ミドクラは2010年創業の通信系ベンチャー企業である。分散型のネットワーク仮想化技術に強みを持つ。ここにきて、国内外のサービス事業者やインテグレーターとの提携を次々と発表し始めた。同社の共同創業者である加藤会長に、ターゲットとするデータセンター/クラウド市場の動向や今後の展開を聞いた。
まずミドクラは何を提供する会社なのか教えてほしい。
一言でいえば、ネットワークの仮想化技術をソフトウエアで提供する会社だ。サーバーやストレージは既に仮想化・ソフト化され、オンデマンドでプロビジョニングができるようになっている。ネットワークもそうならなきゃいけない。逆にネットワークが仮想化されないままではクラウドの普及ペースが遅くなる。
クラウドやデータセンターのさらなる進化にネットワークがボトルネックになっているということか。
クラウドの進展は疑いようがない。すると、雲の裏側で大量の仮想マシン(VM)が稼働するようになる。これらはすべてネットワークにぶらさがる。この時ネットワークに求められるのは拡張性や柔軟性、迅速性だ。特に、現在はハードウエアのネットワーク機器を使っているクラウドサービス事業者からネットワークに対する要望として聞こえてくるのが拡張性と耐障害性である。ミドクラのネットワーク仮想化ソフトである「MidoNet」の強みはここにある。
とすると顧客はクラウドサービス事業者になるのか。
今はそうだ。いわゆるアーリーアダプターはIaaS(Infrastructure as a Service)を提供するクラウドサービス事業者である。この7月にKVH、8月にはノルウェーのZetta. IOがそれぞれMidoNetを採用した。この2社はいずれもクラウド基盤としてオープンソースの「OpenStack」を利用している。MidoNetはOpenStackのネットワークコンポーネントである「Neutron」のプラグインとして仮想ネットワーク機能を提供する。