起訴事実の積み上げに執念みせた検察 号泣元県議在宅起訴の理由 

 「野々村被告が得た金は、税金から用意された紛れもない公金。返還は当たり前で、仮に不起訴にした場合、県民や国民が納得するとは思えない」。元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)を在宅起訴した理由を、検察幹部はこう説明する。

 政活費の不正支出は、ほとんどが不起訴となるなかで、地検が在宅起訴に固執したのは、「他の議員が二度と同じことをしないよう、議員の立場を悪用した政活費の詐取への警鐘を鳴らすため」(別の検察関係者)だ。

 そのために、検察は刑事訴追する金額にこだわった。

 県警が昨年7月、書類送検した際、野々村被告が詐取したとする政活費は約220万円。しかし地検は数回にわたって野々村被告を呼び出し、任意の聴取を重ねた。県警にも新たな証拠を求める「二人三脚の捜査」(検察幹部)で、野々村被告が県議会事務局に提出した領収書などを一つ一つ調べた。

 その結果、野々村被告が虚偽の日帰り出張の旅費として認めた計345回のうち、正当な支出は1件だけだったと判断。ほぼ全額の計344回、計約830万円分の日帰り出張を裏付けた。

 一方、野々村被告は現在、大阪市住之江区にある実家の市営住宅で両親とともにひっそりと暮らしているとみられる。

 約1カ月前に野々村被告を見たという近所の住民によると、白いシャツに黒いズボン姿で、うつむき気味に歩き、やつれた様子だったという。

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