<金口木舌>過疎化と交通費


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 東村の高江中、東中、有銘中の3中学校は4月から統合され、新たな「東中学校」としてスタートする。昨年3月は大宜味村内の津波小、塩屋小、大宜味小、喜如嘉小の4校が統廃合され1校になった。いずれも人口減少に伴う児童数の減少が背景にある

▼離島やへき地の小中学校は、学校行事がそのまま地域行事になる。かつて担当していた久高島の小中学校では、年に1度の運動会は区の運動会になり、伝統漁法の追い込み漁は総合学習になった
▼閉校で、ともしびが消えていく焦燥感を覚えるのは、在校生や卒業生だけではないだろう。しかし過疎化について効果的な解決策はなかなか見いだせないのが現状だ
▼小中学校でさえ広域化する中、北部に住む生徒たちの高校への通学費や送迎する親の負担は今に始まった問題ではなかろう。北部圏域から生徒が通う県立北部農林高校の調査によると、バス通学者の2割が通学費に月2万5千円以上かかっていることが分かった
▼生徒たちの放課後の時間が、通学費捻出のためアルバイトに時間が割かれる現状が浮かび上がる。割引率の高かったバス回数券の復活も検討が必要だろう
▼予約をすれば、自宅までバスが迎えに行き、乗り合いで目的地まで連れて行くデマンドバスを以前取材したことがある。高齢者が対象だったが、児童や生徒への適用拡大も、一考の価値がある。