IT業界はSoftware-Defined(ソフトウェア定義)の宣伝にやっきになっているが、彼らの期待ほどには盛り上がっていない。
かつて嘲笑されていた「クラウド」という用語がようやく浸透し始めたところで、IT業界の宣伝マシンがまた新しい用語を私たちに押し付けている。「何もかもソフトウェア定義(Software-Defined Everything:SDE)」はおなじみの3文字形式を取っているが、多くのCIOにとって、その具体的な意味はもっと説明的だったかつての前例と同じくらい漠然としている。
かつてのクラウドと同じく、SDEは仮想化の進歩を通じてITの真の柔軟性とアジリティを実現するという、長年の夢だった境地へ私たちを導くと約束する最新技術とアプローチを全て網羅する用語として使われている。
現在のクラウドのほとんどが、仮想サーバ、処理能力、ストレージ(およびその上でホスティングされるサービスとアプリケーション)を簡単に運用する手段を意味するようになったのに対し、SDEはデータセンターとその先にある全て、すなわちコンピューティングやストレージからネットワークとデバイスに至るまで、何もかも仮想化する概念を指す。つまり、IT部門はITプロビジョニングと管理を全てソフトウェア経由で自動化することが可能になる。ここで使われる標準的なコモディティソフトウェアは、実質的にIT部門の目には見えなくなる。しかも、現在のパブリッククラウド/プライベートクラウドにありがちなインテグレーションや手作業による設定という避けられないボトルネックはなくなる。そして、CIOは高速かつ効率的で拡張性の高いITサービスを組織に提供することのみに専念できるようになるという触れ込みだ。
工業的規模と効率性を備えた、広大で拡張性の高いデータセンターを構築しようとする巨大クラウドのオペレーターやプロバイダーにとって、確かにこのアプローチは不可欠だ。実際にSDEの大部分は、Facebookの「Open Compute Project」(データセンター全体の標準化と自動化推進を目指すプロジェクト)のような発展を手掛かりとしている。だがこのアプローチが転じて本当に幅広い企業に浸透するのか。もしそうだとしても、今はそれに対して何かをすべきときなのか。
有望視する見方もある。IDCの予想では、ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)の市場は、10億ドル足らずだった2014年から、2016年には37億ドル、2018年には80億ドルに成長する見通しだ。Gartnerは、2017年までには大企業の半数以上が、アーキテクチャに関してクラウド大手と同じようなアプローチを採用していると予想する。一方、Frost & Sullivanは、少なくともアジア太平洋地域で超成長が始まると予想。「ソフトウェア定義革命がデータセンターの境界を越えて広がり、2015年はSDEの年になるだろう」と予測した。
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だがCIOたちの見方はもっと慎重だ。
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