比嘉「絶対、王者になる」 ボクシング具志堅会長、愛弟子に太鼓判 エルナンデスは体重超過で王座剥奪


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
制限体重の50.8キロで計量を一発で終えた比嘉大吾(右)と、51キロで200グラムオーバーして猶予時間内での減量を放棄し王座を剥奪されたフアン・エルナンデス=19日、東京のホテルグランドパレス(石井恭子撮影)

 20日に東京・有明コロシアムで行う世界ボクシング評議会(WBC)タイトルマッチの前日計量が19日、都内であり、フライ級王者のフアン・エルナンデス(メキシコ)が制限体重の50・8キロを200グラムオーバーし王座を剥奪された。同級1位の比嘉大吾(21)=白井・具志堅スポーツジム、沖縄県・宮古工高出、浦添市出身=は50・8キロと1回通過した。比嘉が勝てば新王者、負けか引き分けの場合は王座が空位となる。比嘉は「絶対に王者になる」と力を込めた一方で、早々に減量を断念したエルナンデスは「すごく疲れた。気持ちもなえている」と力なく話した。

 比嘉、エルナンデス両陣営の合意でエルナンデスは制限体重から10ポンド(約4・5キロ)を超えないようにし、20日夕方に非公式の再計量を行う。戦績は比嘉が12戦12勝(12KO)、エルナンデスは36戦34勝(25KO)2敗。

 前日計量は比嘉が先に体重計に乗り、リミットちょうどの50・8キロで1回でパスした。続いてエルナンデスの計量があったが、一度体重計に乗った直後に下着も全て脱ぎ、再び計量。その時点で制限体重超を懸念する空気が会場に漂った。

 200グラムの超過が分かり、2時間の猶予が与えられたが、すぐに制限時間内のギブアップを日本ボクシングコミッション(JBC)に伝え、同時にエルナンデスの王座が剥奪された。ジムの具志堅用高会長ら比嘉陣営には戸惑いの表情が広がっていた。

 会場にやや緊張した面持ちで登場した比嘉は計量後、沖縄の黒麹(こうじ)入り甘酒やココナツウオーターを口にして一息ついた。エルナンデスが計量オーバーし、時間の猶予が与えられているさなかも集中している様子で、「自分が良ければいいかな。僕が水飲めなくなるわけではないので。待たなきゃいけないなら怒るけど」と語り、減量で追い込んだ自らの体調回復に気を配っていた。

 この日、WBAミドル級王座に挑戦する村田諒太ら6人の検診結果が発表された中、比嘉の脈拍は46と最も低く、断トツの“スポーツ心臓”ぶりを示した。「あした沖縄から久しぶりのチャンピオンにならないといけないのは分かっている。絶対に期待に応えたい」。会見を終え、ステーキを食べるため会場を去った。

 「もう限界までやった。練習量がすごい。(あすは)12回まではやらないと思う」。具志堅会長が記者に囲まれ、比嘉の仕上がりに太鼓判を押した。その中で、減量のための2時間猶予を与えられ、一度計量会場を退出したエルナンデス陣営が戻った。にわかに色めき立つ報道陣の前で、エルナンデスが「はかりの上で王座を失った」とJBCは王位剥奪を発表した。

 具志堅会長は王座剥奪のやりとりや20日の試合について、関係者に念入りに確認していた。