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彼女は嘘をついている 単行本 – 2006/12/6
小泉 知樹
(著)
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通勤電車で痴漢に間違われ、実刑判決を受けた著者が、あえて実名で描いた理不尽なる刑事裁判のすべて。これは他人ごとではない!
- 本の長さ302ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2006/12/6
- ISBN-104163687009
- ISBN-13978-4163687001
登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2006/12/6)
- 発売日 : 2006/12/6
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 302ページ
- ISBN-10 : 4163687009
- ISBN-13 : 978-4163687001
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,059,690位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,065位刑法・訴訟法
- - 145,512位ノンフィクション (本)
- - 262,604位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年1月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私はこの本を読んだ後、瀬木 比呂志の『絶望の裁判所』を読んだ。日本の裁判官がいかに自己保身と責任回避にだけに明け暮れているかを実体験から述懐してる。このような裁判官に公平な裁判など到底期待できないことを示した本がこの『彼女は嘘をついている』である。いかに日本の裁判所がいい加減にところかを示した迫真のドキュメントといえるだろう。
2009年10月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これは、フィクションではない。それが驚きだ。どう考えても説得力がある「被告人」の主張が退けられる。有罪が確定してしまった後、自らの無罪を主張するためには、満期で刑に服するしかないという、逆説的な不条理が存在することに著者と憤りを共有した。あり得ない。
この本は著者が刑を終えて出てきて、再審請求を心に誓うところで終わっている。その後でどうなったのかが気になったので調べると、昨年、10月に報道特集NEXTで放送された特集のログが残っていた。着実に再審の準備をしているようだ。刑を完全に満期で終えているのに再審を要求するということが何を意味するか、明白であろう。驚いたのは、この「被害者」の弁。『人違いの可能性を聞くと「それはない」とキッパリと否定した。』とのこと。一体どういうことなのか?
最近、いろいろな面において冤罪の作られる原因が議論されている。その中でも痴漢はその構造上、冤罪が作られやすいように思われる。というのは、証拠が乏しいなかで、唯一尊重することができるのが「被害者」の主張となるからである。しかし、そういう構造のもとでも、冷静に客観的に判断をすればおかしいことはおかしい。そういう「おかしさ」が裁判官とは共有されていないのが、また冤罪を生み出してしまう原因だろう。この点が裁判員制度で改善されるかとも思えるが、裁判員制度は痴漢などの「軽い」犯罪には適用されないので、状況は改善されない。
この本は著者が刑を終えて出てきて、再審請求を心に誓うところで終わっている。その後でどうなったのかが気になったので調べると、昨年、10月に報道特集NEXTで放送された特集のログが残っていた。着実に再審の準備をしているようだ。刑を完全に満期で終えているのに再審を要求するということが何を意味するか、明白であろう。驚いたのは、この「被害者」の弁。『人違いの可能性を聞くと「それはない」とキッパリと否定した。』とのこと。一体どういうことなのか?
