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■安積徹 日本画展「森の誘い」 (2014年6月19日~7月15日、札幌)

2014年07月14日 21時21分53秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 カフェエスキスは円山地区の画廊喫茶。
 いろいろな分野の作り手を招いて展覧会を開いており、夜遅くまでやっていることもあって、筆者もときどき足を運ぶ。コーヒーもおいしい。
 壁が青、というのは、画廊などでは珍しいが、意外と作品をひきたてている。

 カフェから送られたきた次のテキストやデータが分かりやすく作家のことを伝えている。

作家・安積徹(あさかとおる)は1999年、道南の蒜沢川の畔に移り住みました。
森のあふれんばかりの輝きから美しい糸を紡ぎだし、森の思想を織りこみながら、
岩絵の具でその世界を私たちに再現してくれます。
今回の展示は、昨年夏から描きためた河畔林に咲く「春の妖精たち」と言われる花々です。
雪解け後のまだ樹木が開葉する前に春陽を受けて一斉に咲きだし、
淡雪のように短期間で消えてしまいます。
そんな可憐な花を小品で紹介します。


後援:札幌市・札幌市教育委員会
協力:画廊一花(いちげ) http://art.galleryichige.com/

函館生まれ
東京芸術大学大学院修了
1988年 ブロードウェーギャラリー新人選抜展
1993年 青垣2001年日本画展 審査員長 河北倫明賞
1996年 天理ビエンナーレ入選
1997年 個展(東京)
1998年 多摩うるおい美術展 優秀賞
2009年 個展(函館)以後毎年函館にて個展開催
2011年 道南美術の21世紀展<いまとこれから>道立函館美術館
2013年 個展(札幌)


 最後の行にある個展は、さいとうギャラリーで開かれたものだろう。
 函館というと、洋画家は昔から多く出ているが、日本画家はすぐには思いつかない。貴重な存在だと思う。

 で、筆者が付け加えることもあまりないのだが、今回個展で見て、安積さんが「単なる写実画家」でないことを、認識できたのは良かった。

 たとえば、オオバナノエンレイソウを大きな画面(73×61センチ)でいっぱいに描いた「微風」。
 白い花をふちどっている輪郭線は黄色だ。輪郭線は暗色にされることが多いが、黄色は珍しく、絵全体に明るい雰囲気を行きわたらせている。
 作品によっては、輪郭線をかかないものもあるし、写実の度合いにしても微妙に変えているようだ。「樹影」は、群青とオレンジの組み合わせが新鮮に感じられる。 

 作品はほとんど新作だが、1点だけ、奥の壁にあった「静影」だけが2009年の作だった。
 これは写生ではなく、道外にいた安積さんが、記憶をたよりに描いた雪景色だという。冬の森は、青みを帯びている。
 筆者はこの絵を見て、北海道出身者の「郷愁」ということを思った。日本の他の地方とは大きく異なる風土のもとで育った道産子たちは、やはり故郷を思う気持ちが、誰よりも強いのだろうか。

 昔、タルコフスキー監督の映画「ノスタルジア」で、イタリアを旅している主人公がロシア人の郷愁について語る場面があり、筆者は「郷愁は誰にだって等しくあるんじゃないか」と心中考えたが、この年になり、そうとも限らないのでは、と思うようになってきている。


2014年6月19日~7月15日(火)正午~深夜0時(日曜~午後9時)、 水曜定休(7月8日は臨時休業)
CAFE ESQUISSE)札幌市中央区北1西23 メゾンドブーケ円山)



・ジェイアール北海道バス「北1西20」から約340メートル、徒歩5分
 ※札幌駅、北1西4などから、手稲・銭函方面行き。ただし、快速、都市間高速バスは停車しません
・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約450メートル、徒歩6分
 ※快速、都市間高速バスなど全便が停車します

・地下鉄東西線「円山公園」駅5番出口から約460メートル、徒歩6分

・ジェイアール北海道バス「桑11」(JR桑園駅-啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分


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