写真の千葉テレビをはじめ、埼玉のテレビ埼玉、神奈川のtvk、兵庫のサンテレビなど“独立局”と呼ばれる地方6局が「東名阪ネット6」という制作チームを結成。キー局が苦戦するなか、大健闘している

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若者のテレビ離れの一端に、キー局のバラエティ番組の画一化があるといわれる。ひな壇の後ろに芸人が控え、前のほうには大物俳優や大物女優がVTRを見てコメントする……そんな番組ばかりの現状に飽き始めているのだ。

なぜ、予算もあり、人材も豊富に抱えているはずのキー局が、似たような番組しか作れなくなったのか? 絶対匿名を条件に、キー局と付き合いのある放送作家がバラエティ番組の裏側をこう説明する。

「キー局でテレビを作る場合、視聴率が絶対条件です。だから、面白い企画を考えても、そこに保険として『視聴率が取れる要素』を入れるんです。今だったら例えば『痛快!ビッグダディ』の数字がいいので、考えた企画のなかに、無理やり大家族を登場させてみるとか。料理の映像が出ると数字が上がるので、途中で出演者全員が、うまいものを食べるシーンをねじ込むとか」

テレビに出ている面々が、いつも似たようなメンバーで、やっていることが同じなのは、ここに原因があるのだそうだ。

「それと、スタッフの数がすごく多い。企画って、少ない人数で考えると、エッジの効いた面白いものができるんです。けど、大勢で企画を考えていくと『このシーンは、スポンサーのチェックが入る可能性がなきにしもあらずなので、カットしましょう』とか『スギちゃんみたいな事故があったら番組が終わってしまうので、この罰ゲームはナシにしましょう』なんて話が出て、面白さがまったくなくなってしまう。僕が考えた企画から面白さが全部抜けて、まったく違うものになるなんてこと、しょっちゅうありますよ」

スポンサーに制作費を出していただくからには、視聴率を取らなければならない。視聴率を取るためには冒険せず、過去の実績から、確実に数字が取れるものをやったほうが無難。このような考えが、地上波キー局の番組を画一化させているのだ。

「いくら『面白いんだ』ということを主張しても、データで跳ね返されてしまうんです。だから、若い人の興味がテレビからネットやケータイに移ってしまうのでしょうね。これは無理もありません」(前出の放送作家)

これに対し、最近面白いと評判の独立系地方局のバラエティ作りはどうなっているのか。

「もちろん、過激で放送できないような映像に関しては『待った』をかけます。ただネット6の場合は、最初からスポンサーを集めて番組を作るのではなく、自分たちで番組を作って、DVDを作って、結果、評判がよかったら、その番組の続編や再放送にスポンサーがついてくれればありがたい、というスタンスで番組を作っています。だから、制作会社の皆さんは、細かいことを考えず、企画が面白いかどうかということに集中して番組作りができるのではないでしょうか」(テレ玉の東京支社次長、遠藤圭介氏)

視聴率をとるために“無難”を追求した結果、同じような番組だらけとなっているキー局。このままではさらに若者がテレビから離れていくという事実に、彼らはいつ気づくのだろうか。