最近、いろいろな面において冤罪の作られる原因が議論されている。その中でも痴漢はその構造上、冤罪が作られやすいように思われる。というのは、証拠が乏しいなかで、唯一尊重することができるのが「被害者」の主張となるからである。しかし、そういう構造のもとでも、冷静に客観的に判断をすればおかしいことはおかしい。そういう「おかしさ」が裁判官とは共有されていないのが、また冤罪を生み出してしまう原因だろう。この点が裁判員制度で改善されるかとも思えるが、裁判員制度は痴漢などの「軽い」犯罪には適用されないので、状況は改善されない。
2015年3月14日に日本でレビュー済み
「被害者」と主張する彼女のなかに、
みずからの潔白を証明するために向かった
駅長室のなかに、
警察署のなかに、
裁判所のなかに。
しかし、
彼が信じていた良心に行き着くことは、なかった。
ただ、きびしい現実を越えて、
なお厳然と存在しているのは、
著者自身の良心である。
文章やさまざまなエピソードからあふれ出る彼の誠実さは、
読むものに静かな感動を与える。
先日再審請求のニュースがあった。
確かに裁判で勝つことも重要だが、映画にもなり、すでに世論を動かしている。
ひとりの人間の意志や行動が世の中を動かすことは、ふつうはできない。
それは裁判で勝つことよりも、もっと大きな偉業だと思う。
みずからの潔白を証明するために向かった
駅長室のなかに、
警察署のなかに、
裁判所のなかに。
しかし、
彼が信じていた良心に行き着くことは、なかった。
ただ、きびしい現実を越えて、
なお厳然と存在しているのは、
著者自身の良心である。
文章やさまざまなエピソードからあふれ出る彼の誠実さは、
読むものに静かな感動を与える。
先日再審請求のニュースがあった。
確かに裁判で勝つことも重要だが、映画にもなり、すでに世論を動かしている。
ひとりの人間の意志や行動が世の中を動かすことは、ふつうはできない。
それは裁判で勝つことよりも、もっと大きな偉業だと思う。
2012年10月20日に日本でレビュー済み
痴漢冤罪が社会問題化された、初期の事件。
著者が「実名を出して」というのが、本著の売りだったが、
実名を出しているのが本人だけというのが拍子抜けだ。
何故、彼を不当逮捕した警察官、起訴した検察官、そして不当判決を下した裁判官ら、
本来糾弾されるべき連中の「実名」が出て来ないのか?
読んでいて、非常にストレスを感じる。
もうこの事件から10年以上が経っているが、
痴漢冤罪を取り巻く状況はほとんど変わっていない。
もし、本著でこれらの連中を「実名で告発」していたら、
市民が声を上げて、司法当局の不条理と闘おう!
という機運が高まって、流れも変わっていたのに、と思うと残念でならない。
著者が「実名を出して」というのが、本著の売りだったが、
実名を出しているのが本人だけというのが拍子抜けだ。
何故、彼を不当逮捕した警察官、起訴した検察官、そして不当判決を下した裁判官ら、
本来糾弾されるべき連中の「実名」が出て来ないのか?
読んでいて、非常にストレスを感じる。
もうこの事件から10年以上が経っているが、
痴漢冤罪を取り巻く状況はほとんど変わっていない。
もし、本著でこれらの連中を「実名で告発」していたら、
市民が声を上げて、司法当局の不条理と闘おう!
という機運が高まって、流れも変わっていたのに、と思うと残念でならない。
2007年3月20日に日本でレビュー済み
裁判の一方的な進め方には驚くばかり。
「被害者」の女子高生側の証言優先で裁判がどんどん進んでいく。
人の人生を左右する裁判をこんなにもいい加減に進めていいものか。
もし、自分や自分の周りにいる人が冤罪の被害者になったら・・・
考えただけでも末恐ろしい。
著書は痴漢冤罪の被害者の手記なので、男性には特に読んで欲しい。
全部読み終わったあと、「自分の身は自分で守るしかない」と痛感した。
「被害者」の女子高生側の証言優先で裁判がどんどん進んでいく。
人の人生を左右する裁判をこんなにもいい加減に進めていいものか。
もし、自分や自分の周りにいる人が冤罪の被害者になったら・・・
考えただけでも末恐ろしい。
著書は痴漢冤罪の被害者の手記なので、男性には特に読んで欲しい。
