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発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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お薬の種類と効果 そして副作用

2015年6月11日

TEENS新宿スタッフの金井です。

前回はお薬の正体について改めて勉強してみましたが、今回は発達障害児に処方されるお薬の種類について、具体的に見ていきたいと思います。話のポイントとしては「大きく分けると2タイプある」「効き目には個人差がある」「副作用とは何か」です。

まず、ほんの一部ですが、代表的なお薬を2つの分類で以下に示します。

◆ADHDの症状を軽減してくれるお薬=>コンサータ、ストラテラ
効果:集中力や注意力を高め、衝動性や多動性を軽減する
◆感情を安定に導いてくれるお薬=>リスパダール、エビリファイ、パキシルなど
効果:不安や緊張、興奮、強迫症状、感覚過敏などを鎮めたり、意欲を引き出したりする

上記の薬は商品名であって、薬剤名は別にあります。また、この他にてんかん発作を抑えるための抗てんかん薬や睡眠の質を高めてくれる睡眠導入剤を処方されているお子さんもいらっしゃいます。
それぞれどのくらい効き目があるか、飲んだ時と飲んでいない時でどのくらい変化があるかは個人差がありますので、スタッフから見て「ずいぶん落ち着いてきたな」「今日はしっかり話が聞けているな」と感じることもありますが、薬の効果でそうなっているかどうかはっきり判断できないことも多く(そもそも他のお子さんの前で「今日は飲んでる?」と聞くようなことはしないです)、残念ながら「必ず効く」「驚くほど効く」のようなことは言えません。

薬の種類によって身体への影響の仕方が異なりますので、飲む時間、飲む回数、飲む量も変わってきます。同じADHDの症状に効き目があるコンサータとストラテラも用法に違いがあり、前者は登校前など一日の始まりに一度服用し、日中の間ずっと効果は持続します。後者は、24時間血中濃度が安定するように朝晩2回の服用で穏やかに効くようにできており、効果が感じられるまでには数週間かかるけれども、副作用がより少ないと言われています。
この2つのお薬は、TEENSに通うお子さんの中で一番服用されているお薬だと思われますが、いずれの薬がお子さんに合っているかは、主治医の判断となりますので、よくご相談ください。

ところで、「副作用がない薬はない」と言いますが、そもそも副作用はなぜ起きてしまうのでしょう?それは、その薬が脳内のどのくらいの範囲に作用するかということに関係しているようです。例えば、脳内でドーパミンを十分な量届けてほしいとして飲んだ薬が、他の神経伝達物質にも作用してしまうという場合、期待していた症状の軽快が見られる一方で、別の症状の出現など思わぬ影響が出てしまうこともあるわけです。これが副作用の正体と考えて良いようです。もっとも近年は、効いて欲しいところだけに選択的に作用するように作られている薬が増えているので、安全性は増していると聞きます。

具体的な副作用には、食欲不振、吐き気、頭痛、眠気、不眠などがあります。厄介なのが、副作用は薬の効き目と同じで、飲んでみなければその人にどの程度現れるのか分からないことです。TEENSのお子さんの親御様の話を聞いていると、「服用してからのほうがかえって辛かった」という話や逆に「特に副作用はなかった」「合わなかったけど、他の薬に変えてもらったら平気だった」とそれはもう様々です。まれですが、そのお子さんの体に合ったお薬とお薬の量を探るために服薬調整目的で入院されることもあります。医師も、お子さんは体が小さくデリケートですから、少ない量から始めて、効果と副作用の様子を見ながら慎重に適量まで増やしていくのでしょう。

副作用の影響については、諸説あります。TEENSWebサイトでもご紹介している海外メディアニュースもご参考になさってください。=>こちら

さて、薬の効果や副作用についてざっと見てきましたが、確認しておくべきは「発達障害*をなくす薬は今のところないが、困っている症状や特性を一時的に軽減できるかもしれない薬は存在する」ということです。この“一時的に”というところがポイントだと考えます。当たり前と言えば当たり前ですが、薬は薬が体の中に留まっている間しか効かないのです。

では、障害自体は変わらない、効くかどうか副作用が出るかどうかも分からない、薬が体内で分解されて体外に排出されてしまえば効き目はなくなる、それでもお薬は飲んだほうがいいのでしょうか。飲んだ場合と飲まない場合で大人になった時の状態に影響はないのでしょうか。それは、次回ブログ、お薬シリーズの第3回目でじっくり考えてみたいと思います。

 

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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