男性「6年も拘束。過ち解明を」検察側も異例の無罪主張 強姦事件再審、大阪地裁

 強姦などの罪で懲役12年が確定し、服役中に被害証言の虚偽が判明して釈放された70代男性の再審初公判が19日、大阪地裁(芦高源裁判長)で開かれた。男性は「無実の罪で逮捕されてから6年間も拘束された。警察、検察、裁判所には、この過ちを解明してもらいたい」と要望し、罪状認否で改めて起訴内容を否認。検察側も意見陳述で無罪を主張した。即日結審し、今秋にも無罪判決が言い渡される見通し。

 また、弁護側は「検察や裁判所は無罪にするだけでなく、無実の人間をいかにして有罪にしたかを反省し、検証すべきだ」と批判。当時事件を取り調べた検察官らの証人尋問を請求したが、芦高裁判長は「必要性がない」と退けた。

 事件をめぐっては、被害証言をした女性が平成26年5月、親族に「全部嘘だった」と告白し、弁護側が同年9月、地裁に再審請求。大阪地検も再捜査で「性的被害がなかった」との診療記録が見つかったなどとして、服役から約3年半後の昨年11月に刑の執行を停止して釈放。地裁が今年2月に再審開始決定を出した。

 男性は16年と20年に当時10代前半だった同居人の女性に性的暴行を加えたとして、20年9~11月に強姦と強制わいせつの罪で逮捕、起訴された。一貫して無罪を主張したが、女性の証言などが決め手となり、大阪地裁、高裁が懲役12年を宣告。23年4月に最高裁の上告棄却で刑が確定し、服役した。

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