全部読み終わったあと、「自分の身は自分で守るしかない」と痛感した。
2007年5月27日に日本でレビュー済み
本の中の、“被害者”女性の供述調書のくだりは、ひどい内容でした。
あの調書には、痴漢にあったことがないだけでなく、満員電車にも乗ったことがない人間、
しかも性別は“男性”である人間の発想が入っていると思いました。
私は何度か痴漢に会ったことがあります。痴漢は電車だけでなく、映画館にもいます。
痴漢は絶対に許せない行為です。
痴漢に限らず、犯罪を犯した人間は厳重に処罰し、二度と犯罪を起こさないように
矯正して欲しいと思います。
実際に犯罪を犯して逮捕された人間が、素直に罪を認めれば示談となったり、
裁判をすることになっても執行猶予になってしまう。
それで更生させることができるのでしょうか。
無実の人を拘留し、裁判にかけて実刑としてしまう時間とエネルギーを
本当の弱者の為に使って欲しい。
警察や裁判所が無能であればあるほど、弱い立場の人間が危険に
さらされるのだということを再確認しました。
自分を守るのは自分しかないというのは、決して冤罪に会う可能性がある
男性にだけ当てはまることではないと思います。
自分を守る為には、自分自身が賢くなければいけない。
その為には色々なことを知っておかなければいけない。
“知る為に”男性、女性問わず、多くの人に読んで欲しいと思いました。
あの調書には、痴漢にあったことがないだけでなく、満員電車にも乗ったことがない人間、
しかも性別は“男性”である人間の発想が入っていると思いました。
私は何度か痴漢に会ったことがあります。痴漢は電車だけでなく、映画館にもいます。
痴漢は絶対に許せない行為です。
痴漢に限らず、犯罪を犯した人間は厳重に処罰し、二度と犯罪を起こさないように
矯正して欲しいと思います。
実際に犯罪を犯して逮捕された人間が、素直に罪を認めれば示談となったり、
裁判をすることになっても執行猶予になってしまう。
それで更生させることができるのでしょうか。
無実の人を拘留し、裁判にかけて実刑としてしまう時間とエネルギーを
本当の弱者の為に使って欲しい。
警察や裁判所が無能であればあるほど、弱い立場の人間が危険に
さらされるのだということを再確認しました。
自分を守るのは自分しかないというのは、決して冤罪に会う可能性がある
男性にだけ当てはまることではないと思います。
自分を守る為には、自分自身が賢くなければいけない。
その為には色々なことを知っておかなければいけない。
“知る為に”男性、女性問わず、多くの人に読んで欲しいと思いました。
2008年4月8日に日本でレビュー済み
ある朝の通勤ラッシュ時にいきなり「痴漢です」と女子学生に手首をつかまれる。身に覚えもないし、証拠もない。助けを求めた警察官には逆に痴漢の犯人に仕立てられ、真実はすべてばらばらと崩れ去る。ここから「空想の痴漢話」が始まった。証拠などない、すべては検察官のでっちあげなのか。私たちが生きているのは「嘘」がまかり通る社会なのか、真実とは何か、正義とは何か。日本の司法システムの問題を突く話題作。
皮肉にも、女性を痴漢から守ろうという動きとは逆に男性が痴漢冤罪の被害者になるケースが増えている。痴漢の犯罪では、訴えられた側が痴漢をしていないという証拠を提出する必要があるが、その証明は非常に難しいとされている。そして、やってない人も罪を認めざるを得ない状況ができあがってしまったのだ。しかし筆者は何かが「おかしい」と疑いはじめる。「何も悪いことなんてしてない」という自信があった。筆者は自分の無罪を主張しとことん闘う。しかしそこで明らかになるのは、不条理な日本の裁判システムだった。検察官、裁判官からの「罪を認めろ」というプレッシャーに屈することなく闘い続けようとするが、かかるのは多大な費用と時間だけだった。
