JFE、車の骨組み15%軽く 加工しやすい高張力鋼
JFEスチールは27日、自動車の骨組みなどに使う新しい高張力鋼板(ハイテン)を開発したと発表した。同じ強度の同社の既存鋼板より約2倍変形しやすく、複雑な形状に折り曲げた際にも割れなどの損傷が生じにくい。薄くても強度が保てるため、骨組みなどを15%前後軽量化できるという。自動車各社へ売り込む。
開発したのは引っ張りの強さが最大980メガパスカル級の亜鉛めっき鋼板。製造時の加熱・冷却方法を改良し、鋼板内部の金属組織の大きさや硬さなどが特定の状態になるようにした。
鋼板は高強度になるほど加工しにくい。プレス機で引っ張りながら折り曲げるような加工では割れが生じやすいため、強度を抑えた鋼板を使うケースも多いという。だが、自動車各社が車体の軽量化を図るなか、鋼板の薄型化には限界があった。
新製品は高強度だが複雑な加工が可能なため、従来よりも薄い鋼板で部品などが製造できる。車体のフレームなどで加工が複雑な部品用などとして自動車メーカーに採用を呼びかける。
同社は10月に西日本製鉄所福山地区(広島県福山市)に顧客との共同開発拠点を新設した。今後は自動車用鋼板などで顧客の潜在需要を掘り起こし、新しい素材や製造技術の開発スピードを高めたい考えだ。