このところ、「シビックテック」という言葉を聞く機会が増えてきた。シビックテックとは、テクノロジーを活用して市民が地域課題に取り組む活動のことである。日本でその中心的な存在となっているのが、非営利団体の「Code for Japan」である。Code for Japanの代表理事を務める関 治之氏に、最近の活動と2016年の展望を聞いた。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所


2015年11月に、年1度のイベントである「Code for Japan Summit 2015」が開催されました。第2回目の開催となります。手ごたえはいかがでしたか。

 予想を上回る大成功となりました。数で言うと、3日で延べ1000人が来場。ユニーク来場者数は590人でした。前回の2014年に比べて4倍くらいの規模です。

Code for Japan代表理事の関 治之氏
Code for Japan代表理事の関 治之氏
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 来場者の満足度も高いようで、ブログを見ると「参考になった」「刺激を受けて始めてみました」といったものが見受けられました。サミットのテーマとして「スタート」を掲げましたが、まさに動き出すきっかけになることができました。

 参加された方からも、例えばCode For Sapporoの方が「TMCN(Tokyo MotionControl Network)コミュニティから、楽しめるような仕組みづくりを学んだ」とか、行政の方が「豊島区の事例を聞いて、オープンにやっていいんだと気付いた。自分たちの街でも実践しようと思った」と話してくれました。こうしたイベントには、伝搬する力があると思います。

2年目のイベントのテーマが、なぜ「スタート」なのでしょうか。

 昨年のテーマは「コネクト」で、まずは各地の活動を連携させたいと考えました。他地域の活動を見て、実際に動き始めた人も多かったのですが、いざ始めてみると悩みごとも出てきます。「ボランティア活動として、どうやって持続するか」「自治体とどうつながればいいのか」「人を集めるにはどうすればいいか」などの課題に直面し、とどまってしまっていることもあります。そうした方の再スタートになるようなもの、あるいはまだ伝わり切れていないところには、これから動き始めてほしいという思いを込めました。

持続的な活動は、確かに難しそうです。

 ブリゲイド(地域ごとのCode for Xのグループ。Xは地域名)によるセッションがありましたが、具体的な解決策として、名古屋の方からの報告がありました。1人がリーダーになるのではなく、毎月代表を変えるのだそうです。これによって、リーダーが疲弊して活動が続かなくなる、といったリスクを回避できます。資金調達の報告もあって、本気でやるなら助成金を得てNPOや社団法人として活動すべきといった内容が共有されました。

サミット以外の活動はどのようなものがあるでしょうか。