クラウドは企業のITシステムの運用基盤として急速に普及している。「クラウドファースト」のキーワードに象徴されるように、新しいITシステムを構築・展開する際にクラウドを最優先の選択肢として検討するという考え方も一般的になってきた。
クラウドに移行することで、業務に必要なITインフラはもちろん、データベースをはじめとする開発・実行環境、さらにはアプリケーションに至るまでオンデマンドのセルフサービスでの調達が可能になる。また、ハードウエア故障への対応やOSアップデートなどの煩雑なメンテナンス作業から解放され、ITを「使うこと」に専念できるようになるというのが、クラウド利用に共通するメリットだ。

株式会社スカイアーチネットワークス
代表取締役社長
江戸 達博 氏
代表取締役社長
江戸 達博 氏
ただ、クラウド利用には思わぬ“落とし穴”にはまってしまうリスクがあることも、十分に理解しておかなければならない。
2001年の創業以来、ITシステム運用管理のプロフェッショナルとして300社を超える企業にマネージドサービスを提供してきたスカイアーチネットワークスの代表取締役社長である江戸達博氏は、次のように語る。
「一口にクラウドといってもサービスを提供するベンダーごとに設計思想が異なっており、当然のことながら各企業がオンプレミスでITシステムを運用してきた業務フローやポリシーとも大きなギャップが存在します。単にセルフサービスで便利になるからといった安易な考えでクラウドに移行してしまうと、そのギャップが露呈して重大な問題を引き起こすケースが少なくありません」
江戸氏が特に注意を促すのは、「監視」「バックアップ」「セキュリティ」の三つのポイントである。