東日本大震災1500日

60代は口出さず、50代は手出さず…駅再開の女川町、若者尊重の街作りのビジョン

 東日本大震災の発生から18日で1500日。「新しい街」も胎動し始めた。

全線復旧「行ってらっしゃい!」

 盛り土が広がる茶色の風景に、白い翼のような屋根がひときわ目立つ。背後には、山に向かって線路が延びている。宮城県女川町にこの春完成したJR女川駅は、東日本大震災の被災地が復興へ羽ばたく姿を印象づける町のシンボルだ。

 平成23年3月11日の震災では、津波の濁流が町をのみ込んだ。死者・行方不明者は当時の人口の約8%にあたる計827人に上る。女川駅も流され、小牛田(同県美里町)と女川を結ぶJR石巻線の約45キロの路線は全線不通となった。それから4年余り。石巻線は3月21日に全線復旧を果たした。

 「行ってらっしゃい!」。多くの町民に見送られた一番列車。開閉式ボタンを最初に押したのは、女川町に派遣された男性職員だった。「自分が携わってきた復興事業が、こうして形になるとうれしい」。そう言ってほおを緩めた。

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