還暦からの再起動

お料理レシピ、時々、遠距離介護や病気との付き合いなども。人生の下りを楽しむ還暦女子の日常です。

老後を田舎で暮らすにはー高齢者の運転事情

都会から田舎に移住して5年あまり。

大きな生活上の変化は、何といっても車が無ければ暮らせないようになったこと。

最も近いスーパーマーケット、コンビニまでは8キロ。

市役所までは12キロ。

かかりつけのクリニックまでは10キロ。

唯一の公共交通機関である高速バスの停留所までは9キロ。

夫も私も、車に乗らない日はないほど、車に依存した生活を送っています。

 

驚いた高齢者の運転事情

移住して間もないころ。

見通しの良い直線道路を時速30キロ未満で走る軽自動車に驚いたものです。

運転席から前の軽自動車を見ると、運転している方の姿を見えず、まるで無人で動いているよう。

よくよく見ると、背中の丸まった小柄なおばあちゃまが、ハンドルにしがみつくようにして運転しておられ、「あっ、運転手さんいたんだ」と納得すること数回。

こうした車の後についた時には、急な追い越しは厳禁。ひたすら忍耐が求められます。

しばらくすると、ノロノロ運転の軽自動車が先導するようなかたちでちょっとした渋滞に。

田舎の農道でも、渋滞があることを知りました。

 

警察署でのヒトコマ

もう数年前のこと。ある時友人が、免許の更新のため警察署を訪れた時のこと。

友人の前に高齢の男性が窓口に進み、警察の方とこんなやりとりがあったそうです。

「名前は?」

「えっと、何やったけなぁ?えっと、名前なぁ・・・。スズキやったかなぁ?」

「スズキではないなぁ。名前忘れてしもたぁ?」

「・・・」

「名前が出てこん人に、免許はやれんなぁ。今日は、調子が悪いねんなぁ。また、調子の良い時に、出直してよ。ハイ、次の人!」

当地では、自分の名前を忘れてしまうほど認知症が進んでいる人でも運転している現実に、驚いたものです。

今年、道路交通法が改正され、75歳以上の方に対する認知機能検査が強化されました。

こんな光景は、もちろん今は見られなくなっていると思います。

ただ、「運転できない=暮らせない」ことがわかっているだけに、家族や周囲の人は認知症だとわかっていても免許を取りあげるタイミングにとても悩んでおられます。

 

歩けないからこそ運転!

高齢になれば、膝や股関節に障害が出て、歩行が困難になることもしばしば。

当地では、杖や歩行器が必要になったからこそ車で移動するという方も少なくありません。

友人のお母様は80歳。最近は、杖が手放せなくなりました。自宅では座りきりでなかなか動こうとしないお母様ですが、「車だったらどこでも行ける」と以前より運転して出かけることが多くなったとのこと。

友人が見るに、とても後ろを振り向けるとは思えないし、バックミラーもほとんど見ないお母様。耳も遠くなっていて、事故を起こすのではないかと毎日ヒヤヒヤの連続だと話しています。

 

高齢者のご希望は85歳

よくお世話になる地域の温泉。お客さんは、7~8割が地域の高齢者。

脱衣場では、いつもご高齢の方々の大声きな声が鳴り響き、とってもにぎやかです。

そんな皆さんの話題によく上がるのは、「何歳まで運転するか」ということ。

皆さん、温泉までは、ご自分の運転で来られています。

「運転できなきゃ、こうしてお風呂にも来られないし、そうなったら送迎付きのデイサービスだね」

「85歳までは何とか頑張りたいけどねぇ」

「〇〇さんは、90まで運転してたよー」

「事故起こしちゃったら最後だもんね。何かある前に辞めなくちゃとは思ってるけどねぇ」

そんな会話が何度も繰り返されます。

当地では、「運転卒業年齢は85歳」それが皆さんのご希望のようです。

 

当地のような田舎では、健康寿命は、運転寿命に大きく左右されそうです。

移住前、これほど車に依存する生活になるとは、思ってもみませんでした。

いずれ私も夫も車の運転ができなくなる日がやって来る。

さて、その時、どこでどう生きていくのかを考えておかなければならないようです。

 

 

 

 

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