GDPギャップは13兆円程度 日本経済の好循環に必要な政策

2015.05.07


就任3年目に入った黒田東彦日銀総裁。金融緩和第3弾はあるのか【拡大】

 大型連休明けから年末にかけて、日本経済はどのような状況になるのだろうか。

 まず確認しておきたいのは、昨年4月の消費増税は予想以上に日本経済に大きなダメージとなったことだ。ほとんどの経済学者、エコノミストは「影響は軽微」などとまったく間違った予想をしたわけだが、本コラムでは増税から1年が過ぎてもまだ影響が残っていると指摘してきた。ただし、その影響も年後半に入ると、かなりなくなるだろう。

 海外の経済をみても、アメリカ経済は良くなり、欧州も最悪ではない。中国経済は鈍化傾向が顕著になるだろうが、世界全体でみれば劇的な改善はないものの、それほど悪くないと考えられる。

 そうした中で、日米欧など主要国の金融政策がどう影響するのか。米国経済は失業率が底を打ちそうなので、年内利上げの可能性がある。欧州は量的緩和に本格的に乗り出している。これだけで、為替について、ドル/円は安くなり、ユーロ/円は横ばいというのが基本シナリオである。

 そこで、日本はどうなるのだろうか。今のGDPギャップ(潜在GDPと現実との差)は13兆円程度あるだろう。これは結構大きなギャップである。これを今の量的緩和の継続だけでは、早期に埋めることは難しい。

 年後半に10兆円程度の補正予算でもあれば、このギャップは一気に埋まる可能性がある。そうなれば、失業率は3%前半になって、賃金や物価は上昇して、経済は好循環に入る可能性がある。もし、年後半の補正予算がうまくできないと、金融政策でさらなる追加緩和を実施しないと良い経済状況は生まれない。

 要するに、年後半における(1)補正予算(2)追加緩和(3)補正予算+追加緩和−の3つの政策選択肢のうちいずれかが選ばれれば、良好な経済状況が実現するのではないか。

 来年7月に参院選が控えるなか、安倍晋三政権にとっては願ってもない好環境だ。春の統一地方選でも自民党は好調だった。選挙戦のさなかに、日経平均株価が2万円を回復したことも、選挙に好影響だったはずだ。

 筆者の見立てでは、年後半に追加金融緩和が出てくるとはかぎらないが、何らかの経済対策が打ち出される公算が大きい。そうであれば、年後半の景気に対して強気でもいいだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

 

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