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■松川修平(ニュー素朴派)個展「Narcotic」 (11月9日まで)

2008年11月08日 10時25分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 松川さんはことし37歳。マイペースで絵を描いているそうで、昨年は「リキテックスビエンナーレ」に入選したとのこと。
 昨年のATTIC(アティック)につづく個展です。
 ほとんどすき間なく、作品が壁を埋めつくしていますが、ATTICのときと1点も重複していないのは驚きです。

 松川さんが筆を執り始めたのは1999年ごろといいます。
 発表は、焼き鳥屋やバーで行っていたので、一般の美術関係者にはまったく知られていませんでした。「貸しギャラリーは高いので、使いたくなかったんです」

 本人が「ひとりグループ展みたいでしょう」と笑うほどに、幻想的なアクリルのペインティングから、緻密なレゲエアーティストの肖像、さっと描いた人物画など、同一人物の手になるとはとうてい信じられないほど多様な絵がびっしりと並んでいます。
(なお、アーティストの肖像画は、クラブイベントのフライヤー用に描いたものです)
 1995年に札幌・苗穂で開かれたヨージ・ヤマモトのショーのポスターに着彩しただけの作品があるかと思えば、「昔のパーマが屋根になっている」という奇妙な家のドローイングもあります。
 「夢見の探求」という作品では、2階建ての家の窓に薔薇がひとつずつ配され、家の前はシカのような動物が右から左に一列となって進んでいます。「読書の時間」では、動物のかわりに? 腹ばいになって本を読んでいる女性がやはり列をなしています。どうしたら、こういう発想が出てくるのか、ふしぎでたまりません。
 ちなみに、ATTICのときは、題がついた作品はまったくなく、今回はじめて、一部の作品に題をつけたそうです。

 画像でわかるとおり、額があったりなかったり、キャンバスや板だったり、ノートの切れっ端のような紙だったり、これほど形態にこだわらない人もめずらしいかもしれません。

 下地をしっかりつくって描いた絵も、走り書きのようなドローイングも、「じぶんが気に入ったものは、おなじように展示したい」という思いがあるそう。
 そのあたりには、奈良美智との共通するスピリットを感じてしまいます(作風はかなり異なるのですが)。
 会場には、日記から抜粋した言葉なども貼ってあります。
 それを読むと、松川さんがかなりの読書家で、いろいろな分野に好奇心を持っていることがわかります。


              

 「ニュー素朴派」
という肩書きは、「(ルソーのような)ただの素朴派とは違うんだぞ」という思いがあってつけてみたそうですが
「見に来た人から評判が悪いので、もうやめるかも」
と苦笑していました。

 松川さんのペインティングをむりにジャンル分けすればシュルレアリスムということになるのかもしれませんが、とにかく、「うまい/へた」という二分法も含めて既存の分類とか画風などとまったく関知しないところで描き続けているとしか言いようがないと筆者には思われます。
 松川さんが今後、北海道美術ネットの網に引っかかるような場所で絵を発表していくと、多くの人に知られるようになる半面、「ふつうの絵」に近づいていく危険性もあるわけで、彼には今後もマイペースを保持してほしいなあと、勝手ながら思うのでした。


2008年10月27日(月)-11月9日(日)11:00-20:00、水曜休み
Hanaagura Gallery(中央区南3西2 ニコービル2階Nico)




□ATTICブログの関係ページ http://ameblo.jp/yaneura-attic/entry-10045862286.html

松川修平の世界(07年9月)


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4 コメント

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Unknown (hanae)
2008-11-09 22:58:54
こんばんわ
私は去年、フラッと(松川さんを全く知らずに)atticに寄って見たのが最初でした
ひとりグループ展、まさにその通りですね
私もマイペースな活動を楽しみにしてるひとりです
Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-11-10 21:00:03
コメントありがとうございます。
またどこかで松川さんの絵が(こっそり?)見られるといいですね。
Unknown (また仕事ヒマなミト)
2008-11-18 17:22:57
とても楽しみにしていたのに、前回に続いて見損ねたんですぅ!!
10年前くらいに松川さんに、封筒の端に絵を描いてもらったんですけど、すごくてひっくり返った覚えがあります。
ミトさんこんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2008-11-18 21:15:55
ありゃ。
Nico hanaaguraは、わりと夜遅くまであいてますので、こんどはぜひ。

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