無罪を主張し続けた著者に課せられたのは、1年3ヶ月の実刑判決。それが唯一彼が自分の無罪を主張する方法だった。今も不明なのはなぜ女子学生は嘘をついたのか、ということだ。軽犯罪として認識されている「痴漢」は女性にとって都合のいい犯罪になりかねない。痴漢にあえば、学校に遅刻してもいい、痴漢にあえば、示談金がもらえる、といった軽率な考えがなされるからだ。裁判官側も女性の肩を持つことが少なくない。しかし裁判というのは、証拠を徹底的に検証した上で罪の有無を決めるものであるはずだ。何も検証されないまま事件が解決されることはあってはならない。私にとって本書ほど後味の悪い話はなかった。なぜならここでは、私の推測が見事に裏切られるからだ。「正義は勝つ」は物語の世界だけのものなのか?著者の言うように、不条理がまかり通っている現実をより多くの人に知ってもらいたい。
皮肉にも、女性を痴漢から守ろうという動きとは逆に男性が痴漢冤罪の被害者になるケースが増えている。痴漢の犯罪では、訴えられた側が痴漢をしていないという証拠を提出する必要があるが、その証明は非常に難しいとされている。そして、やってない人も罪を認めざるを得ない状況ができあがってしまったのだ。しかし筆者は何かが「おかしい」と疑いはじめる。「何も悪いことなんてしてない」という自信があった。筆者は自分の無罪を主張しとことん闘う。しかしそこで明らかになるのは、不条理な日本の裁判システムだった。検察官、裁判官からの「罪を認めろ」というプレッシャーに屈することなく闘い続けようとするが、かかるのは多大な費用と時間だけだった。
無罪を主張し続けた著者に課せられたのは、1年3ヶ月の実刑判決。それが唯一彼が自分の無罪を主張する方法だった。今も不明なのはなぜ女子学生は嘘をついたのか、ということだ。軽犯罪として認識されている「痴漢」は女性にとって都合のいい犯罪になりかねない。痴漢にあえば、学校に遅刻してもいい、痴漢にあえば、示談金がもらえる、といった軽率な考えがなされるからだ。裁判官側も女性の肩を持つことが少なくない。しかし裁判というのは、証拠を徹底的に検証した上で罪の有無を決めるものであるはずだ。何も検証されないまま事件が解決されることはあってはならない。私にとって本書ほど後味の悪い話はなかった。なぜならここでは、私の推測が見事に裏切られるからだ。「正義は勝つ」は物語の世界だけのものなのか?著者の言うように、不条理がまかり通っている現実をより多くの人に知ってもらいたい。
2007年2月18日に日本でレビュー済み
映画などでも法廷モノは結構好きで見ている。なぜなら、
必ず正義は報われるというカタルシスが味わえるものが多いから。
しかし、この本はフィクションではなく、実際に生身の人間、一般人が
受けた仕打ちについて赤裸々に語られている。
自分の力や信念だけでは動かしようもない大きな壁、飲み込まれる波。
この、例えようのないもどかしさを敢えて言葉にするなら、
夢の中で走っても走っても、全然前にすすんでいないような感覚。
読み進めても、モヤモヤが晴れることはありませんでした。
一貫して無実を訴え、「犯人になりえない証拠」を
被告自らの手で相当の努力をもって訴えでても
必ずしも報われないというこの現実。こんなにも
恐ろしいものかと身震いがする。痴漢は憎むべき犯罪だが、
この方式で裁かれる冤罪の数はどれほどのものかと危惧せざるを得ない。
裁判員制度を導入しようという今、裁判の在り方について
日常では縁がない一般市民の我々も、知っておいて良い
現実が語られています。筆者の方にとっては不謹慎な言い方ですが、
読み物として非常に興味深い一冊でした。
必ず正義は報われるというカタルシスが味わえるものが多いから。
しかし、この本はフィクションではなく、実際に生身の人間、一般人が
受けた仕打ちについて赤裸々に語られている。
自分の力や信念だけでは動かしようもない大きな壁、飲み込まれる波。
この、例えようのないもどかしさを敢えて言葉にするなら、
夢の中で走っても走っても、全然前にすすんでいないような感覚。
読み進めても、モヤモヤが晴れることはありませんでした。
一貫して無実を訴え、「犯人になりえない証拠」を
被告自らの手で相当の努力をもって訴えでても
必ずしも報われないというこの現実。こんなにも
恐ろしいものかと身震いがする。痴漢は憎むべき犯罪だが、
この方式で裁かれる冤罪の数はどれほどのものかと危惧せざるを得ない。
裁判員制度を導入しようという今、裁判の在り方について
日常では縁がない一般市民の我々も、知っておいて良い
現実が語られています。筆者の方にとっては不謹慎な言い方ですが、
読み物として非常に興味深い一冊でした。