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追記あり■杉吉篤個展 (2014年2月1~24日、札幌)

2014年02月23日 01時23分45秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(末尾に、作品名を付しました)
 
 杉吉篤さんは札幌の画家。
 以前は、毎年暮れの時期にギャラリーユリイカで個展を開くのが通例だったが、同ギャラリーが2008年に閉まって以降は個展の回数も減り、今回の個展は実に4年ぶり。しかも4年前の個展は旧作の展示だったから、新作メーンの個展となると、ほんとうに久しぶりで、2009年の「たぴお」以来となる。

 ここ10年ほど取り組んできた、架空の獣を真横からとらえ、背景は白く抜いた作品もあったが、今回はおもなモティーフが、人間になっている。
 人間といっても、具体的な誰かというよりは、顔が見えない、これまでの獣の延長線上にあるような、そんなモティーフだ。
 たとえば、冒頭画像の手前は「羽の生えた女」と題されているけれど、木や骨で組み立てられているような、不思議な存在としか言いようがない。よく見ると、それぞれの部位が離れて宙に浮かんでいるようでもあるし。

 


 会場入ってすぐ左側の小品も、ふしぎな味わいがある。
 一番左側の小品「家と人」は、めずらしく背景に地平線を含む風景が描かれているので、どこかキリコの作品を思わせる。

 左から3番目の「玉」は、長いドレスを着た女性を真横からとらえた絵で、前に差し出した手の上に、白い玉が浮かんでいる。
 簡潔な構図ながら、なにか考えさせられる作品だ。




 今回の個展の案内状にも印刷されていた「人と家」。冒頭画像の、左から2番目の絵である。
 これも背景は白いが、下には他の色が塗りこめられているのがわかる。
 長いドレスを着ているのでおそらく女性なのだろうが、顔つきもなにもわからない。色数もとぼしい。しかし、最低限の要素だけで組み立てられた画面が、余韻を感じさせる作品だ。
 最小限の要素といえば、熊谷守一を思い出すが、彼のような禅味というか東洋的風雅とはまた異なるように思う。

 杉吉さんは自由美術協会と全道展の会員。
 自由美術では昨年、「光の中」(今回は出品してない)で靉光賞を受賞している(自由美術は会員も賞の対象になる)。
 墨絵の杉吉貢さんとは実の兄弟で、木工の屋中秋谷さんとはいとこ同士にあたる(と、16日にアトリエSachiで偶然にお会いした屋中さんからお聞きしました)。

 出品作は次のとおり。
鳥人
馬と首
遠い記憶
とまどい
人と家
羽の生えた女
いばら
小さな木

祈り
家と人


2月1日~24日(月)正午~午後6時、火曜休み
ギャラリーレタラ(中央区北1西28)



・地下鉄東西線「円山公園」から約370メートル、徒歩5分。「西28丁目」から約520メートル、徒歩7分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「円山第一鳥居」から約690メートル、徒歩9分

・ジェイアール北海道バス「北1条西28丁目」から約270メートル、徒歩4分
(円山公園駅で乗り継いで停留所ひとつぶんだけバスに乗れと言っているのではなく、札幌彫刻美術館や宮の森美術館からの帰り道、ひとつ先にバスを降りて立ち寄るのも一つの手です)


杉吉篤展 "遠い記憶" (2010年)
杉吉篤展(2009年10月)
自由美術北海道グループ展(2008年)

杉吉篤個展(07年)
自由美術/北海道グループ展(2007年)

第2回 野外オブジェ展in栗沢(03年)
杉吉篤個展(03年)
杉吉篤個展(02年)
杉吉篤個展(01年)
杉吉篤個展(2000年)


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