「Docker 1.13」リリース、Swarmモードの強化など多数の新機能が導入される

 米Dockerは1月19日、アプリケーションコンテナエンジンの最新版「Docker 1.13」をリリースした。Dockerクラスタ機能「Docker Swarm」に関連するものなど、多数の強化が加わっている。

 Docker 1.13は、2016年8月に公開された「Docker 1.12」に続く最新版。大きな新機能としては、デプロイを行う「docker stack deploy」コマンドで、デプロイツール「Docker Compose」向け設定ファイルである「docker-compose.yml」ファイルを直接読み込めるようになった。これにより、Docker組み込みのコンテナクラスタ機能であるSwarmモードへのデプロイがより容易になっている。

 Swarmモードではこれ以外にも多数の設定オプションが追加されたほか、「docker run」コマンドにSwarmモードのオーバーレイネットワークへの接続を可能にする「–attachable」オプションが追加されるなど、多くの機能向上が行われている。

 新たにプラグイン機能が正式機能となり、「docker plugin create」などのコマンドが導入された。プラグイン関連APIの変更も行われたため、Docker 1.12で利用していたプラグインはDocker 1.13へのアップデート前にいったんアンインストールし、アップデート後に再度インストールすることが推奨されている。

 CLI(コマンドラインインターフェイス)の後方互換性の改善も行われた。バージョン1.13より古いDockerデーモンの操作が可能になったほか、新しいクライアントが古いデーモンでサポートされていない機能を使おうとした時に適切なエラーを返す機能も加わった。あわせて、コマンドの増加に伴い、やり取りする論理オブジェクトの下でコマンドを再分類した。

 Dockerがどのぐらいのディスク容量を使っているのかをチェックする「docker system df」コマンドや、使われていないデータを消去する「docker system prune」コマンドといった新しいコマンドも加わっている。

 ビルド関連では、「docker build」コマンドに「–squash」オプションが実験的に追加された。ビルド時に生成されたファイルシステムレイヤーを単一のレイヤーにまとめるもので、小さいコンテナイメージを生成する作業を簡素化するという。一方で、イメージの移動によるオーバーヘッドが増加する可能性もあると注意している。また、ビルド時に一時的に作成するコンテナにおけるネットワーク設定を行うための「–network」オプションが追加された。

 Windowsサポートも強化され、Windows環境でのsyslogドライバサポートやWindows Server 2016のオーバーレイネットワークドライバサポートなども導入された。これらに加え、Amazon Web Services(AWS)とAzure向けの「Docker for AWS」「Docker for Azure」もベータ段階を脱して正式版として提供される。

 いくつかの機能廃止も告知されている。大きなものとしてはdockerdへの移行による「docker daemon」コマンドの廃止や、Dockerfile中での「MAINTAINER」命令の廃止などがある。

 Docker 1.13はプロジェクトのWebサイトより入手できる。Linux向けのバイナリに加えてWindowsやMac OS X向けのバイナリも提供されている。

Docker
https://www.docker.com/