25日に将棋タイトル戦「第88期棋聖戦」の挑戦者が24歳の斎藤慎太郎七段に決まった。6月1日から羽生善治棋聖と五番勝負を繰り広げる。
将棋や囲碁のタイトル戦のあの雰囲気を紙面で伝えるのは難しい。関係者しか入れない対局室はピンと張り詰めた空気、しわぶき一つない静寂。先だって井山裕太十段が防衛した囲碁タイトル戦「十段戦」でも、まばたきするにも抵抗があった。
主催社として3年間、対局室に入った。将棋にも囲碁にもまったく縁はなかったが、異次元の空気に圧倒された。記者になってよかったと思えるできごとだった。
あの奥深さを何とか伝えたい。一案として、棋聖戦の対局を直接見ることができる観戦プランが企画されている。
十段戦第2局を開催した大分県宇佐市で奔走した若い市職員から電話をもらった。「また来てください」。熱い声だった。仲間が増えた。(副編集長 小川記代子)