実用性と遊びゴコロが絶妙にマッチ!
稲見・檜山研究室が、今年のSIGGRAPHでお披露目するのは「MetaLimbs: Multiple Arms Interaction Metamorphism(直訳-メタリム:多数の腕との相互作用と変成作用)」。
正式発表に先立って公開されたこちらのYouTubeビデオは記事執筆時点で7万回以上再生され、早くも人気を集めているようです。
ビデオの説明によれば、ヒトの体は複雑な作業をこなせる反面、四肢の限界という物理的な壁に阻まれることがあります。たとえば荷物で手がふさがっていてドアを開けられないとか、子どもをだっこしながら傘がさせないとか…。
そんなときに「MetaLimbs」。ロボットアームを自分の体に取りつけることにより、人間の体の限界を超えられます。
進化し続けてきた義手・義足市場においてユニークなのは、「MetaLimbs」が足と連動して動くところ。光学センサーが足の甲とひざにとりつけたマーカーの動きと回転をトラッキングし、ロボットアームに同じ動きを再現します。さらに足の指を使って手と指の動きをこまかくコントロール。モノをつかんだときは、触覚センサーにより足の指にもその感覚が伝わります。紙コップやボールもつかめますし、慣れてくれば自分の腕を同時に動かしてロボットアームとチャンバラ対戦もできます。
アームの先に装着しているデフォルトの「手」のほかにも、「はんだごて」や「PASMOくんの手」、なにやら「タコの触手」のようなあやしげなオプションも?
ただ、足とロボットアームを連動させているだけあり、歩きながらの「MetaLimbs」はムリ。テンシンハンみたいに腕を増やしてバトルってわけにはいかないようで、逆に安全でもありますね。座ったままが基本ですが、場合によっては立ちながらこんなこともできちゃうみたいです。
なんだか虫から進化した別生物のようにも見えて、ちょっとユーモラスな姿です。
研究室のウェブサイトによれば、「MetaLimbs」を開発した稲見研の目指すところは、テクノロジーの助けを借りて人が本来やりたいことを自在に行なうことを可能とする「自在化」だそうです。
稲見・檜山研究室のビジョン:我々は、機器に代替作業をさせる「自動化」と並立する概念として、本来人がやりたいことを自在に行うことを可能とする「自在化」を提唱しています。(中略)
自在化技術で新たな身体観を獲得することで現在進行中の情報革命は最終段階へと進むことになるでしょう。
「MetaLimbs」を使いこなすにはかな~りの訓練が必要でしょうが、人間の順応力は機械にも勝るもの。練習すればロボットアームも自在に操れるようになり、人間の体の限界をひとつ超えられるようになるんでしょうか。近い未来、通勤電車のおとなりさんがつり革をにぎっている手は、「タコの触手」だったりして。
Image: InamiLaboratory
Source: 稲見・檜山研究室
Andrew Liszewski - Gizmodo US[原文]
(山田ちとら)