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■第32回大洋会北海道支部展 (2015年1月22~27日、札幌)

2015年01月27日 01時27分27秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 大洋会は全国規模の絵画の団体公募展。
 北海道支部展もかなり初期から毎年開かれており、現在では、春陽や自由美術、一線美術などと並んで最も北海道支部展が長く続いている団体公募展になった。
 団体公募展の中では比較的歴史が新しいが、筆者はこういう展覧会を見ると、ホッとする。
 スーパーリアリズムでも抽象でもないが、いかにも絵画らしい絵が並んでいるからだ。失礼ながらむちゃくちゃ高水準というわけでもないのだが、しっかり画面を構築している絵が多い。




 植野徳子さん「雪の日の詞」。大洋会賞を受賞。
 全体にちらばった白い絵の具が絶妙の空気感をかもし出している。空間の深まりが伝わってくる。




 瀬川裕子さん「窓辺の静物」。奨励賞。
 人物、静物、窓の向こうの風景と、複雑すぎるほど多くの要素を破綻なくまとめている。これは、構図を完成させるまでに相当な試行錯誤をしたのではないかと思う。
 キュビスム的な対象処理が人物や木々の描写を、くどすぎないものにしている。




 大洋会では、会員全員で審査をするのではなく、常任委員が審査にあたるという。
 その常任委員を務める原田富弥さん「風衝林に佇む灯台」。
 いかにも道東らしい、凄絶なまでにさびしい風景。わずかに右下がりの構図が動感を感じさせる。
 カシワ林と雪原の向こうにあるのは、根室半島の北海岸にあるノッカマップ灯台。原田さんは夏に行った際、木が青々としていたので絵にならないと感じ、あらためて3月に再訪してスケッチしてたという。青い海だけが春の兆しを感じさせる。




 おなじく常任委員、加我幸子さん「茜色の残像」。
 画面を横切る鳥などに、東日本大震災への鎮魂などの思いがこめられている。
 目の粗い布が貼られるなど、マチエールにはずいぶんと意が用いられているのが特徴。
 ただ、左下にサッカー選手のコラージュが文字が挿入されて、そちらに目が行ってしまいがちなので、加我さんは、後で消しますと言っていた。

 右側は森田幸江さん「小樽の窓々」。
 藍色の地に、小樽の伝統的建造物が配されたユニークな絵。
 ただし、小樽も古い建物が少しずつ減って、こうやって人為的に寄せ集めないと絵にならないのだなあとも思う。




 左は豊岡猛「工場と室蘭岳」。
 右は中村香都子「N43°SAPPORO」。モティーフと色の配置が相互に独立しているのは、シャガールの「ダフニスとクロエ」を思い出させる。


 3階は、小品が多く並んでいた。
 瀬川裕子さん「窓辺の静物」は、白と緑の色調が涼しげだ。

 他の出品作は次の通り。
中村香都子 ちいさなおうち BAR おもいで ジャズ
瀬川裕子  ブルーの空間 風景(ニセコ) 風景
植野徳子  ミモザ 菜の花 あお色の瓶
森田幸江  画材 秋色のテーブル ライブ
加我幸子  サッカー 檸檬 ばら
赤羽八重子 ぶどう 小川村(信州)
綿谷憲昭  ウトロ港(知床) 旧相内駅(ヤナイ註。これは相内ではなく北見相生と思われる)
豊川陽子  樹氷 君子蘭 樹氷(※ 冒頭画像、右から2点目)
原田富弥  秋の十勝平野展望 地球岬
熊谷富子  羊蹄山(※ 冒頭画像の右端)

(協力出品)
佐藤克夫  余別の海
小林 隆  池の端
工藤良子  なかよし くつろぐ人
早坂 隆  高倉健 黄色いハンカチ(夕張) 積丹風景
石本興治  積丹ブルー

日下康夫  オタモイ海岸

(※ 日下さんの名は案内状にない。案内状にあった手塚陽子さんの作品が見当たらなかった)

2015年1月22日(木)~27日(火)午前10時~午後6時(最終日~5時)
大同ギャラリー(中央区北3西3 大同生命ビル3階)

□大洋会 http://www.geocities.jp/taiyokai1604/

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