(承前)
引き続き、入口と駐車場を結ぶ中央通りよりも北側に設置された作品群を紹介します。(2)の、鈴木順三郎さんや伴翼さんの、比較的近くです。
まず、最も北側の奥にあった、半谷学「NATURE UMBRELLA」。
半谷さんは、群馬県と帯広の両方を拠点としながら制作しています。
今回は、風でぐるっとゆるやかに回転する傘のような作品を3本、自立させました。
青空に映える白い羽のようなかたちの美しいこと!
防風林の「風」を生かした、見事な作品だと思います。
半谷さんは、2000年に、宮城県気仙沼の学芸員から提案されて、カキ養殖の妨げになる海藻で作品作りを始めました。
昨年暮れ、札幌・福住の六花亭で見た作品は、今回のものに似ていて、大きな薄い羽根のような構造をしていたが、ところどころに小石がすきこまれるように挟まっていたのが気になっていた。そりゃあ、養殖の現場から取ってきたのなら、小石もあるよなあ。
大震災のあとには現地に駆けつけ、いまも交流がつづいていることに、半谷さんは「人と人との交流が、美術をやっててほんとによかったと思うことです」と語っていました。
松岡つとむ「ソラミミ(野風琴)」
松岡さんは、十勝でも最も北にある上士幌町で「山猫工房」を開き、自作の楽器などを作っている方。
オープニングでは、自作の歌を披露して「アートってなんだ~♪」と歌っていました。
どういう仕組みになっているのかわかりませんが、風が吹くと、それに呼応して音が鳴る作品です。
サウンドアートなど、「音」を主体にしたアートの分野があります。筆者が接してきたものはごく少ないのですが、それでも、これまでのサウンドアートの中で、いちばん感動しました。風そのものが音を発しているような、そんな音でした。
これも松岡さんの作品。「風の鳴る木」。
澁谷俊彦。
資料には「ホワイトコレクション」とありましたが、「スノーパレット」ではないかと思います。
今回、「風」を意識した作品が多数ありましたが、「雪」を意識し、しかも以前からそのことに取り組んでいる作家は、今回の参加者のなかでも澁谷さんだけではないかと思います。
澁谷さんは札幌在住で、モノタイプ版画から出発し、近年はインスタレーションで海外からも高く評価されている作家です。
この項を書いている現在、小樽の運河プラザなど2カ所、札幌のクロスホテルと500m美術館、石狩管内当別町のアイスホテルでも発表中という、多忙ぶりです(計6カ所!)。
円盤の下側に塗った蛍光塗料が雪原に反射して、ほのかな色を出すという仕組みです。
写真を見た人が
「雪に色をつけている」
と勘違いすることがあるそうですが、雪にはなにも手を加えていません。
おそらく、澁谷さんとしては、もうすこし雪の量があれば、色味が強く出るという計算だったと思います。筆者が見たのは初日で、そのあと雪が積もったときいていますので、もっと色がくっきりしているでしょう。
荒井善則「Soft Landing to Field in Bofurin」
旭川と長野県を往復しながら、おもにインスタレーションを制作しています。
札幌、海外でも精力的に活動しています。
ケーキの白いクリームの上にささったろうそくのように見えました。
高さ3メートルと資料にあります。
塩田晃「root」
塩田さんは帯広在住。
「帯広のイメージは広大な畑や防風林ですが、元々は原生林。切り開く過程でたくさんの根っこが掘り起こされたと思います」
と語る塩田さん。根っこに麻の布を張りました。
わりと小ぶりな作品ですが、現在の畑や防風林だけではなく、その過去に目を向けた作品は、今回の参加者でも塩田さんだけではないでしょうか。
かえって、この小ささが、原生林を切り開いた先人の偉大さと、それでも自然にはかなわない人間の小ささの、双方を表現しえているのではないかとも思えてくるのです。
□MANABU HANGAI Art Works http://www.hangais.com/art.htm
■秋の漂い 冬の群れ 半谷学展 (2013)
□山猫工房 http://yamaneko7.digi2.jp/
□Artist Toshihiko SHIBUYA Official Website http://toshihikoshibuya.com/
□http://blog.toshihikoshibuya.com/
■澁谷俊彦 THE WHITE COLLECTION / GENERATION(2013)
□荒井善則展覧会情報 http://blog.goo.ne.jp/en-gallery
■荒井善則「Soft Landing to Field in Harukayama」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
■置戸コンテンポラリーアート(2012) =塩田さん出品
引き続き、入口と駐車場を結ぶ中央通りよりも北側に設置された作品群を紹介します。(2)の、鈴木順三郎さんや伴翼さんの、比較的近くです。
まず、最も北側の奥にあった、半谷学「NATURE UMBRELLA」。
半谷さんは、群馬県と帯広の両方を拠点としながら制作しています。
今回は、風でぐるっとゆるやかに回転する傘のような作品を3本、自立させました。
青空に映える白い羽のようなかたちの美しいこと!
