映画『追憶』より
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 映画『追憶』で共演した同世代の俳優・小栗旬から「侍のような人」と評された岡田准一。果たして、そう言われて本人はどう思っているのか、真相を語った。

 名匠・降旗康男監督と撮影の名手・木村大作が約10年ぶりにタッグを組んだ本作は、ある殺人事件をきっかけに、25年ぶりに刑事、被害者、容疑者として再会した幼なじみの3人の数奇な運命を描いたヒューマン・ミステリー。岡田が主人公の刑事に扮し、柄本佑と小栗旬が被害者と容疑者を演じ分けているが、小栗がNHKの新春ドラマ「大化改新」(2005)以来の共演となる岡田のことを「侍のような人」と語ったこともちょっとした話題を集めている。

 確かに最近の岡田は軍人や侍の役が多く、本人も「そういう役しかオファーがこなくなった」と公言しているから、小栗はその状況を言葉にしたのかもしれない。そう思って岡田本人に真相を問い質すと「違うと思います」ときっぱり否定された。「僕が、『飲みに行こう』とか『みんなが集まってくれるから来てください』って誘われても行かないからだと思います」。

 そう聞くと、ただの人づき合いが悪い人のように思えるが、もちろんそうではなく、「別にストイックではないですが、自分がやっている武術のトレーニングがあるから行けないんです」と説明。「その世界では当たり前のことですけど、それを芸能界や役者の世界に持ってくると、誰もやってないから違和感があるんでしょうね。でも、僕はただそれを実践しているだけなんです」と自身の生活スタイルを言葉にした。

 そこで、登場人物たちが大切なものを守り続ける今作に因んで、岡田が何があっても守り続けているもの、変えずにいるものはあるのか聞くと、「内面を含めて、自分のことを常に客観的に見つめながら仕事をしてきましたね」と意外な答えが。「クリエイターとしてやりたいことと、周りから求められることやどう見られているのかということとのバランスってあるじゃないですか。それを忙しさに捕まらないように、冷静に考えながら仕事をしてきたと思います」。

 その上で、「これは生き方に繋がることですけど、僕は今変わらなきゃいけない時期だと思っていて」と続ける。「この仕事をこの先もやっていくためには、これから10年間ぐらいかけて変わっていかなければいけないと感じているんです。求められるから仕事ができるという部分もありますよね。そのバランスをよく考えられる年代にもなってきたので、そこを自分の中で咀嚼(そしゃく)し、大事にしながら演じていきたいですね」。

 その揺るぎのない確かな姿勢と力強い言葉こそ、岡田=侍のような人を象徴的に表しているような気がしてならない。映画『追憶』には、そんな岡田准一の役者としての生きざまも焼きつけられている。(取材・文:イソガイマサト)

映画『追憶』は5月6日より全国公開