藤井七冠、大きな目標 将棋名人戦で偉業、県内反応 

2023/6/3 09:29

 将棋の藤井聡太六冠が第81期名人戦7番勝負を制し、20歳で史上最年少名人と七冠を果たした。熱戦から一夜明けた2日、昨年の人間将棋で藤井七冠(当時五冠)と交流した天童市の将棋教室で学ぶ子どもたちは「七つのタイトルを取るなんてすごい」と驚き、プロ養成機関の奨励会で実力を磨く東根市の中学生は「はるか上の存在」と感服の様子だった。

 昨年4月、藤井七冠の人間将棋参加は、現地観覧の定員660人に対し県内外から1万1714人の応募が殺到する人気となった。帰途に就く際、JR天童駅にある天童将棋交流室をサプライズで訪れ、子どもたちを喜ばせた。

 この一人で天童市津山小5年の佐藤琉聖君(10)は「名人戦では自分には考えられないような手を指していてすごかった。自分もプロになり、対局できるように頑張りたい」と話した。

 同市天童北部小3年の丸子陽平君(8)は七冠を喜びながら交流を振り返り「毎日9時間練習していると話していた。自分も同じくらい努力できるよう頑張っている」、兄で同校6年の颯太君(11)は「憧れの存在で、目標」とし「まず奨励会合格を目指したい」と意気込みを高めた。

 初の八冠制覇へ向けて残るは王座戦のみ。人間将棋会場の控室であいさつを交わした日本将棋連盟天童支部会長の大泉義美さん(77)は「将棋界をけん引するスターの活躍にこれからも目が離せない」と語った。

奨励会で腕を磨く東根一中1年の黒沼亮人さん=東根市

存在追い、諦めず昇級目指す-奨励会・黒沼さん(東根一中1年)

 奨励会で昨年9月から腕を磨く東根一中1年の黒沼亮人(ゆきと)さん(13)も、藤井七冠に憧れる一人だ。最年少での偉業達成に、「手が届かないはるか上の存在」と仰ぎ見た。

 黒沼さんが天童少年少女将棋教室に通っていた2020年7月、藤井七冠が初タイトル(棋聖)を最年少で獲得した。東根中部小4年だった黒沼さんは本紙の取材に「毎日詰め将棋などを頑張っていつか藤井さんと対局したい」と話した。

 あれから3年。自身はプロ棋士養成機関へと歩みを進め、東京に月2回通い、昇級を目指し全国の猛者と対局を重ねる。成績が振るわなければ強制退会もある厳しい世界。瞬く間に将棋界のトップへと駆け上がった藤井七冠に対して「たどり着くまでには壁が何枚も何枚もある。思っていたよりもずっと遠い」と語る。自身の実力も上がったからこそ、偉大さが身に染みる。

 「いつか対局したい」との思いはあるが、今はその言葉は封印し「何があっても諦めず昇級を目指す」。一歩一歩、憧れの存在を追う。

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