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2009年12月24日
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2009.12.24 
南アW杯にむけてのある話

和歌山県は日本サッカー生みの親「中村覚之助」の故郷(那智勝浦町)であり、日本代表のユニフォームの胸の「八咫烏(ヤタガラス)」は、中村氏の故郷の熊野那智大社の守り神であり、最もサッカーとの関わりの深い土地の一つである。
その和歌山県をデンマーク代表チームは、2002年5~6月の日韓共催W杯の時の合宿地に選んだ。この話は、合宿に同行した友人の記者から聞いた、デンマーク代表キャプテンのトマソン選手、そしてオルセン監督の話である。
2010年6月、日本代表が南アフリカW杯の予選で同じ組で戦うデンマーク代表チームは、監督はオルセン監督、キャプテンはトマソン選手で変わらず、こういう人達で構成されているチームだということを知って頂きたく報告する次第である。

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【ワールドカップ・デンマーク代表 トマソン選手の優しい逸話】

デンマークのトマソン選手の優しき一面を語りたい。
それはある握手会でのことである。
デンマークというチームはキャンプ地の和歌山で練習を全面公開し、
和歌山県民との交流を積極的に行った。
練習後は地元サッカー少年たちとミニサッカーを行い、握手会、サイン会もたびたび行った。
そのひとコマの話である。

あの日も、いつものごとくサイン会が行われた。
気さくなデンマークの選手たちを、県民は大好きになった。
選手たちのサインを求め、長蛇の列が出来上がっていた。
気軽にサインをするデンマーク選手たち。
勿論、トマソンもその中にいた。
その最中のことである。

トマソンの前に、ある少年が立った。
彼はトマソンの前に立ちつつも、少しモジモジしていた。
後ろに立っていた母親らしき人が彼を促す。
「 ほら!早くしなさい! 」
と彼に言っていた。
トマソンも少し「変だな」と思ったのでしょう。
通訳を通じ
「 どうしたの? 」
と彼に聞いた。
意を決した少年は、ポケットから一枚の紙切れを出し、トマソン選手に渡した。
それは学校の英語の先生に書いてもらったものだという。
英語で書いた、その紙切れにはこう書いてあった。

ボクは小さい頃に、病気にかかって、口と耳が不自由です。
   耳は聞こえません、話せません・・・。
   だけどサッカーだけはずっと見てきました。大好きです。
   デンマークのトマソン選手とサンド選手が好きです。
   頑張ってください。

その手紙に、通訳もその場にいた我々記者も驚いた。言葉が出なかった・・・。
だが、トマソン選手はニッコリと微笑み、少年に
「 それなら君は手話はできますか? 」
と手話で語りかけた。
その『言葉』に驚く少年と母親。
再度聞く、トマソン。
「 手話は分かりませんか? 」
と・・・。

それを見ていた人が、トマソンに英語で
「 ミスタートマソン、手話は言語と同じで各国で違うんですよ。 」
と言った。
手話を万国共通と思う人が多いのだが、国によって違うし、ましてや日本国内でも地方によって違う。
「そうだったのか・・・」という顔をしたトマソン。
そして彼は通訳にこう言った。
「 ボクは彼と紙で文字を通して話をしたいのですが、手伝ってください。 」
微笑んで
「 分かりました。 」
と答える通訳。

トマソンは
「 後ろの人たちにも彼と話す時間をボクにくださいと言っておいてください。 」
とも言った。
後ろで順番を待つ人たちは何も文句を言わなかった。一言も文句を言わなかった。
彼らに「2人の時間」をあげたいと他の人たちも思ったのでしょう。
そして通訳を介し、少年とトマソンの『会話』が始まった。

「 君はサッカーが好きですか? 」
「 はい。大好きです。 」
「 そうですか。デンマークを応援してくださいね。 」
「 はい。・・・あの、聞いていいですか? 」
「 いいですよ。何でも聞いてください。 」
「 トマソン選手はどうして手話ができるんですか?正直、ビックリしました。 」

この少年の質問に彼は答える。
「 ボクにも君と同じ試練を持っている姉がいます。
   その彼女のために、ボクは手話を覚えたんですよ。 」

その彼の言葉をじっくりと読む少年。
そしてトマソンは少年に言った。
「 君の試練はあなたにとって辛いことだと思いますが、
君と同じようにあなたの家族もその試練を共有しています。
君は一人ぼっちじゃないという事を理解していますか? 」
この言葉に黙ってうなずく少年。
「 分かってるなら、オーケー!
   誰にも辛いことはあります。
   君にも、ボクにも。そしてお母さんにも辛いことはあるのです。
   それを乗り越える勇気を持ってください。 」
と、トマソンは言った。

このやり取りに涙が止まらない母親。
この光景を見ていた我々記者も涙した。
その場にいた人たち、その2人を見ていた人たちも涙した。
そして、トマソンは最後に少年にこう言った。
「 ボクは今大会で1点は必ず獲ります。
   その姿を見て、君がこれからの人生を頑張れるように、ボクは祈っておきます。 」

