Etsuko Kudo solo exhibition 'Flowers of Etrenal'
「いのちって繊細だけど、意外と強靱なんだよねー」
一貫して生命をテーマに絵画を制作し、ことしの冬に開かれた札幌芸術の森美術館主催の「札幌美術展 真冬の花畑」展にも出品した江別在住の画家、工藤悦子さん。
札幌時計台ギャラリーでは隔年で個展を開いている。
会場におじゃました際に工藤さんがつぶやいたひとことが、なぜか忘れられない。
以前は、深い青を基調とする絵だったが、この数年は赤系の作品が多くなった。
マチエールづくりに、かなりの労苦が払われているのはまちがいない。
キャンバスに油絵の具を重ねているとは思えないほど堅固なマチエールは、石とも木とも異なる。
少なくても、工藤さん以外の絵ではまず目にすることのない、独特の質感を持っている。
冒頭画像は、S100号が3枚並んだ壁。
中央の作品が45度傾いて掛かっているのは、故意にしているとのこと。
この壁面は3枚普通に並べるときついので、最初からこのように展示することを想定して、まん中の絵を、斜めにしてちょうどいいように描いたという。
194×520センチの大作。
ちなみに今回の個展は、それぞれの作に題がついているのではなく、全体で「悠久の華」という題である。
画面上方が白っぽくなっているのは、照明を反射しているためであり、白く塗られているわけではない。(写真がへたで、ごめんなさい)
花びらのような部分は、デカルコマニー(転写)と呼ばれる技法を用いている。
絵の具を紙に塗ってキャンバスに押しつけ、はがしたときにできる偶然の模様が、まるで植物の葉脈のように見えるのだ。
まったく偶然にゆだねているのではなく、ある程度は
「こんな模様になるだろう」
と計算を働かせてはいるらしい。もちろんその通りにはならないのだが。
部分をちょっと拡大してみる。
筆者は、天女の羽根みたいだな~と思った。
花そのものが描かれた作品を前にした人は、花だなと直ちに納得してしまい、それ以上深いところまで鑑賞しようとしないことがままある。花のようで花ではないものが描かれると、足をとめて、これはなんだろうと考える。
浮遊。生命。開花。情熱。
いろんな語が思い浮かぶが、しかし、どんなことば(の意味)にも回収されない。それが、視角芸術なんだと、あらためて思う。
このほか、小品も展示されていた。
工藤さんは江別在住。主体美術と新道展の会員。
2010年6月21日(月)~26日(土)10:00~6:00(最終日~5:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)
□主体展 http://shutaiten.com/top.html
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