北京大副学長が語る、中国発展4つのポイント(1/5 ページ)

» 2009年12月01日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 早稲田大学孔子学院は11月16日、早稲田大学で公開講演会を開催、経営学者の張国有(ちょう・こくゆう)北京大学副学長が中国が経済発展するにあたってカギとなった4つのポイントについて解説した。

 旧ソ連が崩壊して以降も、社会主義体制を維持している中国。格差問題や環境問題、人権問題など課題は山積しているが、世界不況の現在でも高成長を保っている。その理由はどこにあるのだろうか。

張国有(ちょう・こくゆう)北京大学副学長

データから見る中国発展の歴史

 中国はこの30年間、とても速いスピードで発展し、世界で一番大きな規模で成長しています。日本経済も1950年代から1980年代の高度成長期に大きく成長し、多くの経済学者がその理由について研究しましたが、中国も同じように注目されています。

 中国の30年間の成長について、さまざまな角度から統計を見てみましょう。

 中国のGDP(国内総生産)は1978年には3645億元だったのが、2008年には30兆700億元になりました。この30年間のGDP成長率は年平均9.5%で、世界平均の6.5%より高くなっています。日本の高度成長期のGDP成長率は年平均9.2%で、韓国の高度成長期は年平均8.5%でした。

 1人当たりGDPを見ると、1978年の190ドルから2008年には3314ドルにまで増加しました。世界銀行の基準によると、中国は低収入の国家から、中レベルのうちのやや下のランクの収入の国家になりました。

 国民の消費も食べものや着るものが中心だったのが、住居や旅行など多次元の消費に広がってきました。平均寿命も1981年の67.7歳から、2007年には73歳になりました。

 この30年間で国民の生活にはさまざまな変化がありましたが、中国の経済発展は国民の生活を変えただけではなく、中国の世界における経済的地位も変え、世界経済の構造も変化させました。

 中国はどのようにして速いスピードで、安定して発展してこれたのか、ということについてこれから話していきたいと思います。ただ、この問題は多くの研究者が議論していることで、すべての内容を説明すると時間がかかってしまうので、4点に絞って申し上げます。

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