電磁パルス攻撃とは  上空1,000kmで爆発でも電子機器破壊    ブログ トトメス5世  2017年09月16日

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  電磁パルス攻撃の被害


北朝鮮による弾道ミサイルの脅威が高まる中で、電磁パルス攻撃の被害が注目されています。

北朝鮮は核弾頭を高高度で爆発させ、電磁パルス
(EMP)攻撃を実施する能力があると誇示しています。

実際に保有しているのは確認できないものの、実行された場合に大きな被害が出ると予測されています。


電磁パルス攻撃とは上空100km以上で核爆発を起こし、強力な電磁波を発生させる電波攻撃です。a

上空で強力な電磁波が発生すると、電子機器に過電流が流れて、機器が破損する恐れがあると言われている。

電磁パルス攻撃を受けるのは軍事設備だけではなく、むしろ民間設備の破損が懸念されています。


防衛省の防衛研究所資料によると、特筆すべき脅威として「ブラックアウト事態」を挙げている。

カナダ・ケベック州では1989年3月に、太陽嵐によるたブラックアウト
(大停電)事態が発生していました。

防衛省によるとブラックアウト事態とは、、一時的で局地的な停電ではなく、不可逆的で広範囲な現象をさしています。



不可逆的とは「2度と元に戻らない」という意味で、スイッチを入れ直したり、時間が経っても復旧しない。

発電所や変電所、あらゆる送電設備や電子機器が破損し、すべてを修理か交換しないと、2度と動作しません。

通信途絶、電話、鉄道輸送、無線、コンピューター、輸送網、飲料水や燃料の供給、商取引の停止などが同時に起きると想定されています。


  電磁パルスの被害を受けたら


核爆発による電磁パルスや高周波マイクロ波の被害はアメリカでは1950年代に注目されるようになりました。

1962年にアメリカは105回もの核実験を行い、大半は地下などではなく大気中で核爆発させました。

弾道ミサイルで核弾頭を打ち上げ、ハワイから1,400km離れた太平洋上高度約400km、あるいは高度約1,040kmで水爆を爆発させた事もある。


高度約1,000kmの水爆実験では、3,300km以上離れた米本土の都市でブラックアウト現象が発生しました。

高度約400kmの水爆実験では、1,400km離れたハワイで電子機器の不具合が観測されました。

この時の被害はブレーカーが切れる、街灯が消える、防犯警報装置が誤作動するなどだった。


アメリカは都市から遠く離れた海上で実験したが、ソ連には外洋がないので、内陸部で同様の実験を実施しました。

ソ連の大気中水爆実験では、半径600kmに渡って電力供給が断絶し、地下ケーブルも焼け焦げるなどの被害が出ました。

試算ではモスクワ上空、高度160kmで水爆による電磁パルス攻撃が行われた場合、半径1,600kmに渡って障害が発生する。


仮に日本の首都圏上空でEMP攻撃が行われると、半径数百キロの範囲で「不可逆的に」配線が焼けたり電子機器が壊れる事態が予想される。

始末が悪いのは復旧や修理には電気が必要なのに、発電所は発電できなくなり、ガソリンスタンドも給油できなくなる。

自動車の電子制御式の燃料噴射装置なども動かなくなり、電車やディーゼル気動車も運行不能になる。


  日本に着弾しなくても攻撃可能


使用できる移動手段は自転車だけで、むろん信号は消え、携帯電話も固定電話も無線機も壊れてしまう。

外部から壊れていない機器を搬入するしか復旧方法はないが、日本列島の上空で何発も爆発させた場合、
九州から北海道までの全ての電子機器が破壊されてしまう。

こうなると日本国外から壊れていない機材を搬入するしかなくなり、数十年間は電子機器をほとんど使えなくなる。


農機具とか肥料の生産も一切出来なくなるので食料生産もできなくなり、多くの人が餓死する可能性もあります。

今のところEMP攻撃を受けたら「何キロ以内でどんな被害がある」というデータは公表されていません。


日本は核兵器を有していないので、その手の実験を行った事も無く、従って防御する研究もほとんど行われていません。

銃を使った事が無い人が、銃への対処法を考えるのが困難なように、核兵器を保有せずに核防御の研究をするのは困難でしょう。

EMP攻撃は地上近くで核爆発するほど狭い範囲に大きな被害を受け、高度が上がるほど、広範囲に浅い被害が出ると言われています。

