(2007年、画像なし)
■今橋香奈子日本画展(2006年)
■20周年記念 北の日本画展(2006年、画像なし)
■第19回北の日本画展(2004年、画像なし)
■第76回道展(2001年、画像なし)