この言葉に・・・この少年は初めて笑顔を浮かべた。
「 はい!応援しますから、頑張って下さい。 」
と少年は言った。
そしてサインをもらい、その場を後にする少年と母親。
私の取材に、母親は目に涙を浮かべて言った。
「 あんなことされたらデンマークを応援しないわけにはいかないですよ。
   日本と試合することになっても、私らはデンマークを応援しますよ。 」
と、涙を流し、笑いながら言った。

そして、このトマソン・・・。少年との約束を守り、得点を決めた。
1点どころか、彼は4得点という大活躍だった。
1次リーグ、フランスという前回覇者と同組だったデンマーク、彼らをボクは応援した。
勿論、和歌山県民も応援に訪れた。
試合が韓国であろうとも、彼ら和歌山県民は応援に駆けつけた。
オルセン監督は言った。
「 試合会場が韓国であったとしても、和歌山の応援は分かった。あれが我々の力になった。 」
と。
和歌山県民の応援も実ったのであろう。
フランスと同組のA組ながら、デンマークは2勝1分け。見事1位通過を決めたのである。

そして迎えた決勝トーナメント1回戦。
場所は新潟スタジアム。相手はあのイングランドであった。
スタンドからは
「 ベッカム!!! 」
という声が至るところから響いていた。
その声に和歌山県民は叫ぶ。
「 ダニッシュ・ダイナマイトで・・・にわかイングランドファンを黙らせろ! 」
「 ベッカムがなんぼのもんじゃ!頼むぞ!デンマーク! 」
と叫んでいた。

・・・だが、この応援も届かなかった。和歌山県民の思いは通じなかった。
デンマークはイングランドに0-3という予想外のスコアで敗れてしまった。
その日の和歌山県には雨が降ったという。
県民の涙雨だったのかもしれない・・・。

負けはしたが、和歌山県民はデンマークというチームを誇りに思っていた。
「 よく頑張った! 」
「 後は快く母国に帰ってもらおう! 」
という言葉が彼らの合言葉になった・・・。
だから彼らは行った。
『デンマークお疲れ様!会』なるものが宿泊先のホテルで行われた。
そこに駆けつける多数の県民。
会場にはあふれんばかりの県民が駆けつけた。
その催しに
「 ありがたいことだ。 」
と言ったオルセン監督。

もちろん選手たちも全員出席した。あのトマソンもその場にいた。
そこでトマソンは見つけた・・・。『あの少年』を見つけた。
少年と母親もその会に出席していた。
少年と母親の元に、通訳を携え近寄るトマソン。

トマソンの姿に気付いた母親は頭を下げる。
少年はトマソンへ笑顔を向ける。
そして、トマソンは少年にこう語りかけた。
「 せっかく応援してくれたのに負けてごめんね。 」
と『紙』で語りかけた。
これに少年は答える。
「 お疲れ様でした。負けたけど、カッコ良かったです。
   それに、約束どおり点を獲ってくれたからボクは嬉しかったです。 」
と・・・。
「 ありがとう。 」
と言うトマソン。

そして、この少年にトマソンは言った。
「 ボクから君に言える言葉はこれが最後です。よく聞いて下さい。 」
「 はい。 」
「 君には前にも言ったとおり、試練が与えられている。
   それは神様が決めたことであり、今からは変えられない。
   ボクが言いたいこと分かりますか?」
「 はい。 」

「 君にも必ずゴールを決めるチャンスを神様はくれるはずです・・・。
そのチャンスを君は逃さず、ちゃんとゴールを決めてください。」
とトマソンは言った。 


この言葉に少年は満面の笑顔でトマソンに
「 はい。 」
と言った。
そして2人は
「 さようなら。 」
「 頑張って。 」
という言葉を残し、彼らは別れを告げた。
最後に2人は仲良く写真に収まった。
とびっきりの笑顔を浮かべ、ファインダーに収まる2人。
この写真は少年の宝物になることだろう。

トマソンに出会ったことによって、少年は『前に進む』に違いない・・・。
彼の転機になることを祈ってやまない。
小さな少年、心優しきトマソンに、これからも栄光あれ・・・。

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【追加の話】

ちなみにデンマークチームに関しては、以下のようなお話もあります。

チームが事前キャンプで和歌山市に滞在していた5月。
練習場から帰る選手のバスを追う2人の小学生の姿があった。
1人は母親が漕ぐ自転車に乗り、もう1人は走って追いかけた。
練習場でサインをもらい損ねた親子だった。

子供らが3キロ近く離れたホテルに到着した時、バスには既に選手の姿がなかったが、
2人に気づいたオルセン監督が笛を吹いて選手を呼び集め、全員でサインをプレゼントした。
子供たちは大喜びし、母親は感動して涙をこぼした。
「 子供に頼まれたら応えるのが当然。 」
と言う監督。
「 和歌山ですばらしい環境を提供してもらったお返し。 」
と、全ての練習をファンに公開し、選手も気軽にサインに応じた。
ファンは日増しに増え、最後の練習となった13日には、2500人もの市民が練習を見守った。

チームは17日朝、和歌山市のホテルを出発、帰国の途についた。
早朝にもかかわらず大勢のファンが「感動をありがとう」と見送り、選手らは手をふって最後の声援に
応えた。

以上
                                                              (花井)





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最終更新日  2009年12月24日 14時39分52秒
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