事業仕分けに評価分かれても、やらないよりずっといい | 永田町異聞

事業仕分けに評価分かれても、やらないよりずっといい

事業仕分けについて「こらおもろいわな。なんで自民党のときにせなんだか」と言う、自民党の参院幹事長、谷川秀善は、大阪の副知事時代に豪腕で鳴らしたらしい。


「とりあえず、やったらええやないか」。商人の町、ナニワのおっさんらしく、グジャグジャ言わんとまずは行動、だったのだろう。


ただ、谷川さんが分かっているのかどうか、自民党が与党だったころにも、ちょっとだけ事業仕分けをやったことがある。


中堅・若手議員らの「自民党無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」が取り組んだ「政策棚卸し」がそうだ。


指南役は、いまの行政刷新会議事務局長で構想日本代表の加藤秀樹氏。したがって、やり方は新政権とほぼ同じだ。ネット生中継はないが、会場に一般の市民が入ることができた。


昨年8月に文科省、9月は環境省、10月は財務省・・・という具合に進めたものの、大部分は族議員の抵抗にあって腰砕けになった。


自民党政権の政策決定は、内閣よりむしろ党政調会の各部会が実権を握っていたのだから仕方がない。


チームの中心、河野太郎がアニメの殿堂を「百害あって一利なし」と断じても、麻生首相に無視されたのは記憶に新しい。


ただそれでも「政策棚卸し」で21年度予算を8800億円削減したと無駄遣い撲滅PTは強調しているから、一定の効果はあったわけだ。


それを評価しなかった自民党の幹部の姿勢のほうが問題だった。


さて、政府の行政刷新会議が鳩山政権の目玉として進めてきた事業仕分けは、昨日でとりあえず前半5日間の作業を終えた。


こちらは政府与党が全力をあげて取り組んでいるのだから、自民党のPTよりは実効性が高いといえる。


この仕分けの評価が、それぞれの立場でさまざまなのは、当たり前のことで、いちいち取り上げればきりがない。


大島理森自民党幹事長が「パフォーマンスにしか見えない」と批判するのも、立場上、当然のことだろう。


絶対に正しいやり方というのはありえない。より良いと思われることをやるしかない。


事業仕分けに政府として取り組むのが是か非かとなれば、筆者は「やらないより、やるほうが良いに決まっている」と考える。


なぜなら、予算のムダばかりでなく、制度の問題、省庁関連法人の埋蔵金、嘱託というかたちの隠れ天下りの実態など、氷山の一角とはいえ、事業仕分けをやらなければ分からなかったことが次々と白日のもとにさらされているからだ。


情報を公開し、国民がそれを共有し、要求ばかりでなく、我慢すべきことはする。そういう流れをつくる第一歩としてとらえたい。


短時間でばっさり斬っていく仕分け人のあり方に疑問を投げかける向きもあるが、ノーベル化学賞受賞者の田中耕一氏は、自らのかかわる事業の予算削減を言い渡されながらも、次のように語っていた。


「予算の削減だけを考える場かと思ったが、よく理解したうえで議論しているということもわかった」


今日の朝日新聞には、田中さんが「産学連携の重要性が認められなかったことが残念だ」と述べた部分だけを取り上げて、「ノーベル賞田中さん落胆」と見出しを掲げているが、田中さんの認識は、それほど単純なものではない。


乗りかかった船には、しばらく乗っていないと、行き先が見えてこないだろう。


その間、船頭に細かいことで文句をつける姑根性は見過ごすしかないが、もし間違った流れに乗ろうとするようなら、船頭の交代を真剣に考えなくてはならくなる。


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