情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

米国が誇る表現の自由は維持されるのか~FCCのクロスオーナーシップ規制緩和の概要

2008-01-11 07:49:45 | クロスオーナーシップ問題
 表現の自由が保障されたとされてきた米国で、FCCが、昨年末、再度、 クロスオーナーシップ規制を緩和した(※1)。旧聞だが、触れないわけにもいかない。FCCは前にも一度緩和策を決定したが、裁判所によって、表現の自由を損なうとして、緩和策が否定されているだけに、今回は限定的な基準を示すことで、法的壁を乗り越えようとしている。新聞などローカルメディアが厳しい経済状況のは分かるが、クロスオーナーシップ規制を緩和する以外の方法で、健全経営を実現する途はなかったのだろうか(※2)。

FCCが採用したルールは、次のようなものだ。

第1に次のような状況であれば、クロスオーナーシップは認められる。
(1)ニールセンの調査「DMA」で上位20位に入る大きなマーケットであること
(2)1つの主な日刊紙と1台のテレビ局もしくはラジオ局の組み合わせであること
(3)組み合わせがテレビ局を含む場合、少なくとも8つの独立して所有される大メディア(主要な新聞社と高出力のテレビ局を含む)が存続すること
(4)テレビ局を含む場合、DMAでトップ4のテレビ局であってはならない。

第2に例外的に次の場合にも認められる。
(1)破綻、もしくは破綻状態にあるメディアを救済する場合
   破綻の場合に許されるのは、破産の手続きをする前の4ヶ月間、発行、放送をしなかった場合
   破綻状態の場合に許されるのは、(あ)テレビ局の視聴率4%以下、(い)過去3年間赤字、(う)系列化が公共の利益に叶う、(え)ほかに救済しようとする企業がいない場合

(2)系列化によって多様な言論が実現される場合
   週7時間の新たなローカル番組が制作され、編集の独立性を維持される場合

例によって、誤訳があるかもしれないが、第2の(2)は厳しい基準の抜け道として使われるかもしれない。

日本は東京のネット局では新聞・テレビは系列化されてしまっている。そういう意味では、限定的な系列化しか認めなかったFCCの判断はまだ救いようがある。しかし、今後、上記抜け道がどう利用されるか、注目したい。

しかし、ネットなどの影響でいずれ大メディア経営が苦しくなるときがくるだろう。そのときに、権力を監視するための装置をいかに残すのかが、市民の課題になってくる。権力側は、そんなものを残すつもりはないのだから…。

 例えば、内部告発の保護をより充実させるという方法もある。本気で知恵を絞らないと政治的選択の自由はなくなってしまうかもしれない。




※1:http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/DOC-278932A1.doc

※2:クロスオーナーシップ問題~3つの問題点 (http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/98f2481af73a68045522d905ad51ed1a)









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1 コメント

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Unknown (ゴンベイ)
2008-01-15 15:15:33
DemocracyNow!の日本サイト
2007年1月12日:エーデルステイン/マクチェスニー:合衆国メディアの現状と問題点
http://democracynow.jp/stream/070112/
※ エーデルステインは、2002年に就任した民主党のFCC委員です。

2007年8月7日:ジョン・ピルジャー「リベラルな報道機関によるプロパガンダと沈黙、民主主義の圧殺」
http://democracynow.jp/stream/070807-1/