北海道美術ネット別館

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■高野理栄子展"Ame" (2014年8月16日~9月9日、札幌)

2014年09月04日 23時03分38秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
午前4時の静かで蒼い雨を想い、
生まれ育った小樽で見ていた美しい鉛色を夢に見た。

雨音か無音か
冷たい雨か暖かい雨か
降っているのか降っていたのか
いつ止むのか


 会場のカフェエスキスから、すてきな詩がとどきました。



 高野理栄子さんは小樽在住の版画家。

 今回は「ame」というシリーズの銅版画を展示しています。

 線の疎密が生むリズムがいいですね。
 着彩には、ポスターカラーの金や銀の粉を用いるなどの工夫をこらしています。

 筆者は、雨模様のときの空気の感じが、けっこう好きです。
 少しずつ湿り気を帯びていく風。
 わずかに下がる気温。
 そのうちに遠くから、車が舗道を走る際のシャーっという音が聞こえてきて、雨が降り始めたことに気づく…。

 そんな時の流れに似たたたずまいを、高野さんの作品に感じるのです。

 筆者には、画面の下部は、一種の箱庭というか、世界のミニチュアのように見えます。
 世界に降る雨。
 「人によって、舟とか、家、机、廃墟、洞窟など、いろいろなことを言うので、それを聞くのも、楽しいですね」
と高野さん。



 高野さんは札幌の大谷短大(現大谷大)を卒業。
 国展(現在は会友)、道展(同)、北海道版画協会展、小樽市展、さらに、小樽の美術家でつくるグループ展「かなた」や「WAVE」に毎年出品しています。
 また、毎年お正月に札幌の大同ギャラリーで開かれるグループ展「New Point」にも、2004年の第1回から皆勤です。

 それほど、熱心に制作・発表に取り組んでいるのですが、個展となると2003年、同じくカフェエスキスで開いて以来、じつに11年ぶりとなります。
「まわりから、(個展を)やれやれとせっつかれていまして、ようやくこぎ着けました」

 ただ、大谷時代の恩師である米谷雄平さんが亡くなり、見てもらえないことが残念そうでした。
 
 お店の入り口に近いコーナーには、縦位置の作品が並んでいました。

 なにか特定のモティーフが描かれているわけではないのですが、見ていると、なぜか心が落ち着く、やさしい作品なのでした。


2014年8月16日(土)~9月9日(火)正午~午前0時(日曜~午後9時)、水休み
CAFE ESQUISSE(カフェエスキス、中央区北1西23)

New Point Vol.11 (2014)


・ジェイアール北海道バス「北1西20」から約340メートル、徒歩5分
 ※札幌駅、北1西4などから、手稲・銭函方面行き。ただし、快速、都市間高速バスは停車しません
・ジェイアール北海道バス、中央バス「円山第一鳥居」から約450メートル、徒歩6分
 ※快速、都市間高速バスなど全便が停車します

・地下鉄東西線「円山公園」駅5番出口から約460メートル、徒歩6分

・ジェイアール北海道バス「桑11」(JR桑園駅-啓明ターミナル)で「南1条西22丁目」降車、約230メートル、徒歩3分



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