新道展のベテラン会員で、写実絵画作家の集まり「グループ環」にも毎年出品している香取正人さんの個展。
香取さんは、時計台ギャラリーでは隔年で個展をひらいていますが、ことしは秋にSTV北2条ビルのエントランスアートでも個展があったばかり。
「大丈夫かと気楽にかまえていたんですが、さすがにくたびれました」
と苦笑していました。
すごいのは、STVのときと、1点も重複していないこと。
もちろん、新道展やグループ環の出品作もあるので、すべてが新作ではないのですが、1936年生まれとは思えない精力的な執筆ぶりに驚かされます。
香取さんの油彩はすべて風景画。すくなくても近年は、静物や人物などは拝見した記憶がありません。
その魅力は、なんといっても、すばやい筆遣いで配された鮮やかな色彩だと思います。
丹念に写実しているのではなく、スピーディーに筆を走らせているのですが、いわゆる「デフォルメ」とは違います。
近い距離から見ると奔放に筆の行き来した跡がわかりますが、遠目にはリアルに見えるのです。つまり、モティーフを変形させているのではありません。
色彩については、以前も書きましたが、これほど彩度が高いのに生っぽくないのは、さすがとしか言いようがありません。
冒頭画像の左側は「秋」。
札幌市南区簾舞附近から望まれる八剣山が題材です。麓にはサイロも見えます。すでに木々は茶色になっていることから、できたてほやほやの新作であることがわかります。
昨年の新道展に出品した「夕景」。
桧山管内せたな町の漁港に取材し、何度もスケッチを重ねた作品です。
筆者が舌を巻いたのは、中央の漁船の傍らに止まっている水色の軽トラック。絶妙のアクセントとしか言いようがありません。もしこの軽トラックがなかったら、物足りない画面になったでしょうし、また、もっと大きな車体だったら目障りなことでしょう。
さらに、上空の空の色ともうまく響きあっているのです。
香取さんはけっして想像で軽トラックを描き入れたのではなく、スケッチの最中にたまたま走ってきて、絵とおなじ位置に一時、止まっていたのだそうです。
夕方よりもかなり早めに着いてスケッチし、最後に夕空にとりかかりました。水彩で薄いイエローをスケッチにまずぬりましたが
「夕焼けの色ばっかりは、見てるしかないですもんねえ。そして、日が暮れるのは、あっという間ですね」
と香取さん。
筆者は、現実のモティーフにしばられる地上に対し、空は自由自在に、構図重視で描いているのかと思ってばかりいましたが、やはり実際の空や雲をふまえて描いているのだと知りました。
この画像でも、右端に「夕景」という作品が見えています。
香取さんの夕焼けに寄せる思いが伝わってきました。
出品作は次の通り。
「高原の牧場」4号
「花の丘」4号
「山道」3号
「渓谷」4号
「晩秋」10号
「えぞいそつつじ」10号
「小さな花」10号
「棚田」30号
「冬の漁村」25号
「法起寺」80号
「街道沿いの家」100号
「冬山」80号
「夕景」100号
「小さな漁港」80号
「天空の里」50号
「サイロ」50号
「向洞爺」50号
「小樽港遠望」30号
「秋」30号
「夕景」30号
「漁港」30号
「春」20号
「海への道」20号
「丘の上の街」20号
「小舟」20号
2008年11月17日(月)-22日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■第9回グループ環絵画展・小品展併催(2008年6月)
■第8回グループ環絵画展
■香取正人作品展(2006年)
■第4回グループ環絵画展
■香取正人油絵個展(2002年11月)
■香取正人展(02年8月、画像なし)
■第3回グループ環絵画展(画像なし)
■第2回グループ環絵画展(画像なし)
香取さんは、時計台ギャラリーでは隔年で個展をひらいていますが、ことしは秋にSTV北2条ビルのエントランスアートでも個展があったばかり。
「大丈夫かと気楽にかまえていたんですが、さすがにくたびれました」
と苦笑していました。
すごいのは、STVのときと、1点も重複していないこと。
もちろん、新道展やグループ環の出品作もあるので、すべてが新作ではないのですが、1936年生まれとは思えない精力的な執筆ぶりに驚かされます。
香取さんの油彩はすべて風景画。すくなくても近年は、静物や人物などは拝見した記憶がありません。
その魅力は、なんといっても、すばやい筆遣いで配された鮮やかな色彩だと思います。
丹念に写実しているのではなく、スピーディーに筆を走らせているのですが、いわゆる「デフォルメ」とは違います。
近い距離から見ると奔放に筆の行き来した跡がわかりますが、遠目にはリアルに見えるのです。つまり、モティーフを変形させているのではありません。
色彩については、以前も書きましたが、これほど彩度が高いのに生っぽくないのは、さすがとしか言いようがありません。
冒頭画像の左側は「秋」。
札幌市南区簾舞附近から望まれる八剣山が題材です。麓にはサイロも見えます。すでに木々は茶色になっていることから、できたてほやほやの新作であることがわかります。
昨年の新道展に出品した「夕景」。
桧山管内せたな町の漁港に取材し、何度もスケッチを重ねた作品です。
筆者が舌を巻いたのは、中央の漁船の傍らに止まっている水色の軽トラック。絶妙のアクセントとしか言いようがありません。もしこの軽トラックがなかったら、物足りない画面になったでしょうし、また、もっと大きな車体だったら目障りなことでしょう。
さらに、上空の空の色ともうまく響きあっているのです。
香取さんはけっして想像で軽トラックを描き入れたのではなく、スケッチの最中にたまたま走ってきて、絵とおなじ位置に一時、止まっていたのだそうです。
夕方よりもかなり早めに着いてスケッチし、最後に夕空にとりかかりました。水彩で薄いイエローをスケッチにまずぬりましたが
「夕焼けの色ばっかりは、見てるしかないですもんねえ。そして、日が暮れるのは、あっという間ですね」
と香取さん。
筆者は、現実のモティーフにしばられる地上に対し、空は自由自在に、構図重視で描いているのかと思ってばかりいましたが、やはり実際の空や雲をふまえて描いているのだと知りました。
この画像でも、右端に「夕景」という作品が見えています。
香取さんの夕焼けに寄せる思いが伝わってきました。
出品作は次の通り。
「高原の牧場」4号
「花の丘」4号
「山道」3号
「渓谷」4号
「晩秋」10号
「えぞいそつつじ」10号
「小さな花」10号
「棚田」30号
「冬の漁村」25号
「法起寺」80号
「街道沿いの家」100号
「冬山」80号
「夕景」100号
「小さな漁港」80号
「天空の里」50号
「サイロ」50号
「向洞爺」50号
「小樽港遠望」30号
「秋」30号
「夕景」30号
「漁港」30号
「春」20号
「海への道」20号
「丘の上の街」20号
「小舟」20号
2008年11月17日(月)-22日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
■第9回グループ環絵画展・小品展併催(2008年6月)
■第8回グループ環絵画展
■香取正人作品展(2006年)
■第4回グループ環絵画展
■香取正人油絵個展(2002年11月)
■香取正人展(02年8月、画像なし)
■第3回グループ環絵画展(画像なし)
■第2回グループ環絵画展(画像なし)