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■藤女子大学写真部写真展 閃光少女 切り取った一瞬の光 (2014年6月24~29日、札幌)―6月28日は16カ所(2)

2014年06月29日 01時11分11秒 | 展覧会の紹介-写真
承前)

 札幌圏の大学にはたいてい写真部がある。
 10年以上前は、モノクロフィルムで撮影し、自分で現像と焼き付けを行う場合がほとんどだった。リバーサルなどのカラーフィルムを使うよりも安上がりだったからだ。
 時代は変わった。プロもアマチュアもほとんどがデジタルカメラに移行した。
 大学の写真部も例外でなくデジタルとなり、写真展には気軽に撮ったカラーのスナップが並んでいる。そこには、かつてのように、光と影を追求したり、若さゆえの自意識を追求したり、自分なりの主題を追ったりしている若者の姿は見られない。いま、自分では一生懸命やっているつもりの大学写真部員の方がいらしたら申し訳ないけれど、以前にくらべると、札幌圏の大学写真部の作品は、見るべきものがほんとうに少なく感じられるのだ。

 唯一、かつてから焼き付けのうまさには定評があり、静かなたたずまいの風景やスナップを撮っていた藤女子大写真部だけが、10年以上前と全く変わらずに、モノクロフィルムと自家現像の伝統を守り続けている。
 今回、カラーが2点あったし、必ずしもモノクロフィルム以外がご法度というわけではないらしい。
 とはいえ、無人の会場に並ぶ写真を見ていると、あまりの「変わらなさ」に、ちょっと感動してしまう。
 いわゆる「女の子写真」も、トイカメラの流行も、藤女子大写真部には関係のない現象なのだ。

 たとえば「I am」という連作がある。
 学食で談笑する友人、水槽の魚のシルエット、斜めにとらえた夜の公園(?)、ガクアジサイの花、石川淳が戦前発表した小説「普賢」について論述した本などをとらえた7枚。相互に連関はないように見えるが、そこからは「明るく伸びやかな青春」からちょっとだけ引いた位置にいて日々を送っている学生の自画像がおぼろげにうかんでくる。
 それは、ほかの人の、たとえば、コスモスを低い位置からあおって撮ったり、ローカル線の駅舎、道庁の前の池でカメラを抱えてしゃがむ学友などをとらえた写真にも、どこか共通しているし、もっといえば、ずっと以前からの藤女子大写真部に共通する作風なのだ。

 かといって、ことさらに深刻ぶるのでもなく、病的な自意識を強調するのでもない。
 淡々と、低い目線で、静かにシャッターを押す。
 それを代々続けているのが、藤女子大流なのだろうと思う。


 なお、この写真展に直接関係ありませんが、資料館は来週から3カ月間、札幌国際芸術祭の会場となるため、一般の展覧会はお休みになります。


2014年6月24日(火)~29日(日)午前9時~午後7時(最終日~5時)
札幌市資料館(中央区大通西13)



・地下鉄東西線「西11丁目」から300メートル、徒歩4分
・市電「中央区役所前」から480メートル、徒歩6分。「西15丁目」から約420メートル、徒歩6分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「厚生年金会館前」から280メートル、徒歩3分
・じょうてつバス「西11丁目駅」から約360メートル、徒歩5分


【告知】藤女子大学3月展 (2012)

藤女子大学写真部新人展「写(ショット)☆お嬢さん」(2009年)
EX 8th From inside to outside (2009年4月)
藤女子大学写真部写真展 (2009年3月)

藤女子大写真部 平成不劣酒展(ヘイセイフレッシュテン)=2008年7月
7th EX Photo Exhibition(2008年4月)
藤女子大学写真部写真展(2008年3月)

07年3月の写真展

06年の写真展

04年の新人展
04年の写真展

03年の写真展
=2003年以外、画像なし



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