日曜に見ておきながら会期中に間に合わず、すみません。
戸山麻子さんは、武蔵野美大を卒業、2004年の道展で新人賞、12年は佳作賞を受けた版画家。
東京でも何度も個展を開いている。
札幌では、2007年にカフェエスキスで、一昨年も大同ギャラリーで、個展を開催した。
会場を見ると、大作は一般的な版画よりも大きい。
冒頭は「静謐なる森」。
右端の作品は「滲むように空のどこかへ」
まわりの部分は木版で、線刻のリズムが、繰り返す雨音のように気持ちいい。
色数に選択肢の多いアクリル絵の具を用いているという。
アクリル絵具は耐水性にすぐれているので、あとで模様を追加するときにも好都合だとのこと。
浮かぶ模様の部分はコラグラフとよばれる技法で、こちらは銅版画用のインクを使っている。
かなり面倒な技法の併用をしていることがわかる。
戸山さんは「だれかに聞くわけにもいかないですしね」と笑っていた。
しかし、こういう技法の試行が、いかにも穏やかでのびやかで、ほがらかな画面を作り出すことにつながっているんだろう。
青系統がメーンになっていない作品も、やわらかいトーンが心地よい。
色と色の輪郭線もぼんやりとしている。
こちらは支持体が板の作品。
といっても、版木をそのまま壁にかけているのではない。
色のついているところは、雁皮紙に刷った版画を貼り付けている。
出品作は次のとおり。
水鏡１
彼方へ２
一億光年の旅２
一億光年の旅１
滲むように空のどこかへ
静謐なる森
淡き山にめぐる
水無月に吹く
さらさら１
さらさら２
銀の庭２
水鏡２
彼方へ１
お日さまのはしご
風 ねむる
For You
おかえり
I and scape
2014年11月13日(木)～18日(火)午前10時～午後6時（最終日～午後5時)
大同ギャラリー（札幌市中央区北3西3 大同生命ビル3階）
・美容室「キートス」（中央区大通西17 CASAFORTE 2階）でも来年2月末まで作品展示中。
【告知】戸山麻子 銅版画とコラグラフ 森のうたたね （2012)