迎撃ミサイルは高度1,000kmで迎撃可能とされているので、そうした命中精度を上げていくしかない。


EMP攻撃は別な問題も日本に突きつけていて、今まで政府は「領土内に命中しないので迎撃しなかった」と説明してきました。

だが電磁パルス攻撃は高度1,000km以上で核爆発させても有効なので、日本の領海に着弾せず、飛び越えていくコースでも攻撃が可能です。

領海に落ちるかどうかは今後無意味になり、日本の上を素通飛び越えていくコースでも攻撃が可能です。

領海に落ちるかどうかは今後無意味になり、日本の上を素通りするコースでも、迎撃する必要が生じます。

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    電磁パルス
(EMP)攻撃や、中貫通核爆弾を用いた戦法     野口裕之     産経ニュース 2017・9・11


EMP攻撃は、高度30~400キロの上空での核爆発を起点とする。

その時生じたガンマ線が大気を構成する窒素や酸素などの分子に衝突。

分子中の電子がはじき飛ばされて雷のような巨大な電流が発生するなどした結果、強力な電波の一撃であるEMPが地上に襲来する。

「宇宙より押し寄せる津波」に例えられるゆえんだ。


EMPは送電線を伝ってコンピューターといった電子機器に侵入。

電圧は5万ボルトに達するので、機器はIC
(集積回路)の機能停止で損壊し、同時に大規模停電にも見舞われる。

影響範囲は爆発の高度や規模によるが、高度100キロで広島型原爆の3分の2に相当する10キロトン
(TNT火薬換算)のケースでは、
日本全土をほぼ覆う半径約1100キロにも達する。


大規模停電で公共インフラを支える電子機器が損壊すれば、都市機能はマヒする。

携帯電話&電話&インターネットなどの通信やガス&水道の供給が停止。

飛行中の航空機が操縦不能になり、電力を絶たれた原子力発電所が制御不能に陥る。

自衛隊・警察・消防の指揮・命令系統や金融機関も機能不全となる。 


EMP攻撃は地上への核攻撃と違い、ミサイルの弾頭部分を大気圏再突入時の超高熱から守る素材や突入角度制御に関わる技術は必要ない。

小型の核弾頭を搭載したミサイルを発射し、目標上空で起爆するだけ。

米国防総省では、北朝鮮が既に核弾頭の一定程度の小型化に成功し、EMP攻撃能力を備えたと確信している。


米国は1962年、北太平洋上空で高高度核実験を実施、高度400キロの宇宙空間での核爆発でEMPを発生させた。

爆心より1400キロも離れた米ハワイ・ホノルルなどで停電が引き起こされ、予想通りの「魔力」が実証された。

米国の専門家チームが近年まとめたシナリオでは、10キロトンの核爆弾がニューヨーク付近の上空135キロで爆発すると、
被害は首都ワシントンが所在する米国東部の全域に及ぶ。

損壊した機器を修理する技術者や物資が大幅に不足し、復旧には数年を要し、経済被害は最悪で数百兆円に達する。


EMP攻撃で、北朝鮮の核・ミサイル施設&基地を含む軍事拠点や各種司令部&各部隊間をつなぐ電子・通信機器=指揮・統制システムを
不通にできれば、もはや戦はワンサイド・ゲームと化す。

その上、EMP攻撃敢行のハードルは、核爆弾の直接攻撃に比べハードルが低い。

EMPの場合、核爆発に伴う熱線や衝撃波は地上には届かない。EMPは被攻撃側の人々の健康に直接影響しないのだ。


半面、食糧不足や病気などで数百万人単位もの死傷者は出る。

病院をはじめ、無線などの情報通信やテレビ・ラジオもマヒし、被害情報把握も救援・復旧活動も困難に。

信号機も突如消え、交通事故や火災で死者を増やし、大パニックに陥るためだ。


こうした、一般の北朝鮮国民への被害をどう局限し、国際世論の批判をかわすか、米国は今、シミュレーションを繰り返している。

米国にとり最優先事項は人道ではなく、EMPの届きにくい地下坑道に陣取る北朝鮮・朝鮮人民軍の通常・核兵器による報復の芽を
摘み取る点にある。

核施設の制御不能回避も大きな課題だ。以上の課題も、米国は着々と解決している。


ところで、北朝鮮の韓大成・駐ジュネーブ国際機関代表部大使は5日、あろうことかジュネーブ軍縮会議で
「米国が北朝鮮に圧力を加えようと無駄な試みを続けるなら、わが国のさらなる『贈り物を受け取ることになる』だろう」と演説した。

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  20階建て鉄筋ビルを貫通して爆破する「大型貫通爆弾=MOP」