防風林の「風」を生かした、見事な作品だと思います。
半谷さんは、2000年に、宮城県気仙沼の学芸員から提案されて、カキ養殖の妨げになる海藻で作品作りを始めました。
昨年暮れ、札幌・福住の六花亭で見た作品は、今回のものに似ていて、大きな薄い羽根のような構造をしていたが、ところどころに小石がすきこまれるように挟まっていたのが気になっていた。そりゃあ、養殖の現場から取ってきたのなら、小石もあるよなあ。
大震災のあとには現地に駆けつけ、いまも交流がつづいていることに、半谷さんは「人と人との交流が、美術をやっててほんとによかったと思うことです」と語っていました。
松岡つとむ「ソラミミ(野風琴)」
松岡さんは、十勝でも最も北にある上士幌町で「山猫工房」を開き、自作の楽器などを作っている方。
オープニングでは、自作の歌を披露して「アートってなんだ~♪」と歌っていました。
どういう仕組みになっているのかわかりませんが、風が吹くと、それに呼応して音が鳴る作品です。
サウンドアートなど、「音」を主体にしたアートの分野があります。筆者が接してきたものはごく少ないのですが、それでも、これまでのサウンドアートの中で、いちばん感動しました。風そのものが音を発しているような、そんな音でした。
これも松岡さんの作品。「風の鳴る木」。
澁谷俊彦。
資料には「ホワイトコレクション」とありましたが、「スノーパレット」ではないかと思います。
今回、「風」を意識した作品が多数ありましたが、「雪」を意識し、しかも以前からそのことに取り組んでいる作家は、今回の参加者のなかでも澁谷さんだけではないかと思います。
澁谷さんは札幌在住で、モノタイプ版画から出発し、近年はインスタレーションで海外からも高く評価されている作家です。
この項を書いている現在、小樽の運河プラザなど2カ所、札幌のクロスホテルと500m美術館、石狩管内当別町のアイスホテルでも発表中という、多忙ぶりです(計6カ所!)。
円盤の下側に塗った蛍光塗料が雪原に反射して、ほのかな色を出すという仕組みです。
写真を見た人が
「雪に色をつけている」
と勘違いすることがあるそうですが、雪にはなにも手を加えていません。
おそらく、澁谷さんとしては、もうすこし雪の量があれば、色味が強く出るという計算だったと思います。筆者が見たのは初日で、そのあと雪が積もったときいていますので、もっと色がくっきりしているでしょう。
荒井善則「Soft Landing to Field in Bofurin」
旭川と長野県を往復しながら、おもにインスタレーションを制作しています。
札幌、海外でも精力的に活動しています。
ケーキの白いクリームの上にささったろうそくのように見えました。
高さ3メートルと資料にあります。
塩田晃「root」
塩田さんは帯広在住。
「帯広のイメージは広大な畑や防風林ですが、元々は原生林。切り開く過程でたくさんの根っこが掘り起こされたと思います」
と語る塩田さん。根っこに麻の布を張りました。
わりと小ぶりな作品ですが、現在の畑や防風林だけではなく、その過去に目を向けた作品は、今回の参加者でも塩田さんだけではないでしょうか。
かえって、この小ささが、原生林を切り開いた先人の偉大さと、それでも自然にはかなわない人間の小ささの、双方を表現しえているのではないかとも思えてくるのです。
□MANABU HANGAI Art Works http://www.hangais.com/art.htm
■秋の漂い 冬の群れ 半谷学展 (2013)
□山猫工房 http://yamaneko7.digi2.jp/
□Artist Toshihiko SHIBUYA Official Website http://toshihikoshibuya.com/
□http://blog.toshihikoshibuya.com/
■澁谷俊彦 THE WHITE COLLECTION / GENERATION(2013)
□荒井善則展覧会情報 http://blog.goo.ne.jp/en-gallery
■荒井善則「Soft Landing to Field in Harukayama」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
■置戸コンテンポラリーアート(2012) =塩田さん出品
(この項続く)