米クラウドベンダーの日本法人であるセールスフォース・ドットコム(Salesforce.com)が矢継ぎ早に地方自治体に営業攻勢をかけている。千葉市が2014年9月に本格稼働させた課題管理ツール「ちばレポ」の情報システムを地場ITベンダーと共同で受注した(写真1、関連記事:千葉市が「ちばレポ」アプリ、道路陥没などへの対応状況をガラス張りに)。

写真1●千葉市の「ちばレポ」のWebサイトはforce.com上で稼働
写真1●千葉市の「ちばレポ」のWebサイトはforce.com上で稼働
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 静岡県から、災害時の避難誘導や県内市町村との情報連携に使う「防災情報システム」を受注した。佐賀県では農業指導情報共有システムの実証実験も展開している。

 セールスフォースの自治体への導入実績は約150システムに上るという。NTTデータや富士通など公共セクターに強い国内ベンダーとはまだ比較にならない規模ではあるが、徐々に存在感を強めている。

写真2●セールスフォース・ドットコムの川原均取締役社長兼COO
写真2●セールスフォース・ドットコムの川原均取締役社長兼COO
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 以前は、「定額給付金」や「エコポイント」など、緊急景気対策などのために自治体に発生する一時的な事務を処理するシステムでの採用事例が多かった(関連記事:山梨県甲府市、Salesforceを利用した定額給付金支給管理システムを導入「エコポイントを支える情報システムの開発にも参画」---セールスフォース宇陀社長)。臨時業務のために機器を保有する必要がないクラウドの特性が生きるため、セールスフォースもこの分野を積極的にPRしてきた。

 しかし、セールスフォースの川原均取締役社長兼COO(最高執行責任者、写真2)は、「一時的なシステムへの適用は、クラウド活用の初期段階。我々は次の段階を目指したい」と話す。日本IBM出身の川原氏は、長く官公庁を含む法人営業を統括。2014年4月に社長に昇格した(関連記事:セールスフォース日本法人、早期に売上高1000億円を目指す)。