オバマ政権は政権の最終盤に入って、ようやく北朝鮮の脅威に気付いた。

昨年11月の政権引き継ぎ会談で、当時のオバマ大統領は大統領選挙を制したドナルド・トランプ次期大統領に
「米国の最大脅威は北朝鮮」だと、自戒を込めて伝えた。

米国防総省も引き継ぎ直前、秘中の秘たる《地中貫通核爆弾B-61タイプ11》の模擬弾投下試験を超異例にも公表。

大統領選で激突していたトランプ候補とヒラリー・クリントン候補に、暗に覚醒を促した。


朝鮮人民軍の指揮・統制施設や、核・生物・化学兵器&弾薬の貯蔵施設といった軍事中枢は、
地下深くにあって分厚い岩盤+ベトン
(コンクリート)で鎧われ、坑道も十重二十重に掘られている。

陸軍の火砲や地対艦ミサイルも坑道内を移動して、射撃時に「顔」を出す。

空軍の軍用滑走路は低山の斜面をえぐって造られ、軍用機は通常、滑走路横の低山内の坑道に格納される。

海軍基地も、沿岸部をくりぬいた坑道内に小型艦艇/小型潜水艦・潜水艇/半潜水艇を収容する。

この種の海軍艦艇は、戦端が開かれる前や直後に工作員や特殊作戦部隊員を乗せ韓国近海に侵入、
上陸して要人テロや軍・政治・経済中枢破壊を実行するプラットフォームになる。

2012年に国際問題誌ディプロマットは《軍事衛星の監視を外れる地下航空基地は20カ所、地下砲兵陣地は数千カ所》と報じる。


米軍は、国土が要塞化されている北朝鮮の特性を受け、地中貫通爆弾+核爆弾の組み合わせによる北攻撃を立案している、と筆者はみる。- 

 (1)非核弾頭を搭載した通常型地中貫通爆弾=バンカーバスター

 (2)核爆発力を抑えた「小さな核爆弾=ミニ・ニューク
(戦術核)

 (3)通常型地中貫通爆弾では破壊できぬ深く堅牢な地下施設を破壊する、「小さな核爆弾」を装填した地中貫通核爆弾

 -の3種類の使い分けだ。使い分けは作戦と予想される戦況によって変わる。


軍用機や潜水艦を敵の攻撃から防護する掩体壕を撃ち抜く地中貫通爆弾=バンカーバスターは、
イラクのクウェート侵攻で勃発した湾岸戦争
(1991年)でも、イラク軍の地下司令部を無力化すべく使用された。

しかし、北朝鮮とイランが進める核・ミサイルの脅威が高まると、従来の地中貫通爆弾では地下施設に対して破壊力不足だとの
実験・シミュレーション結果が判明した。

そこで開発した切り札が、格段に大きな破壊力を有す《大型貫通爆弾=MOP》である。


米空軍のB-2ステルス戦略爆撃機の弾倉に搭載されるMOPは、1万メートルの高高度で投下され、猛烈な重力加速度を付けて落下する。

弾頭部分は、弾着時の強烈な衝撃に耐えるように高強度鋼を鍛造して仕上げている。

GPSや慣性航法装置による自律誘導で、発射された爆弾の半数が目標の2メートル範囲内に着弾する。

貫通力は、一般の分譲マンションが使用する鉄筋コンクリートの強度に比し、はるかに硬い標的を相手にしても、
60メートル
(20階建てビルに相当)も「深掘り」する。

その倍の強度=超高層マンションの基礎部分の柱に使われる鉄筋コンクリートでも8メートルを突き進む。

標準的な硬岩なら40メートル下まで達する。限界深度に到達後に起爆して、地下施設を吹っ飛ばす。


大型貫通爆弾=MOPのパワー・アップ費&生産費や、MOPのプラットフォームとなるB-2ステルス爆撃機の改修費について、
米国防総省は2000年代に入り近年でも頻繁に請求→認められている。 

対する北朝鮮の核・ミサイル施設は地下深く、鉄筋コンクリートや硬岩、鋼鉄などを巧みに組み合わせて構築されている。

しかも、時間の経過とともに地下施設は補強され、強度を増している。


かくして、米国が「克服しなければならない課題」は多数残っている。

けれども、「克服しなければならない課題」は着実に「克服」されているもようだ。

30センチ以下の動く対象を捉える米国の偵察衛星は移動式発射台のワダチをさかのぼり、核・ミサイル格納トンネルを特定する。

軍事利用している衛星の種類には資源探査型があり、地質構造・地表温度を識別して、地下施設・坑道の構造や深度が一定程度判別可能だ。


こうして長年蓄積し続けた膨大な量の偵察・監視資料を精緻に総合的に再分析する。すると、見えなかった地下施設が浮かび上がる。

例えば、地下施設建設前と建設後で、地上地形がどう変化していったか/地形変化のスピード/掘削機の能力割り出し/
トラックで運び出される土砂の量/トラックで搬入されるセメント・鉄骨・鋼板などの量/労働者数…など。


