北海道美術ネット別館

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■遠くを聴く この言葉で繋がる7人の世界 (11月15日まで)

2009年11月15日 13時07分05秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 
 札幌のフォトグラファー山岸せいじさんは、仕事としての写真撮影、写真を素材にした作品の発表のほか、日々ギャラリーをまわっていて印象にのこった作家に自ら声を掛けて展覧会を組織するということも、かなりの頻度で行っている。

 今回は
「遠くを聴く」
ということばだけを提示し、出品に応じてくれた石黒翔、神谷泰史、中里麻沙子、山岸みつこ、山里稔、吉成翔子の6氏と、山岸せいじさんご本人の作品が並んでいる。
 ふだんはまず一緒に作品が展示されることのない顔ぶれであり、相当ユニークな展覧会になっていると思う。

●太田ひろ&植村恵亮ライブパフォーマンス=11月15日午後5:30




 山里稔「静かなる空間シリーズ「遠くを聴く 2」。「1」も出品。

 山里さんは、1944年室蘭生まれ。
 60年代から70年代初頭にかけて活発に発表していたそうだが、デザイナーの仕事が忙しくなり中断。
 21世紀に入ってから仕事はリタイヤして、ふたたび旺盛な制作・発表をつづけている。
 最近ではことし6-7月に、桑園の飲食店Insomniaで個展を開いており、筆者も見に行ったが、アップをサボっていました(ごめんなさい)。

 山里さんのこのシリーズは、立体造形で、具象的なイメージが採用されていることがほとんど。人間のほか、船や建物などもある。
 ただし、どこか遠いところを望んでいるような、いわば旅愁のような思いがつたわってくるよう。
 特徴は、白、赤、青などに彩色されていること。
「この青は、あんまり使ってる人がいませんからね」
と話していらした。


□yama3(オフィシャルサイト) http://hw001.gate01.com/yamagon/index.html
□山里稔の世界 http://yama3blog.exblog.jp/




 中里麻沙子「昨日の花」

 この春中里さんが道教大を卒業してから、作品を初めて見た。
 15号ぐらいの絵画が2点。画風はあまり変わっていないようで、風景が作者のなかで独自の変容を遂げている。


中里麻沙子個展「温かい室」 (2009年3月)
500m美術館(2008年11月)
SPIRAL 中里麻沙子個展「空気になって歩く」(2008年6月)
FIX・MIX・MAX!アワード入選作品展(2007年)




 神谷泰史「遠くを聴くための装置 1」

 神谷さんは北大在学中、音をつかったインスタレーションをたびたび発表するとともに、レーベルなども発足させていた。現在は、本州在住。
 この作品も、2005年の個展の延長線上にあるもののようだ。過去にこの場所で拾った音が一定の時間を経て(あるいは、ランダムに)おなじ場で再現される。時間軸をあえて交錯させることで、新種の音の空間を現出させる試みだと思う。

 しかし、この小さなハコのなかに、何十ギガというメモリーがおさまっているのか。技術の進歩はおそろしい。


□公式サイト http://windtail.com/
http://www.myspace.com/taishikamiya

500m美術館(2008年)
神谷泰史個展「ubiquitous music」(2005年)




 山岸みつこ「せいめいのき」

 おなじ姓だけど、山岸せいじさんとは家族・親類ではない。
 イラストレーター・絵本作家として幅広く活動中だが、ことし7~8月に琴似の「ソクラテスのカフェギャラリー」でひらいた個展で発表していた立体の小品が、とっても良かった。
 山岸せいじさんも
「あれが出てくると思ってたんですが・・・」。
 発表されているのは大きな染織作品2点。
 これはこれで、ほわーっとした感じが、彼女らしいと思う。




 吉成翔子「あちらからそちらから」

 吉成さんはまだ学生だが、旺盛に制作・発表をつづけている。
 道教大金工研究室らしい力強さを備える一方でとてもメルヘンチックでかわいらしい作品でもある。
 今回は、ちいさなはしごなどを取り付け、空想的な都市風景とも見える作。


金工時間 金属造形作家3人による展覧会 松田郁美・町嶋真寿・吉成翔子(2009年9-10月)
金工展(2008年)=画像なし




 石黒翔「今、私に遠くを、聴く」

 石黒さんは近年、イベントなどで映像作品を発表している若手だということだが、筆者は初見である。
 筆者の下手な写真ではそのよさがつたわらないだろうが、壁に投影される映像は、刻々と変化している。時計の文字盤のようなイメージが映り、時とともに変形し、消えていくこともある。
 さらに、壁の手前に、水を張った大きな皿のようなものが置かれており、その水面に、投影した光が反射して見えるのがミソである。




 山岸せいじ「hitobito1~4」

 あえてピンボケで撮った人々の後ろ姿。
 デジタル撮影だが、ラムダプリント。大きな印画紙にモノクロ出力している。
 「3」だけは複数の画像をつなぎ合わせたもの。
 たまに子どもの顔がわかる部分もあるが、全体としては抽象化された人間の群像。それがかえって、人間存在をリアルに、生き生きしたものにしている。
 筆者は、道立旭川美術館の前にある三木俊治の彫刻「行列」を思い出した。


東川フォトフェスタ ストリートギャラリー (2009年8月)
PHOTOGRAPHY EXHIBITION MOVE 2(2009年2月)
光を編む この言葉に触発された13名の作家達が織りなす世界
東川町フォトフェスタ
ARTIST WEEK vol.1 "air"
Seiji Yamagishi、Takashi Yamaguchi 景一刻
MOVE (以上2008年)
たぴお記念25th + 13th 異形小空間(07年12月-08年1月)
OPERA Exhibition vol.2 (07年)
足立成亮写真展「事の終わり」・micro.の記録展(07年4月)
スネークアート展(07年3月)
山岸さんの個展「景」 (07年3月)=くわしいプロフィルと、過去の展覧会へのリンクあり


2009年11月10日(火)-15日(日)午前10:00-午後7:00
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11 コンチネンタルビル地下 地図C


・地下鉄東西線「西11丁目」から徒歩2分
・市電「中央区役所前」から徒歩1-2分
・じょうてつバスなど「中央区役所前」から徒歩1-3分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「厚生年金会館前」から徒歩4-5分


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