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■池上啓一油絵個展 (2015年5月26~30日、札幌) 2015年5月30日は15カ所(4)

2015年05月31日 13時03分31秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 “早春の画家”池上啓一さんの個展の最終日に滑り込んだ。

 あいかわらず、みずみずしい色彩で、雪解けの時分の風景をとらえている。
 住んでいる札幌のほかは、比較的早く春がおとずれる胆振、日高地方の風景が多い。

 冒頭の画像、真ん中は「春を待つ村」。池上さんがもっとも好きな風景という。
 国道230号で、洞爺湖を抜けてさらに行くと、噴火湾を望む個所があるというのだ。

 池上さんは、穏やかにうねりながら下っていく眺望がすきなのかもしれない。
 そういう、視点を高めの場所にとった作品に、秀作が多いし、見ているほうも、晴れやかな気分になる。

 右側は「陽春樽前山」。
 苫小牧の北側にある、形状が特徴的な火山である。 

 先ほど「穏やかにうねりながら下っていく眺望」のことを書いたが、この右側の「早春丘陵」もそういった風景である。
 これは、北広島のゴルフ場に併設されたホテルの12階から見た風景がもとになっているという。

 左側の「広場浅春」は、札幌ドーム前の広場が題材。
 福住駅側の歩道橋の上から見た眺めだ。
 筆者がここを通るときは、だいたい野球観戦の人でごった返しているので、無人のドーム前は新鮮にうつる。
 池上さんとしては珍しい題材だが、先ごろ自家用車を手放したため、「これからはあまり遠出ができない」とおっしゃっていた。しかし、近傍の風景でも、じゅうぶん池上さんらしい世界になっている。


 池上さんの絵は、奥行き感豊かな構図と、薄紫など独特の中間色を効果的に配しながらも、全体的には非常に写実的で、心やすらく穏やかな風景画である。
 画面からは、長く厳しい冬がまもなく終わり、春の訪れを待ちわびる北海道の人々の喜びが、自然と伝わってくるのだ。


 出品作は次のとおり。
石膏と民芸品
伊達暮春
モン・サン・ミシェル
羊蹄
小樽運河
霧多布-湯沸岬
藤野―行く春
春を待つ村
陽春樽前山
板獅子と檸檬
有珠への道
丘陵春めく
ランプと石膏
広場浅春
早春丘陵
羊蹄遠望
橋のある風景
新山への道
新山遠望
富士のにて
残雪藤野
赤い雄牛
霧多布・嶮暮帰
はりこの犬
絵皿とレモン
赤い馬
雪原-静寂
壽沸
牧場の朝
(メモの字が汚くて判読できないものが2点ありました。申し訳ありません)


2015年5月26日(月)~30日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後5時)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)

第15回“グループ環”絵画展 (2014)

第17回池上啓一油絵個展(2009年)

第9回グループ環絵画展・小品展併催(2008)

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第15回池上啓一油絵個展(2007年)

第11回池上啓一油絵個展(2003年)
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第9回池上啓一油絵個展(2001年、画像なし)




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