地下施設といえども、兵器や技術者、軍人が出入りする出入り口は絶対に必要だ。

換気施設も然り。絶好の監視対象であり爆撃ポイントになる。 

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の秘密居所は地下150メートルともいわれ、MOPですら荷が重い恐れがあるが、
先述の《地中貫通核爆弾B-61タイプ11》であれば確実に粉砕する。


《電磁パルス攻撃》と同様、地中貫通核爆弾B-61タイプ11は他の核搭載兵器に比べ、実戦投入のハードルは低い。

爆発威力を抑えれば、地下での起爆であり、一般国民の住む地上の被害を抑え、核汚染被害も局限できる。

地下に蓄えられる朝鮮人民軍の生物・化学兵器も、核爆発力を抑えた「小さな核爆弾=ミニ・ニューク」が発する熱波で蒸発→

無害化に一定程度貢献しよう。



  電磁パルス攻撃、防護後手 対応「手探り」 都市機能に大打撃も    
産経  2017/9/12


北朝鮮が「水爆」実験で「電磁パルス攻撃」の可能性に言及したことを受け、政府が新たな対応に迫られている。

国家レベルの甚大な被害が懸念される攻撃だが、日本の対策は手付かずの状態だ。

無防備な現状は危険で対策を急ぐべきだと専門家は指摘している。
                   ◇

電磁パルス攻撃は、弾道ミサイルを使って高度30~400キロ上空で核爆発を起こせば可能だ。

その際に生じたガンマ線が大気と作用し、強力な電波の一撃である電磁パルスが発生して地上に襲いかかる。


 停電、交通まひ…


高電圧のパルスは送電線を伝って地上の電子機器に侵入し、損壊させる。

コンピューターで制御する発電所が機能を失えば大規模停電に至ると予測され、
通信やガス、水道などの公共インフラも止まれば都市機能はまひする。

経済や医療、交通をはじめ、国民生活に与える影響は甚大だ。

政府は内閣官房を中心に防衛や経済産業、国土交通といった安全保障やインフラの関連省庁で対策の検討を始めたが、
その実現は容易ではない。

防衛省は装備品の開発で電磁パルス攻撃への対策を義務付けておらず、試験設備も不十分。

来年度予算の概算要求に14億円を盛り込み、敵に電磁パルス攻撃を加える弾頭の開発を目指すが、
肝心の防護は後回しになっているのが実情だ。

同省は今秋にも電磁パルス攻撃の防護に関する調査を始めるが、技術的な課題を探るのが主目的で実用化への道筋は見えない。


  一般製品では困難


一方、国交省は交通機関や物流システム、経産省は電力やガス供給への影響や復旧対策などを担当。
停電やサイバー攻撃などの対策も参考に検討するが、「手探りの対応」(経産省関係者)を迫られている。

どのような対策が現実に可能なのか。

NTTネットワーク基盤技術研究所の富永哲欣主幹研究員は「電子機器を隙間なく包み込む金属製のシールドと、
外部とつながった電源や通信などのケーブルに特別な避雷器やコネクター
(接続部品)を付ける対策が考えられる」と指摘する。

金属シールドは大気中を伝わってくる電磁パルスを遮断できる。ただコネクターは軍事規格の特別品が必要だ。

避雷器も8キロボルトの電圧と800アンペアの電流に耐える性能が必要で、一般的な製品では防護できない。

また、すべての施設で対策を実施するのは困難で、制御機器やデータベースなど重要機器が設置された部屋を優先的に防護するのが現実的だ。

停電に備えた自家発電装置も必要になる。


一般国民はJアラートが鳴ったら、パソコンにつないだコンセントや通信ケーブルを抜くなどの対応が考えられるが、
被害をどこまで防げるかは未知数だ。

電磁パルス攻撃の脅威を早くから認識してきた米国や韓国では、既に軍関係や電力網などで防護対策が進んでいるという。

専門家は「今からでも遅くない。日本もすぐに始めるべきだ」と話す。



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